マーケ経験者としてHR系プロダクトの営業担当者に伝えたい4つのこと
こんにちは、ナイルで採用やっている渡邉です。今回のテーマは「HR系プロダクトを売っている営業担当の方に伝えたいこと」。
昨今HRTechが盛り上がりを見せており、採用媒体、採用管理ツール(ATS)、リファラル採用ツールなど、色んなサービスが増えてきていますよね。
こうした背景もあってか、最近色んなHR系サービスを提供している会社さんから営業提案を受けるのですが、そこで感じたことを今回はお伝えできればと思います。
とはいえ、自分自身も5月に人事に異動したばかりなので”人事とはこうである”みたいなどこにでも当てはまることを語れる気はしていません。
ただ、元々Webマーケのコンサルとして300社くらいのWebコンサルティングを経験したり、最後らへんは月額3桁万円くらいの無形商材を売ってきた立場として(こう書くとそれっぽい感じになりますね)、「こうしてもらえるともっと意欲的に提案聞けるのに」と思うところを伝えたいので、温かい気持ちで読んで頂けると嬉しいです。
プロダクトセールスのよくある営業提案における問題点
ツール系の営業担当についてよくありがちな3つの問題。
・とりあえずご挨拶させてください問題
・営業先のことを調べず、ヒアリングもせずにサービス説明問題
・こんなに魅力的な機能たくさんありますよ問題
以下、それぞれ解説します。
・とりあえずご挨拶させてください問題
この”とりあえず”というのがとてもやっかい。先日の自分のとあるTweetに対してもらったコメントに言いたいことが書かれてます。
営業担当としての訪問目標が課されているのかもしれないけど、ニーズがないところに訪問してもお互い時間の無駄になってしまうだけなので、まずは電話でその会社の課題感なり、予算ありそうかであったり、色々ヒアリングした上で訪問する価値があるのかどうかを判断してほしいなと思います。
・営業先のことを調べず、ヒアリングもせずにサービス説明問題
自分は、訪問にきてもらったら、まず軽くアイスブレイクした上で、自社の事業内容や採用方針、体制などについて先にこちらから説明した上で、サービス説明をしてもらうようにしています。
何故なら、事業内容や組織体制や採用体制など、会社によってそれぞれ異なり、それによって抱える課題感や解決施策も変わってくるからです。特に自社(ナイル)の場合はWebコンサルやアプリメディアなど、やっている事業内容がイメージしづらかったり、組織体制や職種が少々複雑なので、それをなるべく理解してもらってからの方がいい提案をしてもらえるかなと考えています。
ただ、営業担当の方によっては事前に会社のことを調べてなかったり(論外)、先にクライアントの課題感をヒアリングして刺しポイントを見つけることなく、すぐに自社サービスの資料を取り出して読み上げる方がいます。資料を読むのは自分でも出来るので、訪問してもらう時間がもったないです。
・こんなに魅力的な機能たくさんありますよ問題
こちらが知りたい、”この機能がないとそもそも話にならない”といったことや”ここのフロー自動化できるならめっちゃ助かる”といった課題感を置いてけぼりにして、「こんな機能がありますよ」「こんなデータが見られますよ」と管理画面をみせてツールの使い方を説明してくる営業担当の方がけっこう多いなと感じます(個人的な所感ですが、色々出来る多機能ツールを持っていて、営業マンの数が多い会社になるほど、この傾向が強くなります)。
知りたいのはそこじゃないんだよなーと内心思いながらも、一生懸命説明してくれるので興味無いながらもフンフンと聞いているふりをしないといけないです(自分は割と感情が表情に出やすいらしいので、もしかしたらあからさまにつまらなそうな顔になっているかもしれません、ごめんなさい)。
と、色々文句垂れてても発展性がないので、自分が思う、こういう営業をされたら嬉しいというポイントを以下述べたいと思います。
HR系サービスの営業担当者のかたに伝えたい4つのこと
・出来る限りの事前準備をしてほしい
・機能ではなく、思想を売ってほしい
・人事担当者の成果とは何かを考えてほしい
・投資対効果を明示してほしい
1.出来る限りの事前準備をしてほしい
テレアポして、営業準備して、訪問して、社内決裁通して…と営業担当の方も色々と忙しくて、一々細かく調べてる時間なんてないよ!というのは重々承知なのですが、人事も色んな仕事に日々追われている(特にベンチャー人事は総務なぢ社内業務も兼任しがち)ので、30−60分の時間もかなり貴重です。
商談を有意義に使うためにも、事前にヒアリングするなり、会社のこと調べておくなり、出来る限りのことをやっておいてもらえると、入り口での印象がかなり変わります(別に事細かに調べる必要はありません)。
2.機能ではなく、思想を売って欲しい
これは以前、とあるリファラル採用ツール系の営業担当の方に実際にお伝えしたことなのですが、プロダクトの機能自体は自分はそこまで重要視してないです。
