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回旋動作を考える Part4
「回旋動作を考える」奥が深い回旋。今回はPart4。
競技局面に合わせたトレーニング
前回も書きましたが、バイラテラルのエクササイズ(両足がおなじ動きをするエクササイズ)と片足で行う場合では、使われる筋肉も変化します。つまり両足を並行にして行われるスクワットなどのみでは不完全ということです。ということでシングルレッグデッドリフトのような片足ずつにアプローチするエクササイズも取り入れていく必要があります。
そもそも足を揃えた動きよりスプリットのスタンスの方が競技局面で多いでしょう。
競技時の動きを再現する必要があるわけではない
競技において必要な筋群や動作スキルをトレーニングするのがパフォーマンス向上において必要となります。(傷害予防のためにも)
だからといって、パフォーマンス向上目的のウェイトトレーニングの際に必ずしも競技時の動きを再現する必要があるわけではありません。
ではなぜスプリットスタンスで鍛える必要があるのか?
答えは「鍛えられる筋肉が違うから」です。具体的には大臀筋の上部や中殿筋といった股関節の外転筋などです。
回旋動作の強化のためブルガリアンスクワット
今回は回旋動作の強化という視点から見たブルガリアンスクワットについて掘り下げていきます。
支持基底面を考える
支持基底面とは、身体を支えている底面のことを言います。立っている状態であれば、両足の底と、その間の面積が支持基底面となります。
通常、立っているときには、両足でまっすぐ立っていますよね。この時の支持基底面は両足の足裏とその間の部分となります。この両足の間の範囲内に体の重心が入っているから、安定して立っていることができるのです。
逆に言えば、重心が支持基底面に入っていないと、たとえ健常者であろうが転倒してしまいます。たとえば、直立して立っていて、ひょいと片足立ちをすると、上体が床に接地している足の方に傾くと思います。これは、片足立ちした瞬間に支持基底面が片足の足裏部分だけになってしまうため、立位を保つために重心を支持基底面の範囲内に収めようと、身体が自然に動いているんですよね。支持基底面から外れかけた重心を支持基底面内に納めることができたから転倒せずに済む、というわけなのです。
ブルガリアンスクワットにおける支持基底面
足幅には前後幅と左右幅があります。
前後幅が狭ければ膝関節の可動が大きくなり、広ければ股関節が主導になり、左右幅が広ければ安定します。狭ければ不安定になる、支持基底面が狭くなるからですね。
「やりやすいフォーム」≠「正しいフォーム」
「じゃあ、支持基底面は広いほうがいいのか」というと、その場での転倒とか考えたらそうかもしれません。トレーニングという支店においては、狭いスタンスで行う事により股関節が外転方向に強く働くのです。
ブルガリアンスクワットを行う際は外転筋を鍛えたい。スタンスを調整してブルガリアンスクワットを行うメリットをしっかり享受しましょう。
重量の持ち方
ブルガリアンスクワットはストレッチも可能ですし、ミッドレンジ種目としても活用できます。(収縮ポジションでは負荷が抜けるのでコントラクトにはなりません。そもそもアスリートのトレーニングでコントラクトの重要度は低いかと思いますが)
・フルレンジじゃなくてもOK?
・可動域を制限して行う方法もあり。(この場合は高重量を扱えるのでミッドレンジ種目となり得ます)
ダンベルかバーベルか。はたまたスミスマシンかセーフティースクワットか。
ミッドレンジとして行うならスタビリティの要素を減らしてセーフティースクワットやスミスマシンなどで行うのが良いでしょう。ビルダーの方もセッティング等の問題もあると思いますが、スミスマシンで行っている方も見受けます。
回旋を考える
オススメの方法として片側のみでダンベルを保持するスタイル。
両手に持った方がよりハードに鍛えられるのでは?と思うかもしれません。たしかに、大臀筋やハムのエクササイズとしてはそうでしょう。
ただ片側でダンベルを保持すると左右非対称の負荷が掛かります。この捩れが球関節という形状をした股関節の筋群を余す所なく刺激するのです。
前足の尻を狙ったブルガリアンスクワットのポイント
・前脚荷重にする
・頭のポジションは前脚膝のライン上に頭か首くらい
・奥手側の手でダンベルを保持する
・前側の肩を少し引く
・股関節を内旋させる(開かない)
ブルガリアンスクワット。
目的にマッチした方法で取り入れてパフォーマンスを向上させましょう。
スクワットやデッドリフトは不要?
ブルガリアンスクワットをやっておけばスクワットやデッドリフトといったバイラテラルの種目は不要ということなのでしょうか?
答えから言うとNOです。バイラテラルの種目もやるべき。回旋系の種目は高負荷で行う事に適していません。なのでブルガリアンスクワットで十分とは言えず、やはりバイラテラルエクササイズも取り入れるべきでしょう。
安全に負荷を掛けられるベーシックな種目はやはり有用です。トレーニングを何のために行うのか、種目を選択する意味をあらためて考えてみましょう。
ちなみに単純に種目をプラスしていく事はお薦めしません。やった方がいいことは沢山ありますが、時間も体力も限りがあります。ではまた次回。
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