
社労士的就業規則の作り方 2 適用範囲等
鹿児島で社労士をしています原田です。
労働部門をメインにしている社労士なら、大好きな割合が高い就業規則。
ここでは厚労省モデルを使って、社労士が就業規則に対してどうアプローチするかを案内しています。
前回は見事に第1条だけで終わったので、次に移ります。
(適用範囲)
第2条 この規則は、 株式会社の労働者に適用する。
2 パートタイム労働者の就業に関する事項については、別に定めるところによる。
3 前項については、別に定める規則に定めのない事項は、この規則を適用する。
誰が作っても、だいたい似たような文言で入っている条項です。最近はパートタイム労働者だけでなく、テレワーク従事者、定年再雇用者、地域限定社員、短時間社員等で細かく分けるケースも発生しています。
だからと言って2の条文に、すべての規程名を書かくのは面倒です。
更に2の条項を設けていて、実はパートタイム就業規則は無いというのは、よくある話です。パート自体がいないからという理由もあったりします。そういう場合は、後段部分を
パートタイム労働者の就業に関する事項については、別に定めるところによる。
→短時間労働者等一部の労働者の就業に関して、別に定めた場合はその規定による。
と逃げたりします。
下記の初歩でも書いてますが、個人的にあまり分けるのが好きでは無いので、私が作る場合はほとんど上記の記載になってます。
社員とパートは分けないとダメとか言う人もいますが、本来は好き好きです。何がダメとかはありませんが、業種によっては労務監査をする組織の人が「絶対分けろ」と強要する場合があります。
このような意味不明な人に対して、論争して論破してもいいのですが、こういう程度の低い戦いに勝って満足するのは愚か者です。こういう人たちは、悔しい気持ちを依頼者の事業主にぶつけて、難癖をつけて嫌がらせをしてくることがあります。そのため私はすぐに白旗を出して規則を分けます。
もう一度言っておきます。私が規則をできるだけ分けないのはこだわりではなく、単なる好みです。
この条項とは別に(言葉の定義)として、正社員、パートタイム、契約社員等を説明する条項を加えるケースも多いです。私が作る場合は、言葉の定義は必ず入れてます。入れないからダメというわけではありません。これも好みです。助成金を扱う場合は入れておいた方がいいです。
言葉の定義を入れる際には、同一労働同一賃金に配慮した文言を入れるようにしています。特に入れなくても問題はありませんが、私が他に明記する場所を思いつかないだけです。
(規則の遵守)
第3条 会社は、この規則に定める労働条件により、労働者に就業させる義務を負う。 また、労働者は、この規則を遵守しなければならない。
「お互いに守りましょうね。」ぐらいしか言ってない訓示的条項ですが、必ず入れておきたい条文です。書いた人によって多少表現が異なる場合があります。第2項を付けて、下記のその他の一部を加えることもあります。
第1章総則 のその他
モデルに記載されていない部分では、
・管理監督者の定義
・規則の変更理由と手続き
を記載する場合が多いです。これらを厚労省モデルで掲載しないのは、
記載した=定義づけられた
とは言えないケースが多分にあるからだと思われます。
書いたから万能でないことは多くの判例から明らかなので、安易にモデルとして提示しないことも厚労省モデルの優秀さなのでしょう。追記するなら考えて入れろと勝手に解釈します。
他のモデル等と比較して、書いていない理由を理解できる能力が無いと理解できないところが難しいところです。
これ以外にも、総則は全体に通用する規則なので、
・時間に関する定義(1日、1週間、1カ月、1年の起算日等)
・日数、月数、年数の定義(在籍期間や年齢等)
で端数の取扱いまで記載する場合があります。
個人的には、それに関する条項の部分で書いた方が、条項毎に解釈を変更しやすいのでお好みです。これも人の好みでどちらでもいいでしょう。
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