社労士的就業規則の作り方 20
鹿児島で社労士をしています原田です。
社労士がみんな大好き給与計算に関係する賃金規定の話です。
社労士でも会社内でも、給与計算担当者は、計算間違いで従業員から信用を無くしたり、自分のミスでは無いのに激しく怒られたり、指示通りやったのに恨まれたりと面白イベント満載です。
みんな大好きなので、やりたくないといった声も多数耳にします。
ここでは厚労省モデルを使って、社労士が就業規則に対してどうアプローチするかを案内しています。
第6章 賃金 第44条~
臨時休業の賃金
労基法第26条と書いているので、さっそく見てみましょう。
と言うことで、法令通りなので義務です。労働者の権利ですが、事業主側としては「ノーワークノーペイだ」と主張しがちなので、わざわざ書いておくわけです。賃金に関する事項なので、必須記載事項でもあります。
欠勤等の場合の給与計算
第1項は、ノーワークノーペイの原則通り、仕事して無いので給料から引くという当たり前の話です。中小企業の場合はこの内容に近い形が多いです。
大手や公共団体の場合には、単純に欠勤・遅刻・早退を引かない場合もあります。
・遅刻早退は〇回までは大目に見る
・3回遅刻で欠勤1回とみなす
・3回欠勤までは引かない
とかを取り決めている場合があります。
3回遅刻で欠勤1回は減給の制裁(労基法第91条)の上限を超えないように制裁として引くことになります。制裁なので懲戒処分のひとつとして考えるべきなので賃金規定上で定めていいのかは疑問だったりします。ただし実質上2回までノーペナルティなので、妥当性が無いとは言い切れないと思います(これは感想)。運用に注意でしょう。
第2項では具体的な計算方法について記載しています。「第40条第3項の所定労働時間の算式により」と書いてあるので、その解説を読もうとこのNoteのページを探してはいけません。
なぜなら、数式が並んで面倒だったので私のNoteでは省略してあります。
ということで、これを読んでる人が怒る前に貼っておきます。
残業代の基になる計算式を使って、その分を欠勤等の控除に利用するので、妥当性があると言えるでしょう。
所定労働時間の計算方法については諸説あるので、別の機会にお話しするかもしれません。これも考え始めると深い話になります。
残業代の基になる金額を計算した時に、割り切れることの方が少ないので、
例えば、1299.709円/時間とかの少数になったりします。
厳密な話をすれば、円単位で四捨五入して、1300円/時間にすると、
①10時間残業した場合
四捨五入:1300円/時間 ×1時間×1.25=16,250円
丸めない:1299.709円/時間×1時間×1.25=16,246.3円
となり、割増賃金の支払としては本来よりも大目に払っているので問題ありません。
②10時間遅刻(早退)した場合
四捨五入:1300円/時間 ×△10時間=△13,000円
丸めない:1299.709円/時間×△10時間=△12,997.09円
と言うことで、本来より多く引き過ぎになります。これは賃金未払いになります。
そのため残業代計算時は切り捨て、欠勤控除では切り上げして計算する場合が多いです。この差は未払い賃金の時効3年分でも数千円にもならないので、これだけを争点とした裁判は起こらないと思いますが、監督署から指摘されたれり、助成金で問題視されるので注意が必要です。
こうした端数計算の方法まで就業規則や賃金規定に記載している企業も稀に目にしますが、ほとんどの企業では記載していません。
こちらは社労士目線で作る時の話であり、モデル規則の解説に書いてあることには、あまり触れていません。併せて参照して理解することが必要です。
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