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8年を経ての出戻りで痛感!創業期から変わったことと変わっていないこと

Sprocketの創業期に参画し、一度会社を離れた後、8年の月日を経て舞い戻ってきたのはマーケティング本部・事業開発責任者の寺本雅裕さんです。

紆余曲折を経て再入社した寺本さんに、出戻りの経緯や思い、そして創業期のSprocketと現在で変わったこと・変わっていないことについて伺いました。


自身の会社を解散後、ゲームで社会貢献する道を選択

ーーこれまでのキャリアについて教えてください。

元々ゲームが好きだったこともあり、最初はゲームメーカーに就職し、オンラインゲームの責任者を務めました。その後、自身でゲーム会社を立ち上げました。しかし、残念ながら経営に失敗し、解散となってしまいました…。

それまで自分の好きなことをやろうとしか考えてなくて、エンタメとしてゲーム開発にずっと目を向けていました。ですが、ちょうどその頃娘が生まれて「子どもの将来に向けて何ができるのか」とマインドが変わり、ゲーム要素を応用することで社会貢献できる道があるのではないかと模索しました。

そこで出会ったのが、Sprocketの前身であるゆめみ社です。代表の深田さんはゲームのデザインや考え方を、課題解決や顧客満足の向上などゲーム以外のものへ活用する「ゲーミフィケーション」の本を何冊も書いていて、ゲーミフィケーションの第一人者でした。

そして、2012年にゆめみに入社しました。

株式会社Sprocket マーケティング本部 事業開発責任者 寺本雅裕

ーーゆめみは2000年に現・Sprocket代表の深田浩嗣が社会人経験のない学生3人で立ち上げたんでしたね。

はい。ゆめみ内でゲーミフィケーションを取り扱うチームが「おもてなしプラットフォーム部」でした。そこが2014年に分社・独立する形で株式会社Sprocketが誕生しました。私もゆめみからSprocketに籍を移すことになります。

当時のSprocketのメンバーは10名ほどでした。絵に描いたようなスタートアップでしたから、公私の境もなく、ひたすら事業に熱中して取り組んでいました。みんな終電まで働いていましたし、寝袋を持ち込んでいる社員もいました。大変なことばかりでしたが、社員全員が自分事として事業成長にコミットしていたので、笑顔が多い職場でとても充実していました

その後、Sprocketはゲーミフィケーション事業から方針転換を行い、そのシステムを土台とした新たな事業として「Web接客」のサービスを提供していくことになります。仮説検証の仕組みとしてA/Bテストをプラットフォームに組み込み、成果を出していけたインパクトが大きかったですね。

個人としてもデータ分析やデジタルマーケティングの基本を多く学ぶことができました。

教育業界で新規事業の難しさを味わう

ーーSprocketを退職されたのは、どのような経緯からだったのでしょうか?

Sprocketにはゆめみ時代も含め4年ほど在籍していました。その頃、PSVR(PlayStation VR)が出たりした時期でVRが流行り始めていました。そのタイミングで知り合いのVR会社の社長からヘッドハンティングされたのです。

私も最新技術であるVRに興味があり、その会社はVRをエンタメではなく生活を豊かにするために活用するという社会貢献性にも惹かれ、退職を決意しました。後ろ髪引かれる思いでの転職でした。

その後、2人いる娘たちが大きくなるにつれ日本の教育、特に受験についての問題意識が強くなっていきました。そして、縁もあって教育業界に飛び込むことになります。

ーー教育業界ではどのようなお仕事を?

教育系サービスを展開するIT企業で、3つの新規事業の責任者やマーケティング担当業務に携わってきました。

教育の新規事業はうまく行ったこともありましたが、それ以上に失敗も多かったです。教育をテーマに収益を伸ばしていくことの難しさを痛感しましたね…。

教育市場は国内で3兆円近い巨大市場ですが、その大半が受験で成り立っています。でも受験に対する問題意識があって教育業界に入ったのに、収益確保のために事業を受験に寄せなければならないというジレンマに苦しみました。

また、新規事業なので常に新しいことの連続で、Sprocket時代に培ったデータ分析やデジタルマーケティングのスキルを活かせる場面は多くありませんでした。

ーーSprocketに戻ることになったきっかけは?

