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オーバートレーニング症候群【Doctor Tのスポーツ・エクササイズ医学】

こんにちはドクターTです。時々暖かい日が出て来るようになりましたね。みなさん体を動かしていますか?

オーバートレーニングとは

突然ですが、オーバートレーニング症候群という言葉をご存知ですか?
トレーニングのし過ぎによる疲労の蓄積やストレスによって、パフォーマンスの改善どころか心身ともに不調をきたしてしまうことを言います。

厳しい練習やスケジュールに耐えなければいけない環境に置かれているという点では、いわゆるアスリートに起こりやすいものだと思いますが、部活でも起こり得るのでお子さんでも注意が必要です。

トレーニングは負荷の調整が肝

トレーニングというのは「徐々に」負荷を上げて練習することによってスポーツのスキルを上げていくことが目的です。この負荷の調整というのが実は難しいんです。

少しチャレンジングな負荷がよい

上の記事のタイトル"More Is Not Always Better"にあるようにやり過ぎは「良くない」です。かと言って負荷が少なすぎると上達しません。少しチャレンジングだなと思う負荷を繰り返し、徐々に負荷を上げていくのが良いトレーニングです。

オーバートレーニングは多方面に悪影響

下線は比較的早い段階で出てくる症状(Madden 2008)

筋肉組織のダメージももちろんありますが、自律神経やホルモン、免疫機能にも影響が出ることがわかっています。そのため上に示したようにうつのような気分の変調、脈拍が変わる、風邪を引きやすくなるといった症状がでます。

減らせるリスクファクターはありませんか?

オーバートレーニングになるリスクには以下があります。思い当たることがあったら、できるものから減らしましょう!

①トレーニングの負荷が強い 
②トレーニング外でストレスがある 
③体調が良くないときでもトレーニングプログラムに固執してしまう 
④ケガなどで穴が空いた分を補おうとする 
⑤パフォーマンスが上がらないことに対してさらに練習負荷を上げる 
⑥トレーニングに多様性がない 
⑦休息が不十分!

トレーニング以外でのストレスというのは、試合で勝つことへのプレッシャー、失敗を恐れる、他人からの期待、現実的ではない目標を立てることなどです。
どれも適切なレベルであればプラスに働くのですが、バランスが崩れると害になってしまうんですね。

オーバートレーニング状態であることに気づくのは難しい

パフォーマンスが上がらないから更に練習を増やそうというのは誰もが考えることで、自分でその原因がオーバートレーニングだと気づくのは難しいでしょう。なかなか上達しない時は、誰かにアドバイスを求めるのがいいかもしれません。内容を良くしたほうがいいのか、トレーニングのし過ぎで疲れてしまっているのか見えてくるかもしれませんね。

予防が大切!

オーバートレーニング症候群になってしまうと対処は休息しかなくなってしまいます。予兆が見えたら練習量を減らすのが最も効果的ですが、それ以外の対処方法が「十分な睡眠、栄養、水分摂取、そしてストレスをできるだけ減らす・発散する」です。これらは予防策にもなります。聞くと基本的なことですが、プレッシャーの強いストレスの下では一転して簡単ではなくなってしまいます。うつ病と似ています。早期発見、早期介入、でも一番大事なのは症状が出る前からの予防です!

まとめ

  • 適切な負荷においてのみトレーニングは効果が上がる

  • オーバートレーニング状態になると心身に不調をきたす

  • 神経やホルモン、免疫にも悪影響が出る

  • オーバートレーニングに気づくのは難しい

  • 休息をしっかり取ると同時にそれ以外の予防策も大切!

今回は一般の方にはあまり馴染みのないオーバートレーニングについて話しました。この問題を改善していくには、アスリートのメンタル問題と同様に本人だけではなく周りの人の理解が必要だと思ったからです。

私も授業を聞いて教科書を読んでいただけの時は、休息すればいいんだからそんなに難しいことではないのではないかと気軽に考えていましたが、現場に出て初めてわかったのが、休息できない状況だからこそ、オーバートレーニングに陥るということです。プロスポーツはシーズン終盤になって、勝たなければいけないプレッシャー+疲労の蓄積が立ちはだかります。More is always betterであれば簡単なのに…と思う今日この頃です。

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