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99匹のうちの1匹

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2022年4月の記事一覧

13、温度の高いたべものが好きだ

13、温度の高いたべものが好きだ

 99匹のうちの1匹

人生には、刺激が必要。
あまりにも呑気な生活、風が流れている。わたしが息を吹きかけるたびにアツさが充満していく。温度が高くなる。私の胃に、脳に、少しばかりの刺激を。私は温度の高いたべものが好きだ。

食べ物のあたたかさは愛を食べることと似ている気がする。懐かしさ。きっと君にもそんなことがあった?
むかし聞いたような音楽が鳴っている。
私はまだ音をハッキリと捉えられないから、

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14、僕より先に死んでくれ

14、僕より先に死んでくれ

 99匹のうちの一匹

キミが生まれた時は知らないけれど、
それでも、
時間の流れの今この時、
僕はキミに触れていたい。

幸せの在り方を探す。

僕の不幸がキミの不幸になるなら、僕はキミのために幸せになりたい。心配いらないよって、キミの知らないところで幸せになったり不幸になったり、僕は概念のままでいたいんだ。

同じ時間を共有して、知って、それでも埋められない距離が恋しかった。
キミの視界に瞬く

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15、羊のスタックドヒールで乾杯を

15、羊のスタックドヒールで乾杯を

 99匹のうちの1匹

羊が積み重なっている。
人間が、積み重なっている。

他人の口から出た汚濁が僕を包み込んでいく。外側から、僕は汚濁になる。そうして積み上がった僕は結局、革であった。仲良しこよしみたいな僕は僕と、君の体裁と欲望の一部になると誓ったのだ。
だれかの欲が、僕らを蝕んでいく。

どうでもいいよって、言ってくれればいいのに。

言葉が消えていく
僕の目の前から。

感情の暴力性が カ

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