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15年惹かれていた花澤香菜さんのファンになった話

何をすれば「ファン」になれるのだろう。

私(編集部員・ヤマ)は十数年近く声優・花澤香菜さんのことが好きなのだけど、「ファン」と名乗ることに躊躇いを感じていた。
自分よりもっと好きで詳しい方や、現場やグッズなどお金をかけて応援している方もいるだろう。「にわかじゃん」と思われたら嫌だな、なんて、あさましい想像をしていたのかもしれない。
そんな私だけど、最近になってやっと「ファンです!」と言えるようになった。

(会社公式のnoteで語るのは恐縮だが)今回は私がファンと言えるようになるまでを振り返ってみようと思う。


はじめての一目惚れ

はじめてお名前を知ったのは20年前、小学生の頃。当時好きだった男の子が「『To LOVEる』の結城美柑の声かわいい」と盛り上がっていて「結城美柑 声」と検索したのがきっかけだった。透き通ってかわいい声が耳に残り、その日からアニメで声を聞くたび「花澤香菜さんだ!」と意識するようになった。

心を奪われたのはそれから数年後。
CMで流れていた花澤香菜さんの3rdシングル「happy endings」(2012年)のMVを見て、あまりの可愛さにビビッときて目が離せなくなった。
人生ではじめての経験。「これが一目惚れというやつか」と衝撃を受けた。

オーストラリアのメルボルンで撮影されたMV。かわいらしい街並みのなか、微笑みながら歌う花澤さんがかわいくてかわいくて。ボブカットと青いシャツにチェックのスカートの衣装もぴったりで、私のツボにカエシ付きで刺さってしまったのだ。その結果、美容室でボブカットをオーダーし、似た洋服を探してアパレルショップを彷徨う女子高校生が誕生した。

もちろん見てくれを真似たところで花澤さんになれるはずはないのだが、好きな人の真似をしようとする高校生、行動だけはかわいい。

年齢でいうと私より7つ上だった花澤さん。お会いしたことはないけど、かわいくてキラキラした”憧れのお姉さん”に出会った感覚だったように思う。

ひとりの人間「花澤香菜さん」を知って

その頃から、動いている花澤さんを見たい一心で、声優さんの出ている動画を漁る日々がはじまった。イベントに参加することはできなかったけど、短い動画を見るなかでも様々な角度から花澤さんを知ることができた。

天使のような声におっとりした話し方、かと思えば頼もしい女性刑事から喰種や呪霊の役まで幅広く表現する演技力。声優さんとして素晴らしい方なのは言わずもがな、ひとりの人間「花澤香菜さん」として、愛すべきところに溢れている方だと感じた。

振り切ったネタを惜しみなく披露する「ギャップ」

芸人さんのラジオを聴きながら移動するのが日課だという、大のお笑い好きな花澤さん。

お笑い好きも高じてか、2018年に主演声優を務めた「はたらく細胞」と吉本興業さんのコラボイベント、2020年に出演した「しゃべくり007」、そして2024年の「千鳥のクセスゴ!」で、”ジョイウーマン”としてジョイマンさんのネタを完コピで披露。バラエティ魂とかわいさのギャップが話題となった。

この振り切れ具合はお笑いネタに留まらず、アニメでも垣間見える。

2019年にニコニコ動画独占で配信された「ポプテピピック」。本作はキャラクターの声優さんを前後編で変えて、映像は全く同じものを放送することで話題となっていた全12話のギャグアニメなのだが、花澤さんが出演したのはスペシャル版として配信された第13話・朱雀の前半。

映画「ランボー」のパロディシーンで、他の声優さんが演じたバージョンではオリジナル寄りのコントネタで盛り上がるなか、花澤さんパートでは、ご自身の自虐ネタが繰り出されていた。

自分の金で買った好きな服をディスられている!
SNS上ではクソダサいだのみんな好き放題いいやがる
あいつら何なんだ!何も知らないくせに!

わたしの時代はいつ来るんだ?
少なくとも、ファッション誌には載っていた服だぞ!

(中略)

あたしゃバラエティ声優だよ!

毎日夢を見るんだ
川柳大喜利が滑った時の夢を…

「ポプテピピック」第13話朱雀( https://www.nicovideo.jp/watch/so36576492  )より

一部のファンから揶揄されていたことに自ら触れたこの台詞、勢いも相まって花澤さんの魂の叫びとおもしろさに涙が止まらなかった。

心地よいオタクっぷりが生む「親近感」

そして花澤さんは好きなものを語るときのオタクっぷりがとても良い。

ラジオ「花澤香菜のひとりでできるかな?」や様々なアニメイベントでも好きなものを語る花澤さんが窺えるのだが、私が特におすすめしたいのは今年の3月まで配信されていた「まんが未知」。ハライチ・岩井勇気さんと花澤さんが漫画についてトークを繰り広げる番組だ。2人の掛け合いと漫画愛がたまらなく愛しくて、どこか親近感を感じる。

