社労士的就業規則の作り方 7 ハラスメント
鹿児島で社労士をしています原田です。
社労士がみんな好き過ぎに違いないような気がする、就業規則の作り方です。今回はいよいよ服務規律です。何でもありで一番面白いはずのところです。
ここでは厚労省モデルを使って、社労士が就業規則に対してどうアプローチするかを案内しています。
第3章 服務規律 第12条~
パワーハラスメント
令和2年6月1日に「改正労働施策総合推進法」が施行され、大企業のパワーハラスメント防止措置が義務化になり、令和4年4月1日から中小企業も義務化されました。
そのため現在では中小企業でも、部下にキックとかパンチをしてはいけません(パワハラだけでなく暴行罪にも該当します)。
端的に言うとモデルの内容通りですが、実際に社労士が作成する場合はイメージがつきにくい人のために、具体的な内容を明示する方が多いでしょう。
パワハラは優先的な関係なので、上司から部下だと思われがちですが、部下が集団で結託して上司をいじめる場合であれば、部下に優先的関係が発生するので、職位や地位だけでパワハラが一方的に確定するわけではありません。
セクシャルハラスメント
セクハラ禁止です。男女雇用機会均等法で平成6年に「配慮義務」になり、平成19年には「防止措置義務」になりました。パワハラよりも前から問題化されていたものです。
これも具体的にイメージできない人用に具体的に書いた方がいいのですが、具体的に禁止項目として列挙している表現自体がセクハラになるような場合もあり、非常に気を使う部分です。
マタニティハラスメント
通称マタハラ禁止です。育児・介護休業法で平成29年から防止措置義務となっています。これも前2条と同様で具体例を書いたりします。
イメージが最もしにくいハラスメントですが、育休取得の阻害や、出産を契機とした退職勧奨等が該当します。これは介護休業等も含まれていることも要注意です。
その他ハラスメント
性的指向・性自認であれば、LGBT対策ハラスメントになりますが、それだけでなく『あらゆるハラスメント』と言っているので、これから出てくる様々なハラスメントも全部禁止にする包括規定です。
・カスタマーハラスメント(カスハラ)
顧客から受けるハラスメント。就業規則で定めるのであれば、相手に禁止はできないので、取引先にしてはいけないという意味になるのでしよう。弁護士事務所では、何らかのハラスメントをした方の弁護がしにくくなる可能性があるので、規則として書きにくいかもしれません。
・モラルハラスメント(モラハラ)
明確なパワハラ・セクハラでなくても、言葉や態度で傷つける行為。無視するのもこれに入ります。
・ハラスメント・ハラスメント
過剰にハラスメントだと騒ぐこと自体がハラスメントになるというもの。判断は難しいです。相談窓口に相談しないで、いきなり外部団体を連れ込んでハラスメントだと騒ぐ行為は、これに該当するでしょう。
全部禁止だと、注意も指導もできないと嘆く声も聞こえます。また、全く仕事をしない人への対処ができなくなるのも困りものです。
職場の全員が、快適に仕事ができることが優先されるべきで、一人を優先することで他の人の快適さを奪うことは、許されることではないという観点も大事だと感じます。
ちなみに相談窓口の設置と周知まで義務なので、周知文書の掲示をするか、規則に書いておいた方がいいでしょう。やってないと労働局均等室が是正勧告や改善命令を出す場合があります。
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