日本の個性派食品、海外でどう売る?"日本版マリトッツォ"を食品開発の人と考えた!
こんにちは!食欲の秋でふくふくと肥えていく、ぽてさらです。
何でもおいしく食べれるのが強みであり、弱みだなと思う今日この頃です。
さて、2021年もあっという間で、年末の足音が聞こえてきますが、みなさん上半期で印象に残っていることはありますか?
2021年上半期といえば、マリトッツォの台頭が印象的。
上半期トレンド料理ワードでは、マリトッツォが堂々1位です!
日頃「マトリッツォ」と言い間違えることの多い私ですが、
突如現れて人気者になったマリトッツォのように、日本の食べ物もどんどん海外へ新参者として殴り込み、バズってほしいなと思います。
そこで今回のノーツォでは、マリトッツォのごとく海外で存在感を発揮する商品を探すため、ゆるゆる妄想大会を行いました。
商社の食品開発・販売担当者と妄想企画
せっかくなので、「海外で売れてる日本の食品ランキングで、あんまり見たことのない気がする商品」をどう売るか考えてみることにします。
(完全に主観で、↓のようなランキングに出てこなそうなものを選びます)
https://japanwonderguide.com/popular-japanese-snacks/
まずはプロの意見を伺うべく、日本のあらゆる食品を海外に輸出する男、Sさんを召喚!
現在、主にヨーロッパとアメリカを担当されているそうです。
ーお付き合いありがとう~!早速だけど仕事内容を簡単に教えて?
メーカーさんの商品を海外で販売したり、自分たちでゼロから商品を企画したりしてるよ。
売れそうな根拠があれば、サンプルとして海外で販売してみて、何を変えたら売れるか検討することも。日本の食べ物ならなりふりかまわずチャレンジしてます。
ー頼もしい!!どの国で何が売れるかって、どうやって考えていくの?
自分はアメリカに4年いたからなんとなくの感覚はあるけど、基本的にはマーケティング。3C分析しながら…みたいなね。
ー今回、3C分析までは大丈夫ですが、わりと本気めで検討願います!
OK。国によって法律が違ったりして、そもそも海外で売れないものとかもあるから厳しく見るね。商品企画のポイントとして、広く売れる商品にできるかという視点も必要。食品メーカーさんからの仕入れ単位が1tとしたら、それを売り切らないといけないので、いろんな国で売れると助かるのよ。
ーおお、思った以上に前のめりで来ていただいてちょっと引くけど、よろしくお願いします!
インスタント食品とお菓子で勝手に検証スタート
スーパーとコンビニで、気になる食品を選びました。
1品目.ブラックサンダー
ーみんな大好き、安くておいしいブラックサンダー。パッケージとかお値段、サイズも特徴的だし売れそうな気がして。もう売れてるかしら~♪
チョコは強豪が多いからアメリカで簡単にはいかないね。
ー…!?
…中東では売れるかも。
ー…ちゅ、中東!?
日本のチョコのやさしい味付けが中東では売れるみたい。例えばヨックモックとかよく売れるんだって。
ーそうなんだ!アメリカで売るすべはないと?
そうねー、ピーナッツチョコとかはまず厳しい市場って感じ。ブラックサンダーは日本と同じ価格で出せるなら可能性あるかもね。例えばウォルマートっていうスーパーは、「安いのが好きな人」向けだから、レジ前に安いお菓子を売ってるのね。そこに陳列するとか…。ただし、相当安くするには、アメリカ方面で工場を持たないとだね〜。工場作れますか?
★★売り方★★
中東行き。
2品目.ビッグカツ
ーお次は、遠足のお供、ビッグカツです。
肉入ってたら、法律的に無理。
ーえ…そんな。。
肉は、どこの国も難しい。アメリカは和牛とかしか輸出できない感じ。輸出できる量も決まっていて、関税も高い。ヨーロッパも「工場で、こういう工程で作る」とかいろいろ登録しないといけなくて厳しいよ~。タイは鶏肉輸出できる、とか国によってそれぞれだけどね。世界的に見たら日本は肉に寛容よ~。
ーそんな法律の壁が…!
魚ならいける。あ、ちょっと待ってこれ原料魚じゃん。
ー魚だったのか!
まあヨーロッパは魚介類も難しいけど、魚でこんな肉みたいな味が出せるんなら、このままでも売れるかも?
でも、外人は分厚いほうが好きだから厚くしたいね。「紙でも食ってんのか」とか言われそう。
ー口が悪い…。
食感大事なのよ。くちゃくちゃしたのは好まれないとかね。chewyって言われる。…ハイチューは人気だけど。
ーちゅうい~?
「簡単に噛めない」って意味。
肝心のビッグカツの味は…。カレー粉っぽいのね。
ーほんとだね!久々食べたけど、うま~!
どうだろうな、ヨーロッパ、アメリカははっきりしてる味が好きで、唐辛子系のスパイシーな味が人気なんだよね。
★★売り方★★
ビッグカツを辞書くらいの厚みにして、唐辛子味にする。
3品目.ほしいも
ードライフルーツのノリでいけそうじゃない!?
常温で生っぽい商品ってあんまりない気がするからいいかもね。賞味期限も結構長いから、悪くない。
アメリカは、常温で売る商品の加熱工程の基準が厳しいから、商品化するなら時間がかかる。それクリアしたらありえる。
ーなんと。好感触!健康フードで売れるかもね!