例えば、漫画「酒と恋には酔ってしかるべき」を取り上げた回では、作中で登場する今泉くんという男性について「そうなんですよ!先輩をこういう目で※△%□」(01:45頃~)と興奮した様子で語る花澤さんが見れる。
(興奮気味に話す姿もかわいいのが恐ろしいのだが)自分の好きなものについて感情のまま語る姿というのは親近感が湧くし、おそらく好きなものがある多くの方が「分かる、こうなるよね」と頷いてしまうのではないだろうか。

人をより好きになる要素として、「ギャップ」や「親近感」があると思うのだが、花澤さんはまさにこの2つの要素を兼ね備えた方だなと思う。

ライブ・リアルイベントを通して

そうしてすっかり花澤さんに惹かれた私だったが、それでもなお「ファン」と名乗る勇気は持てなかった。
これはライブやイベントに参加したことがなかったことが大きな理由で、「ライブ行ったことないのに?」と思われないか、尻込みしてしまったのだ。小心者でごめんなさい!

言い訳になるが、これまでライブに参加したことがなかったのは、音楽アーティストさんのライブ=立って跳ねて応援するものというイメージを持っていて、スタミナに自信がない私とは縁遠い場所だと思ってしまっていたから。

しかし今年の9月8日から開催された「HANAZAWA KANA Zepp Tour 2024 “Memoirs and Fingertips”」。ひょんなことからライブに行く機会に恵まれ、人生ではじめてライブを観させていただいた。
4月10日にリリースした7thアルバム「追憶と指先」を引っ提げて、横浜・大阪・名古屋・福岡・札幌・東京・台北・クアラルンプールと国内外8都市を回るツアーの第1回。ステージ上で微笑みながらくるくると回ってみたり、MCでライブの良さをファンに尋ねたり、はじめての声優を振りかえってファンに感謝を伝えたり。そして柔らかく透き通った声を伸びやかに響かせる花澤さんに、会場中は多幸感で包み込まれていた。(危惧していたスタミナも問題なかった)

好きな人が目の前にいて、生歌を聴ける嬉しさたるや。ライブやフェスが好きな方の気持ちが分かった気がする。個人的に大好きな2曲を以下に紹介するので、もし花澤さんの歌をまだ聴いたことがない方がいたら聴いてみてほしい。

▽SHINOBI-NAI(2021年)

▽灰色(2023年)

はじめてのライブにひどく感動した私は、その後札幌公演、東京公演、そして同時期に開催されたファンクラブイベントにも参加したのだけど、会って歌やトークをきくたび、どんどん気持ちが増幅するような気がした。

すべての公演を終えて、気付いたことがある。

他のファンの方々と、花澤さんについて語ることが楽しくて仕方がないのだ。そしてファンでない友人に対しても、花澤さんがいかに素敵か、ライブがいかに良かったか、話したくて仕方がないのだ。頭のなかで伝えたい言葉が組み立っていないのに「あのね、最近ね」と気持ちのまま言葉にしていた。(私の長尺語りを聞いてくれた友人たちは、正直怖かったと思う。友人のままでいてくれることに感謝しかない)

ライブ会場でもらえるステッカーがかわいいという話に派生

興奮気味に話したので上手く伝わったか怪しいが「分かる!最高ですよね」「前に参加したイベントも良くて」「本当に好きなんだね」「私もライブ行ってみたい」と返ってきたときなんだか嬉しくて、自分のなかで漠然と抱えていた「好き」がたしかな感情で、応援したいと強く思っていることを実感した。

リアルイベントでお会いしたことで気持ちがより高まって、抑え込めなくなった感情を伝えようとしてはじめて、自分の「好き」を肯定できたような気がする。そして、自分の感情を肯定できたことにより「ファン」と言うことが怖くなくなった。
(自由にファンと名乗って良いことは大前提)私の場合、知識が浅いとか年数が短いとか、誰かと比べた不安を「好き」の気持ちが凌駕したことで、やっとファンになれた気がする。

ファンになって、今

かくして花澤香菜さんのファンとなった私。

毎週日曜夜。ラジオを聴いて眠る習慣ができた。どんな1週間を過ごしても、月曜がはじまる前に好きな人のラジオが聴ける。明日からもまた楽しい1週間になったらいいな、と思って目を閉じる。

花澤さんのイベント情報が発表されると、すぐさまスケジュールを入れるようになった。イベントの日をモチベーションに、まだまだ頑張れるな、と思って笑顔になる。

これはとても幸せなことだなと感じる。好きな人がこの世界にいて、ファンとして応援することができて。いつか私も、私が花澤さんに出会って感じたのと同じ感情を、メディアの仕事を通して生み出していけたらなと思う。

花澤香菜さん、ずっと第一線で存在し続けてくれて、ファンでいさせてくれて、ありがとうございます!

(文 ヤマ)