読後感想2 星新一: 一〇〇一話をつくった人(最相葉月)
小学生4年生の時に初めて星新一の作品に出会った。確か地元の図書館に大量のシリーズが置いてあって適当に取って読んでた気がする。その中で1番印象に残っているのは「ひとつの装置」という話で最初読んだ時はあんまりピンと来なかったが、何かこの話には裏があるんじゃないかと考えている内に星作品の魅力に知らず知らずの内に引き込まれていった。その後しばらくたってなんだかんだ中学、高校、大学と星作品を読み続けているから何だか感慨深い。自分にとって星新一は身近である様でそのバックグラウンドをよく知らなかった遠い存在でもあった。なので今回紹介する本はまさに自分の知りたかった事にピッタリ当てはまっている物であり図書館でタイトルを見た瞬間惹かれた。この本では作者が星新一についての資料を根こそぎ集め、また星の旧知の仲の人を取材してその情報をまとめている本である。中身はというとやはり面白かった。まず星新一の幼少期から詳細に書かれている。小学生の時の同級生にまで取材しているのは流石に驚いた。その後戦争を挟んで東大に進学した時の話や父が急死し、混乱の中で会社を継いだ時の苦悩など一つ一つ濃く記されている。この辺りの話を読んでいると星新一という男が他の作家とはだいぶ違う道のりを歩んでいる事が分かって面白い。星新一といえば淡々とした文体で冷静に物事を本質を見抜く様な作品が多いがこの本ではそんな星新一の人間臭い部分にフォーカスが当てられているのが一番の魅力だと思う。一つ嫌だった所はこちらとしては星新一について知りたいのにSFについての話や彼の親族についての話が結構な分量で書かれたいたのが残念であった
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