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コップの水理論から考えるイノベーションを生み出す方法

檻猿籠鳥(かんえんろうちょう)
→ 檻に入れられた猿とカゴの中の鳥を指し、自由を奪われた環境のこと。

檻に入れられることは確かに不幸だと思う。

その理由は、外の世界を知っているから窮屈ということが理解できて自由を奪われていることを知っているからである。

ただ、それよりもはるかに不幸な状況がある。

それは、外の世界を知らないこと、自分の能力を押し殺しているという環境にいることだ。

ノミの法則の話は以前書いたとおりなので、時間のある人は、こちらも是非見てもらいたい。

悪口雑言(あっこうぞうげん)

簡単に説明すると、生物の中で最もジャンプ力を持っているノミは、人間に置き換えると身長170cmの人が255mの高さまで飛ぶほどだ。

これは東京タワーの特別展望台や東京都庁に達する高さで、ビルにすると地上50階以上という驚異的なものだ。

そんな超人的なジャンプ力を誇るノミを30cmのガラス瓶に入れて蓋をする。

すると、当然逃げ出そうとして何度も何度も飛び上がって蓋にぶつかることをくり返すのだが、しばらくすると蓋ギリギリのところまでしか飛ばなくなる。

その後、蓋を外して外に逃げられる状態にしても、もはや30cmしか飛ばないノミになるという法則だ。

つまり、本来の自分の能力を発揮できない状態になるという教訓だ。

イノベーションの機会が生まれるとき

ノミの法則については、以前書いたので今回は別の話をしようと思う。

ピーター・ドラッカーという名前を聞いたことはあるだろうか。

オーストリア出身の著名な経営学者で、マネジメントの父と呼ばれた著名人だ。

そんなピーター・ドラッカーは数多くの格言を残しているのだが、その中の1つを紹介しよう。

コップに水が「半分入っている」と「半分空である」とは量的には全く同じである。けれども、意味はまったく異なるし、捉え方によってとるべき行動も違ってくる。世の中の認識が「半分入っている」から「半分空である」に変わるとき、イノベーションの機会が生まれる。

これが俗に言う、コップの水理論である。

コップに入った水を「もう」と捉えるか「まだ」と捉えるかの違いについて言及している。

ピーター・ドラッカーは、コップの中の水が「もう」から「まだ」に変わったときに、イノベーションが生まれるという。

イノベーションを成功させる3つの条件

世間一般的には、イノベーションには才能やひらめきが必要で努力ではカバーできないと考えられがちだ。

けれども、ピーター・ドラッカーは仕事として体系化できると断言している。

イノベーションを成功させるには3つの条件が必要だという。

1)1つの分野に集中する

まず、ピーター・ドラッカーが再三主張しているのが、一度に多くのことをしてはいけないということだ。

イノベーションを起こすには、少なくとも一定期間はそれに特化すべきことが成功の条件であると定義づけている。

2)強みを基盤とする

2つ目は、苦手な分野や弱いところではなく、強みに集中すべきということだ。

例えば、製薬会社が口紅や香水で成功することはあまりないと主張している。

ただ、時代に合わせてビジネスモデルは変遷していくもので、やってはいけないとは決して述べていない。

強みでない分野に進む際には、自分たちだけで研究開発するのではなく、必ず化粧品の専門家をチームに入れるべきことを示唆している。

強みである製薬の知識と化粧品のノウハウを掛け合わせて相乗効果を生み出すことを挙げている。

3)経済や社会を変えるものである

成功したとされるイノベーションとは、ほとんどが単純なものであるということだ。

なぜ思いつかなかったのかと多くの人に思わせることが、成功したイノベーションに対する最高の賛辞であるというのである。

最初は限定されたニッチな市場を対象に、小さな事業としてスタートしなければならないことの重要性を説いている。

また、ピボットできるのは、規模が小さいときだけであるとも主張している。

つまり、世の中にどれほどすごい変革をもたらした場合であっても、最初は小さく始まっているということである。

市場に参入するタイミング

イノベーションを起こそうと思っても、そもそもその市場に顧客がいるのかが大切だ。

ビジネスを立ち上げても、誰にも相手にされないのでは意味がない。

通常、市場には、導入期、成長期、成熟期、衰退期と4つの段階があるといわれている。

市場に参入するタイミングが導入期に近ければ近いほど成長する余地がありライバルも少ないけれども、成長するとは限らない。

そのあたりの判断を的確に行わなければならないということだ。

世間での認知度を測ることができれば、市場の成熟度がある程度は予測できる。

ほとんどの人が知っているとなれば成熟期なので、成長余地は少ないといった判断ができるというわけだ。

イノベーションが起きるタイミング

一般にイノベーションとは、市場の創生期や導入期に起こると思われている。

でも、ピーター・ドラッカーはコップの水理論から、まさに半分の意味が変わったときに起きると主張している。

具体的に、アメリカで1960年代から1980年代にかけて起きた、人々の健康に対する認識の変化を例に挙げている。

アメリカでは、黄金の60年代と呼ばれる経済成長を通じて、本格的な大衆消費社会を迎える。

こうして豊かになった人々は、自身の健康について目を向けるようになる。

健康意識や医療の進歩は決して新しい業界ではなかったけれど、人々の認識の変化によって、ダイエットへの意識や健康食品の登場といった新しい市場が生まれたというわけだ。

まとめ

ピーター・ドラッカーがいう、世の中の認識が「半分入っている」から「半分空である」に変わるとき、イノベーションの機会が生まれるということについて改めて言及したい。

これは別に半分入っているというネガティブよりな感覚から、まだ半分使えるといったポジティブな考えに切り替わるということではない。

つまり、逆の認識でもいいということだ。

「半分空である」から「半分入っている」へ認識が変わったとしてもイノベーションは起きるということだ。

そもそもあったものでも、見方が変われば革新が起きるということで、ここの仕掛けをどうやって行うかが重要ということだ。

2022年新たなサービスを立ち上げるが、まさにこのあたりは再認識したところだ。

みなさんも是非参考にしてもらいたい。


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植田 振一郎 Twitter

株式会社stakは機能拡張・モジュール型IoTデバイス「stak(すたっく)」の企画開発・販売・運営をしている会社。 そのCEOである植田 振一郎のハッタリと嘘の狭間にある本音を届けます。