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山の話

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50年以上前の事ですが、高校生がアルパインの道に引き込まれて行った自伝小説です。
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記事一覧

山の話 7 下山の日

1月4日  早朝、テントの外は、昨日の猛吹雪が嘘のように静まりかえっていた。 空には、ま…

sotomune
11日前
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山の話 6 深雪と岩稜、極限の冬山体験

1月2日の朝を迎えた。 昨夜から猛烈な吹雪になり、ベースキャンプ周辺も吹き飛ばされそうな…

sotomune
3週間前
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山の話 5 エベレスト女性登山隊

ここで、わが会の女性会員の話をします。 4人の女性たちは、日本女性として初めてエベレス…

sotomune
1か月前
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山の話 4 八ッ峰隊

翌朝も、相変わらずの吹雪がベースキャンプを包んでいた。リーダーの話によると、冬山は10日に…

sotomune
1か月前
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山の話3 岳人の館

真っ暗闇の中で、必死に雪を掻き出す 深夜、雪洞の中で意識が遠のきそうになる息苦しさに叩…

sotomune
1か月前
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山の話2 初めての正月合宿

冬山への出発、高まる期待と不安 いよいよ待ちに待った山岳会の正月合宿が始まる。荷揚げ山…

sotomune
1か月前
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山の話1 山岳会入会記:18歳、冬山と出会う

山との出会い 10代の終わり頃、テレビドラマで見た山男の姿が、私の心を揺さぶった。 寡黙ながらも力強いその男は、山小屋で危機に瀕した女性を救い、私の中のヒーロー像を塗り替えた。 高度成長期の熱気が冷め、若者たちが将来への不安を抱えていた時代。 私もその一人だった。 昼は歯科技工所で働き、夜は定時制高校に通う日々。 そんな中、山は私にとって、閉塞感を打ち破る希望の光となった。 集会場 初めて訪れた集会場は、荒川のすぐそば、日暮里駅から少し歩いた場所にあった。