Sprocketの元同僚の一人と家が近いこともあり、たまに会っていました。教育業界で抱えている悩みなどを打ち明けていくうちに、これまでの培った自分のスキルを社会に還元し、事業成長にもつなげていけるのはやっぱりSprocketなんじゃないかと思うようになっていきました。

飛び込む(バンジージャンプする)寺本さん

組織規模が変わっても人と向き合う文化は変わらない

ーー出戻りでも例の最終面接はあるのでしょうか?

例のというのは、深田さんによる数時間に及ぶ最終面接のことですね(笑)。出戻り関係なく、今回もありましたね。2012年にゆめみに入ったときも最終面接は深田さんでしたが、それまでのことやこれから何をやるかを話していたら4時間経っていました。

今もやってるんだと驚きましたが、それだけ応募者一人ひとりと向き合って、お互いのことを真剣に考えていきたいという表れなのだと思います。

ーー実際に再入社して、創業期から変わったなと感じるところはありますか?

まず当たり前ですが社員数の多さ、組織の規模ですね。当時は10名程度だったのが今は70名を超えていますから。案件数や売上も桁が変わっていて、大きく成長したことに正直驚いています。スケールアップにあわせて、必要な組織や制度も整ってきている印象です。

期初の全社会議のときに深田さんがSprocketの社会的な役割を「未来につながる社会をつくるために、企業とその顧客の関係を正しく変えていく。これまでリーチしてきたのべ1.5億人の人数を100倍にしていく」と話していたのが印象的でした。

創業時と根っこのところは変わっていないのですが、社会的意義を持って企業運営していく姿勢は当時よりもかなり強く明確になっているなと感じました。

当時は人数も少なかったので阿吽の呼吸で通じ合っていましたが、メンバーが増えても会社として大切にしていることがブレないよう、ビジョンやメッセージがしっかり可視化されているところも良いなと思いました。

ーー逆に変わらないなと思う部分はどういったところでしょうか?

100名規模に近づいてもなお上司・部下というヒエラルキーをつくらないように組織設計がされているのはすごいと思いましたね。

経営上の数字は全社員に公開されていて、それだけ事業について自分事化することを求めていますし、社員の方もそうしようと努めているところも変わってないですね。今はそんな働き方するような会社ではありませんが、創業時にはどれだけ働いていてもみんな笑顔でいられたのは、この自分事化の部分が大きかったと思います。

創業時のSprocketにあった良い部分がきちんとストレッチされて伸びてきていると感じ、安心しました。

とにかく結果を出すところから始める

ーーこれから寺本さんが取り組まれることについてお話しください。

「Sprocket Insights」という新サービスをローンチし、事業開発責任者として成長させていきます。

Sprocket Insightsは一言でいうと、サイトの課題や打ち手をデータが見つけてくれるサービスです。私自身もいちマーケターとして課題発見や施策の立案には本当に苦労してきました。Sprocket Insightsは、タグの設置だけでAIがデータから課題と次の一手を導くので、マーケターの抱える課題を直接的に解決できます。

SprocketのValueは「信頼し尊重する、探求し還元する、突破し結果を出す」ですが、まずはSprocket Insightsによってクライアントの課題解決とSprocketの事業成長を通してとにかく結果を出していければと思っています。

ーーその他、将来的に実現したいことや抱負についてお願いします。

2人の娘たちが大きくなったときに自分らしく充実した人生を送れるようにするため、どういった環境になっているべきかはずっと興味のあるテーマです。

ですので、Sprocketとしてのサービスになるか個人開発になるかはわかりませんが、一人ひとりの自己実現をお手伝いするプロダクトも手掛けていければと思っています。

Sprocket Insightsにより、世のマーケターたちを苦しみから解き放ちたいと思っていますし、さらには個人が個性と能力を最大限に発揮して、理想を叶えられる社会を実現していければと考えています。


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