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「楽しい時もつらい時も心を包んでくれた伝統のお菓子~『シュトルーデルを焼きながら』~」【YA㉓】
『シュトルーデルを焼きながら』ジョアン・ロックリン 著 こだまともこ 訳 (偕成社)
2007.6.13読了
※夏のこの時期ですので、少しの間、戦争や平和などに関する本をご紹介させていただいています。
今回の本は当時ネットで知り合った方が教えてくださった本で、さっそく読んでみた時の感想です。
このシュトルーデルという、ユダヤ人の間に伝わるお菓子のことだそうです。
なんだか聞いたことがあるような気がしたのは、全くの気のせいでした。
といいますか、私の勘違い。
恥ずかしながら、ドイツに伝わるクリスマス菓子のシュトーレンと間違って認識してしまいました…。(情けない><)
実に100年以上、7代にも渡るあるユダヤ人家族の苦悩と喜びの暮らしが、シュトルーデルという伝統のお菓子に織り交ぜられながら語られていきます。
何か特別なことがあるときに、必ず家で焼かれるシュトルーデルというお菓子。
砂糖や卵をいれた小麦粉を練ってたたいてからうすくのばしていき、上にりんご・レーズン・くるみやケシ粒などをいっしょに甘く煮たものを乗せてくるくると巻いていき、馬の蹄鉄型(半月状)に曲げて焼いたこのお菓子は、これだけではおいしくありません。
「おはなし」という最上級のエッセンスを加えてあげないと、おいしいシュトルーデルにはならないのです。
孫やひ孫の代の子どもたちが、何代にもさかのぼってずっと繰り返し語られてきた家族の歴史。
それは昔から頑としてキリスト教に改宗しようとしないユダヤ人たちが、多くの他国民から受けてきた迫害や、そのようなつらい中でも楽しく一所懸命に生きてきた慎ましやかな人々の歴史でもありました。
そしてそれはこれからもずっと語り継がれていくのです。
代々続いたシュトルーデルとともに…。
(このシュトルーデルの作り方も本に載っているので、お菓子作りに自信のある方はチャレンジするのもいいでしょうね。その人が持つ「おはなし」もいっしょに練りこんでくださいね。)