ピアノのバッハ6: 左手のためのシャコンヌ
わたしは我が家の料理担当です。
家族のために毎日台所に立ち、毎日数時間を料理に費やしています。
海産物が豊かな土地に住んでいるので、自家用ボートで海釣りをするフィリピン人の隣人からおすそ分けしてもらったり、スーパーで魚を丸ごと仕入れて(切り身よりも一匹そのままの方が安い)、三枚に下ろして、新鮮な刺身などを自家製で拵えて舌鼓を打ちます。
なのですが、もう十何年も包丁で怪我したこともないのに、なかなか取れない硬い鱗をガリガリと無理して剥がそうとしているとき、鯛の尖っている鋭