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荀子 巻第四儒效篇第八 2 その3
前回まで、秦の昭王の問いに対する荀子の回答を読んできました。今回、荀子の回答を受けて、昭王より新たな問いが発せられます。
王曰く、然らば則ち其の人の上たらんには如何。旬卿曰く、その人の上たるや広大なり。志意は内に定まり礼節は朝[廷]に脩まり、法則度量は官に正しく忠信愛利は下に形わる。
志意→あるものを目指そうとする気持ち。こころざし。意志。
内→④宮中。朝廷。
拙訳です。
『秦王が言う、「であれば(儒者が)君主になったらどうか。」荀子が答えて言う、「(儒者が)君主であれば広く大きくなります。朝廷において志が定まり礼節は修まり、行政府が守るべき規則や長さ容積は正しく真心・愛情・利益が世間に浸透します。」』
少し端折ります。その後荀子は次のように述べています。
此の義、人に信ぜられ四海に通ずれば、則ち天下のこれに応ずること讙きが如し。是れ何ぞや。則ち貴名の白われて天下の治まればなり。故に近き者は歌謳してこれを楽しみ、遠き者は竭蹶してこれに趨き、四海の内は一家の若く通達の属は従い服せざること莫し。
四海→②《四方の海の内の意》国内。世の中。天下。また、世界。
讙→①かまびすしい。やかましい。
貴名→② すぐれている、りっぱだという評判。
竭蹶→つまずいて倒れる。
拙訳です。
『この義が、人に信じられ天下中に知られれば、その反応はやかましいほどです。それは何故でしょうか。優れている、立派だという評判が浸透して天下が治まるからです。近い人は歌を歌って治世を楽しみ、遠くにある人はつまづき倒れながらもやってきて、天下は一家のようになり法令・通達などに服さない者はいません。』
儒者が上に立てば、治世が行き渡り人々に知られ、近き者は歌いよろこび、遠い人は転びながらやってきて従う、国が家族のようにまとまると言っています。すばらしいです。
戻りますが、この前の文の「広大なり。」の訳し方について、ここの文章『人が慕い集まってくることで領土が拡張される』と理解しまた踏まえて「広く大きくなります。」とそのまま訳しました。
途中端折って最後の文です。
夫れ其の人の下と為りては彼の如く、其の人の上と為りては此くの如し。何ぞ其の人の国に益なきことを謂わんやと。昭王曰わく、善しと。
拙訳です。
『(儒者が)臣下となれば先のようで、人の上に立てばこのようです。どうして儒者が人・国に益なしと言えましょうか。昭王が答えて言う、「よし。」と』
説明しようがない感覚ですが、最後の「昭王曰わく、善しと。」が非常に簡潔でさっぱりしていて、それでいて重さが感じられて好きです。
明日からゴールデンウイーク、読書もお休みにしてのんびりします。