マガジンのカバー画像

この世界の全てを言葉にはできない

22
【エッセイ集】 この世界の全てを、言葉にはできない。 だからといって、言語表現を放棄したくはありません。 その一方で、完璧な言語表現を目指す必要もないのです。
運営しているクリエイター

#エッセイ

着ぐるみ

 一昨年、友人の大学の学園祭に行った。  キャンパスの構造がわからなく、その大学のノリにも慣れていないので、学祭本来の楽しさが潜在的にしか感じられず、そのまま時間が過ぎ去ってしまったのだが。  帰る前、中庭のあたりでキャンパスのマスコットキャラクター(言いにくいが、着ぐるみ)とのふれあいイベントが催されているのが見えた。  着ぐるみは、女子大生をはじめとして多くの人に群がられ、ちやほやされていた。  いいなぁ。わっしも着ぐるみの中に入って、みんなにちやほやされたい。

体調不安

 身体にちょっとした違和感があるだけで、「自分は体調が悪いのではないか?」という考えが頭をよぎり、結構長いこと離れない。  小学生ぐらいから、感染症の流行シーズンや受験・旅行を控えた時期になると、このような「体調不良」ならぬ「体調不安」に苛まれる。  もちろん、ほとんどの場合は体調不良ではなく、気のせいだ。  『病は気から』というように、あまり「体調不安」を気にしていると本当に体調不良になりそうで怖いのだが、頭の中から払しょくする術がわからない。  誰かに「それ、病気

持ち物に名前を書くのは何歳まで?

 自分の持ち物に名前を書かなくなったのは、何歳からだろう?  財布はたいてい身分証明書が入っているからいいとして、スマホやバッグやノートPCには誰も名前を書いていない。わっしも書いていない。  何故だろう。もはや生活範囲が広すぎて、名前を書いたところでどこかに落とした時に「あ!○○さんのスマホね」とならないからかな。  あとは、年齢を重ねるにしたがって、みんな似たような消しゴムを持ってるというような環境ではなくなるから、名前の記入がなくても見分けがつくとか。  それだ

化粧品を買い替える

 化粧水やシャンプーなどを、今年の春にガラッと変えた。8点ほど買い替えた。  今まで使っていたものが高額になったり、リニューアルで成分が変わったりしたからだ。  買い替える際は、ドラッグストアで購入できるぐらい安く、評判や使い心地の良いものを選んで、色々と揃えてみた。  まず、これだけでコレクション意欲のようなものが満たされる。  さらに、購入した化粧水やシャンプーの効能表示やレビューをもう一度見て、自分が選んで買った商品がやはり自分に適しているものだなぁと愉悦に浸る

歯磨き

 結構前から、歯磨きが楽しい。  ほぼ無意識で磨くけど完全な無意識というわけではなく、意識の一番スミっこの部分で歯ブラシの角度とか次に磨く場所とかを考えている。  この、意識領域の中でも最も無意識領域に近い部分を使って動作をする感じが、不思議で面白い。  

大人

 これまで、初めて訪ねる美容院やバーでは、「学生さんですか?」「何年生ですか?」と聞かれていた。  ところが、ここ1~2年くらいで「何のお仕事をされてますか?」と聞かれることがほとんどになった。  「丸ビルOLとして、丸の内の街並みを闊歩しています。あとサディストです。」と言いたいところではあるが、実際はまだ学生なので「まだ学生です」と言う。(丸の内OLにはならない)  ともかく、身体の成長具合から、初対面の人に大人だと判断されるようになってきたらしい。  大学入学以

今は変化の時代だから

 ここ最近、「今は変化の時代だから……」という文言を何度も聞く。  そのたびに、変化のない時代なんてあったのだろうか、と感じる。  そのうえ、我々は現代の時代しか生きていないし、知らないのにも関わらず「今は変化の時代だから……」と達観めいたことを言うのもなんかね。  確かに、江戸時代とかに比べれば変化は激しいと思うけど、革命の嵐吹き荒れる近世ヨーロッパほどの変化は起こっていない。  帝政ローマ時代に比べれば変化の速度は速いのかもしれないけど、戦国の世の動乱ほどの大変革

