「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」を読んで
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」
ブレイディみかこ 新潮社
●路上生活者を助けるボランティアに行った時に息子くんが
「こういうことを言うのは本当に悪いと思うんだけど、でも、匂いに耐えられなくって鼻で息をするのを止めていたから、息苦しくなっちゃって、、、」
☆中学生でこんなふうに言える人間力がすごいなぁと感じた
これまでに経験した出来事とか人との関わりの中でどんな風に自分の思いを人に伝えるのかよく考えているのだと思った。
●マルチカルチュラルな社会で生きることは、ときとしてクラゲがぷかぷか浮いている海を泳ぐことに似ている。
☆FGMについて初めて知った
●自分が属する世界や、自分が理解している世界が、少しでも揺らいだり、変わったりするのが嫌いな人なんだろうと思った。
☆日本に帰るたびにそういう経験やどんよりした気持ちになることが増えている気がすると書かれていて、なんだか悲しくなった。
それと同時に私自身も
普段の生活で外国人やなまりのある日本語を話す人に対してそういった態度をとっていないかと思い返すきっかけになった。
● 日本人と外国人の子どものことをハーフというが、その一方でダブルという表現も増えてきているらしい。
MIXED RACEという表現もある
それは問題があるのでBI-RACIALを使うべきという意見もある
しかし誇りを持ってMIXEDという言葉を使っている当事者もいるので、意見の統一を見ないところだそう。
☆ハーフという言葉を私は普通に使っていた、なんならかっこいいし羨ましいなぁくらいの感覚で。だけどその言葉を言われて傷ついたり失礼だと思ったりする当事者がいることを知った。
●タンタンタンゴはパパふたりという絵本
ニューヨークのセントラルパーク動物園で恋に落ちた二羽のオスのペンギンの話
日本でいう
はらぺこあおむしとかかいじゅうたちのいるところくらいのバイブル本だそう
☆LGBTQや多様性についての感覚や認識は、日本は世界的に遅れていると聞くが、幼少期の環境からすでに差が出ているのだと感じた。
●エンパシーとシンパシー
シンパシー
1.誰かをかわいそうだと思う感情、誰かの問題を理解して気にかけていることを示すこと
2.ある考え、理念、組織などへの、指示や同意を示す行為
3.同じような意見や関心を持っている人々の間の友情や理解
感情、行為、理解
同情したり共感したりすること
能力
エンパシー
他人の感情や経験などを理解する能力
●シンパシーはかわいそうな立場の人や問題を抱えた人、自分と似たような意見を持っている人々に対して人間が抱く感情。
だから自分で努力をしなくとも自然に出て来る。
だか、エンパシーは
自分と違う理念や信念を持つ人や、別にかわいそうだとは思えない立場人々が何を考えているのだろうと想像する力のこと。
シンパシーは感情的状態、エンパシーは知的作業とも言えるかもしれない。
11歳の子どもたちがエンパシーについて学んでいるというのは、特筆に値する。
(先生が子どもたちに話していたこと)
EU離脱や、テロリズムの問題や、世界中で起きているいろんな混乱を僕らが乗り越えていくには、自分とは違う立場の人々や、自分と違う意見を持つ人々の気持ちを、想像してみることが大事
つまり「他人の靴を履いてみること。」
これからはエンパシーの時代
☆こんなハイレベルな授業を
元底辺中学校と呼ばれる公立の学校で習っているなんて、、、
シンパシーとエンパシーの違いなんて
いまこの本を読んで違いについて初めて考えている私。
【全体的な感想】
歴史的な話の部分は、無知なあまり
読んでいてついていけない箇所もいくつかあった。だけど知らない文化や歴史がたくさん書かれていてすごく勉強になる本だった。
社会勉強としての一冊。
また、育児書にもなる一冊だった。
なぜならブレイディみかこさんと息子さんとのやりとりから学ぶことが多いから。
一つ一つの出来事について
思ったこととか知らないことを
親がしっかり子どもに説明している。
それも、ブレイディみかこさんは
子ども向けにではなくて1人の人間として対等に息子と向き合っている。
日々の会話は流れていってしまう。
だけどそれをしっかり覚えていて書き留めて記録するということを繰り返しているのだと思った。
ブレイディみかこさんの息子さんは
丸暗記のテストとかそんなものではない、
応用力とか自分の言葉や気持ちで考えることを身につけている。その繰り返しが生活の一部になっているし、もう習慣になっている。