映画の話766 怪物

　学校でなにが起きているのか、わかっているようで全くわからないもどかしさは、もしかすると保護者から見える学校というものは、もやのかかった風景なのかもしれません。同時に、保護者を警戒する学校の実情、また教員から見えない教室の様子、ひとりの若い教員をスケープゴートにするなど、少しずつ違う風景のズレが深い闇を産み続ける、恐ろしい映画でした。
　そして、その奥底にあるのが、微妙に揺れ動く少年たちの不安定な思いであるところが切なかったです。
　安藤サクラ、田中裕子の演技は圧倒的な迫力がありました。