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知らない人に会いにいく
先日、週末に行われる某イベントの設営バイトに行ってきた。
僕がわざわざアルバイトする理由には、旅の資金稼ぎ、肉体の運動、気分転換であったりと様々なのだが、なんといっても「知らない人に会う」というのが地味に大きい気がしている。
「知らない人に会う」ことの効用は後述するとして、今回の記事は僕のなかで蓄積した違和感を体の外に排出するために書くこととする。
したがって、あくまで個人の記録や気持ちの整理という意味合いが強い記事であることをあらかじめ前置きしておく。
午前6時、僕は起床した。
珍しく布団からすぐに脱出でき、身支度も軽く済ませ、午前7時には家を出発した。
最寄り駅までは、散歩も兼ねて25分かけて歩いた。日の出直後だったこともあり、まだ建物の背後に隠れた太陽の光が桃色や橙色をしていて、夕焼けのような空だった。
その後、電車を3本乗り継ぎながら、午前8時20分会場に到着した。
集合時間は午前8時40分だったため、集合場所近くで待っていたのだが、各所で別の派遣先のアルバイターが集結しており、どれが僕のグループなのか分からない。そうこうしていると、午前8時37分に担当者から電話が鳴り、無事合流することができた。
僕のグループには、すでに20名ほどが待機していた。そこから、1班につき4〜5名が配属され、4班に分割し、それぞれにリーダー格のスタッフが2名配置された。僕は、4人班に分けられた。
現場に到着すると、まずは荷物の搬入から始まった。巨大な会場に大型のトラックが次々と入退場を繰り返し、設営の準備が進んでいく。我々の班の設備器具は、アート引越しセンターの車に乗ってやってきたので、その意外性に若干関心が湧いた。
我々の班が担当したブースは、大掛かりなセットを組まなければならなかった。それにも関わらず、班の構成はリーダーが男女1名ずつ、アルバイトは僕と女性1名だったので、少し人手不足な印象だった。というのも、アルバイトが1人飛んでしまったのが原因のようだった。
指定された敷地の周りに設備器具を搬入し終えると、リーダー2人は設計図を元に受注した通りのブースを組み立てる段取りを考えていく。そして、しばらく相談した後、トラス組みから始めることとなった。
我々が組み上げたのが、T字のような形のまさに塔で、Tのテッペン四方四面に看板を設置したようなものである。
最初に看板をつける部分のトラスを組んでいき、手でボルトとナットを仮止めしていく。次に、インパクトドライバーを使い、本締めをしていくのだが、素人でも操作は簡単なので面白かった。
本締めが終わると、ジニーリフトと呼ばれる機械を用いて、指定の高さまで持ち上げる。
https://www.mc-supply.jp/genie-lineup/gl-series/
トラス左右の対面にジニーリフトを1台ずつ差し込み、声かけをしながら左右均等にロープを手動で巻いていく。これに限っては力作業なので、男性リーダーと僕2人の出番である。案の定その翌日には、腕周り中心に筋肉痛となったが、良い筋トレだったようである。
文章にすると簡単そうに聞こえるが、このT字の塔を4人で作るのに、午前中まるまる4時間かかった。ここで、1時間の昼休憩となったが、リーダー2人は納期が決まっているようで、まだ進められる箇所を設営していた。
昼食後は、パネル設営を手伝った。パネル設営といっても、展示会用の大きなものだったので、これも結構大変な作業である。支柱を組み立てていき、支柱間の枠部分にMDF材を嵌め込んでいく。もちろん、ヘルメットはしているが、脚立に乗っての高所作業もあり、鈍臭いと怪我することも容易に予想されたが、なんとかサポートしていった。
ようやく、展示パネルの骨組みが完成したところで、今度は展示企業の横断幕シートを飾り付けていく。骨組みとシートの接着には、通称ベルクロと呼ばれる両面テープのような接着材を使用していた。
僕もこのテープの接着を担当したのだが、ふわふわのメステープを貼ったまでは良かったのだが、その上からオス側テープを貼る際に粘着面を逆向きに貼ってしまい、一箇所だけ二度手間になってしまい、注意された。
説明も適当にされてしまったので、聞き返さなかった僕も悪いのだが、初心者相手にたった一度のミスで露骨に嫌な顔をされたため、気持ちよくはなかった。
そもそも注意される前から感じていたことだが、僕個人を名前ではなく、「そこの」とか「赤い服の男の子」とか呼んできて、その場限りのバイトの名前を覚えるのも癪なのは分かるが、それは違うのではないかと感じた。
また、僕の見た目が学生に見えたのかもしれないが、終始タメ口で、態度も偉そうで、時間がないことによる余裕のなさとそれに伴う不機嫌な感じがなんとなく滲み出ていた。
作業中気づいたことは、指示する側と指示される側を比較した場合、圧倒的に指示する側が強い立場になりやすいという構造が潜んでいることである。
逆に、指示される側が強い状況が思いつかないだけなので、僕のただの偏見な可能性も否めないが、指示する側は強い力を持っていることを自覚した上で、適切な指示をする方が物事が円滑に進むのではないかと僕は考える。
また、言葉は刄にもなりうる。
投げかけられた些細な言葉に、何か嫌な感じがあり、そのことを強く意識した。言葉には強い力があるため、自分が使いたくない言葉は使わない。これは何度肝に銘じてもいい気がする。
ここまででお気づきのように、知らない人に会いに行くことの効用は、他人から色々学べることである。
今回に関しては、どちらかといえばネガティブな面が多かったが、もちろんポジティブな面も学べる機会がある。
例えば、この日のアルバイトを通じて、やはり僕は指示される側にはなりたくないんだなということが改めて分かったし、指示する側になった時に気をつけるポイントも少し分かってきた。
また、僕が働く上で最も大切にしたいことは、人間関係を土台に置いた環境であることも分かった。
終始分からないなりに頑張っていたが、気づけば規定の時間を1時間過ぎ、午後19時になっていた。
ここで解散が告げられ、この日のアルバイトが終了した。
僕は帰り道で、1つのイベントを興行するにも、たくさんの人が関わっているんだなとしみじみと感じたのであった。
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