メタグロスについて

 メタグロスというポケモンがいる ↓  人型でなく、何をモチーフにしたポケモンかわからない。おまけに、顔面のど真ん中に「×」マークがある。  なのに、かっこよく見えるのはなぜ。  もちろん、ゲーム内では能力値が高く強い技を覚えるからという理由で、かっこよいポケモンだと思う人もいるだろう。  ビジュアル面でいうと、ゴツいからかな。眼光が鋭いのもいい。人工っぽい素材感からして、生き物というよりロボットに感じるかっこよさに近いのかも。  ともかく気になるのは、やはり顔面の

私の卑しさすら包み込んでくれる、1人ディズニーシー探訪記

今回のエッセイでは、ディズニーシーのショー「ビリーヴ!~シー・オブ・ドリームス~」の内容をちょっとだけ話すので、まだ知りたくない人は注意してね。  前から、なんとなく1人でディズニーリゾートに行ってみたいという気持ちがあった。  もちろんグループで行くのも楽しいんだけど、作りこまれた世界観をひたひたに味わったり、同じアトラクションだけを乗り回したりという楽しみ方もきっとあるかと思いましてね。  というわけで、一昨年はランドだったので、今回は1人ディズニーシーを味わうこと

心むしばむ就職活動。②会社への疑念と社会への不信編

就職活動の何もかもが、受け入れがたいことの連続だった。 夢や目標をむりやり作り出すあの感じ。これまでの人生のつじつま合わせをするようなあの作業。 嘘をつくことは悪ではない。でも、自分の過去や未来を偽ったとき、生命としての気高さとヒトとしての雅やかな心は失われるんじゃないか。 就職留年を経て25卒になったわっしの就職体験、続きです~。 大学3年8月~この時期の就職活動は、多くの企業が開催するサマーインターンシップへのエントリーが中心となる。 インターンシップというのは

心むしばむ就職活動。①こんなのおかしいよ編

先日、就職活動を終えた。気持ちの悪い時間がようやく終わった。 こう書くと、この時期にしては早く終わってるじゃんと思われそうだが、みんなより+1年かかっているので、全然遅いほうだ。 夢や目標をむりやり作り出すあの感じ。これまでの人生のつじつま合わせをするようなあの作業。就活の何もかもが受け入れがたいことの連続だった。 嘘をつくことは悪ではない。でも、自分の過去や未来を偽ったとき、生命としての気高さとヒトとしての雅やかな心は失われるんじゃないか。 この活動を乗り越えられず

美容師のお姉さんが魅せてくれた、素敵な働き方。

髪型を大きく変えずとも、髪を切った後は見た目の違和感がすごい。 カットの後、「こんな感じでどうですか~?」と美容師さんに尋ねられた時に、事前の要望通りだし施術自体には満足しているが、髪が短くなった自分の見た目に慣れないので「……あ、いい感じですー」となってしまう人は結構いるんじゃないかな。 でも、カット後にこの違和感を覚えさせない美容師さんと出会ったという話をします。 大学3年の頃、普段通っていた家チカの美容室でスネ夫みたいな髪型にされたことに失望し、新しい美容室をさが

ハンドドリップでコーヒーを淹れると、訪れる平穏

どれくらいの共感が得られるかわからないが、頭の中に吹き荒れる嵐はやまない。 ただでさえ「考えすぎ」と言われるが、それが何か1つ2つのことを集中して考えているならまだよい。 これがSNSなんかでいろんなテキストを見ると、無数の情報が飛び込んでくるので、無意識に多方面のさまざまなことを考えてしまい、気づいた時にはどっと疲れている。肉体的にも精神的にも。 それならスマホやPCの画面を見るのを控えればいいだけの話だが、ドーパミンを求める身体は、理性を超越して再び情報の海へと航海

深夜ラジオが染み渡る

大学生になってから、ラジオ番組をよく聞くようになった。 今でこそ、1週間にお気に入りの番組を3つ聞くぐらいにとどまっているが、大学2~3年生の頃は毎日4時間以上ラジオを聞いていた。 他の人と話す機会なんて、ほとんどなかったからね。せめて人の声を聴きたかったのかもしれない。 ラジオを聴くようになったきっかけは、友人からの勧め(大学でできた本当に数少ない友人の1人。大変感謝しております)。 YOASOBIさんの曲をよく聞いていた時、その友人が「YOASOBIのラジオを聴い