ツールサービスは機能自体にそこまで大きな違いがないことが多いですし(もちろん圧倒的な独自性と希少性をもつツールも中にはあります)、プロダクトが成長すれば、今はなくてもいずれ機能追加されて他社ツールに追いつくものだと考えています。
じゃあ何が気になるかというと、そのツールを提供する会社が目指す方向性と自社の方向性がマッチするのか。
例えば、A社とB社が同じリファラル採用管理ツールを作っていたとしても、それぞれでのビジョンは異なるはずで、その後の展開が変わってくるはずです。A社はその後ツールを拡張させてオンボーディングや、その後のエンゲージメントまでを測れるツールになるかもしれませんし、B社はそのツールとは別に採用コンサルや人材紹介領域に進出するかもしれません。
上記例は極端ですが、大手向けツールにするのか、中小企業ベンチャー向けにするのかでも、プロダクトの機能開発の方向性は変わってくるはずです。
直近でいいなと思っていれても、その後目指す方向性が自社が求めるものと異なってくると、いずれリプレイスを検討することになりかねません。特にツールは一度いれてしまうとリプレイスコストが高いので、なるべく事前にリスクヘッジしておきたいです。
なので、自分はそのツールを売っている会社のビジョンや今後どういう方向性を目指していくのかを聞いた上で、自社の方向性とマッチしていたり、共感できるようであればツール導入を検討するようにしています。逆にそこがマッチしてなかったらどんなにいいツールでも導入はしないと思います。
3.人事担当者の成果とは何かを考えてほしい
人事担当になってからわかったのですが、人事の仕事は考える、作る、実行するというそれぞれのオペレーションが切り分けづらい業務が結構多いです。なので、気がつくと目の前の業務に追われてしまいがちで一日が終わってしまいます。
「こんな機能があって便利ですよ」という提案ではなく、「このツールをいれることで、あなたの業務時間がこれくらい圧縮されて、もっとこういうことに時間を使えるようになりますよ」という提案をされた方がめっちゃ刺さります。
人事担当はツールの機能を求めているわけではなく、いい人材を採用して、成果をだして、組織に貢献して、その結果自分も評価されたいと思って頑張っているわけなので、そこの前提を踏まえたコミュニケーションの取り方に変えるだけでも、人事担当の目の色と導入モチベーションは大分変わるはずです。
4.投資対効果を明示してほしい
人事担当のモチベーションが上がっても、すぐに導入とはなりません。何故なら人事系ツールは、全社のオペレーションにも影響してくることが多く、現場との調整が必要だったり、単価が高くて経営側が「いいね、すぐに入れよう」という判断にはなりづらいからです。
人事担当がモチベーション上がっても経営承認をもらえなければ導入は至らないので、そこを支援するパートナーこそがツールの営業担当なわけです。
経営者としては、どれくらいのコストがかかるのか、それによってどんな効果が期待できるのか、それによって事業はどれだけ成長するのか、といった観点を気にするはずなので、
・いくらの費用削減になる
・何時間のリソースが空く
・現場メンバーの負荷が下がる
といった観点を明示してくれると、人事としては経営と交渉しやすくなります。人事業務はなかなか定量的に効果を表しづらいことも多いとは思いますが、そこは工夫次第だと思います。
例えば、自分は採用オペレーション業務の時間の取られっぷりに課題感を感じていたのですが、キャスターの石倉さんに相談したらそこがクリアになったのでキャスターリクルーティングを導入を即決しました(これはツールではなくてサービス導入の事例ですね)。
事前に課題感や知りたいことを箇条書きでまとめておいてMTG当日に共有したのですが、その場で提供価値(出来ることや出来ないこと)、他社事例などを回答してくれたので、すぐに導入を決めました。たしかWeb会議で30分もかからなかったはず。もちろんサービス内容自体も良かったのですが、キャスターリクルーティングの意義や目指すものに共感したもの大きかったです。
自分の場合は、5−10分単位で業務時間を管理しており、そのデータをもとに日程調整などにかけている工数を定量的に示せたので、今回は導入する際の期待効果を経営と握りやすかったのですが、そういうケースばかりでもないと思うので、人事が社内決裁通しやすくなるような情報提供や後方支援をしてあげると話が進みやすくなると思います。
おわりに
以上、あれやこれやと勝手な思いを書きましたが、今のHRTechブーム自体は大歓迎ですし、人事採用のパフォーマンスが上がれば、事業をもっとスピード感もって成長させられるはずなので、そういった意味ではHR系ツールの発展は人事の成長にも欠かせないと考えています。
せっかく各社がいいツール作ってHRを変えていこう!と頑張っていると思うので、その魅力が伝わるような営業をしてもらえると嬉しいなと思ってます。それでは。
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