健康フードなら、コンブチャみたいに発酵してる商品が最近流行りがち。発酵してるほしいもってあったっけ。
ーどうだろ。粉はふいてるけど…
あ!!これ中国産か~。中国産はアメリカで売りにくい(笑)。関税高くなってるのよ。政治的なあれかな…。
★★売り方★★
日本産のいもを発酵させてねっちょり健康フード
4品目.チロルチョコ 生もち桔梗信玄餅
ーきなこチョコで、黒蜜ソース、きなこまぶし生もちを包んでる。チョコレートと和のコラボがヒットするのでは!
チョコレートのなかにいろいろ入ってる商品ってあんまり多くない気がするから、いいね。ちなみにわらびもちはあんまり好かれない。ちゅうい~な感じで。
ーでた、ちゅうい~!おもちはセーフなのかな。
おもちは雪見大福のイメージが強いね。セーフかな。
★★売り方★★
雪見大福にあやかって、おもちチロルを販売
5品目.あごだし おもちすうぷ
ーうっかりおもち被りしましたが、あごだしスープ好きなので、選びました。
なにこれ、いいね!アメリカだと、ちゅうい~な懸念はあるけど、これはいいかもだわ。新しいスープとして受け入れられそう。
ーうまみ的な味は、好かれるの?
若い人は結構日本食好きで、だしの味もわかるんじゃない?あごだしは好き嫌いわかれるだろうけど。…でもこれ、結構味濃いめだね。アメリカ、ヨーロッパではちょっときついと捉えられるかもしれないから、におい弱めでいきたいね。
ーお魚のにおいに敏感なのね。
うん。でもこの商品はあんまり市場にないから試してみたいなあ。きっと何万個を1回で作る感じだろうから、全部はけるかわからんくて怖いけどね…。
★★売り方★★
あごだし風味弱めで、もちもちのレアスープ。
6品目.STRONG 荒くれ辛子明太
ーみんな大好き、明太です!
何これ。
ー新商品、です!
うまい。味濃い。酒が進むー。けどヨーロッパは厳しいだろうね。イタリアなら食文化的にいけるか…?アジアは大丈夫と思う。
たらこは海外で生臭いっていわれがちで、自分の周りでは過去の失敗談が多すぎて、たらここわいんです。
ーえー!!!明太おにぎりおいしいのに…。
おにぎりはあるんだけどね。ドイツやアメリカ、イギリスでもお店があって、結構売れてきてるみたいよ。
ーおにぎりは進出してたんだ。…あの、肝心のこのポテトを売るには、どうしたら…
何かでコーティングして、においをやわらげたらいいんじゃない。
★★売り方★★
WEAKやさしさクリーム辛子明太に変更。
7.日清カップヌードル ポルチーニ香るきのこポタージュ
ー海外風味を取り入れてるので、そのまんまフランスで売れるかと。
先にラーメンの豆知識を伝えると、アメリカではカップラーメンはまるちゃんが主流。メキシコで作ってるらしく、50円で袋麺売ってるんだよ。スリラチャソースが人気だった。
画像は©まるちゃん様
ーすりらちゃそーす?
アジア生まれ、アメリカ育ちで、とうがらしベースのにんにく旨辛すっぱソース。
ーおいしそう。
で、日清さんもラーメン出してるけど、味付けは日本と全然違って、もっと変わり種がある。パッケージも日本とちょっと違うよ。
画像は©日清食品さま
ー四角い!!
紙パッケージのなかに、おなじみのカップが入ってるの。いろんな味を出さないといけないから、中身のカップは同じものにして、コストダウンしてるんじゃないかな。
ー箱を変えたほうが安いのね。
そうだと思う。味は、チキン、ビーフ、シュリンプがメインどころかと。日本人が食べたら、若干味薄めやなーと思うかも。ちょっとやさしい味。
ーパンと一緒にでも食べるのかな?
知らんけど。とにかく塩っからいのがあんまり好きじゃない印象。ラーメンは、アメリカやメキシコではスープとして認識されてるところがあるらしくて、それも味薄めな理由かな?
ショートパスタが入ってるスープのノリで飲み干したりする。日本人は人によるけど、ラーメンのつゆって、外で運動したとき以外飲まない人も多いでしょ?
ー運動した後につゆを飲み干すところ以外は納得した。
ちなみに個人的に1番うまかったのはチェダーチーズラーメン。
ーこの流れでいうと、ポルチーニさんはどう食い込むのか…
いろんな味がでてるから、アメリカではきついかも、という話。てゆーかポルチーニ、きのこポタージュ…すでにやってるかもだし。これから新規で提案ってなると個人的には売りにくい印象。
まあ、こういうのを積み重ねて、新しい「定番」が生まれてくんだろうね。ちなみにパッケージは黒が好きだね。黒にしとけばとりあえず売れるんちゃうかと思う。
★★売り方★★
黒パッケージでやさしい味のラーメン
8品目.ハイチーズ
ーネーミングが気に入りました。
いいね~。チーズの輸出は、結構アメリカは厳しいし、ヨーロッパは加熱しないといけない。それがクリアできたらいけるかも。賞味期限は1年くらいほしいね。
ーせんべい系って売れるの?
かきのたねはインドで売れてるらしいよ。
https://globe.asahi.com/article/14393191
画像は©亀田製菓さん。ちょっと味変えてるらしくて、パッケージはおしゃれ。KARIKARIって名前。
ーこれならカルディでも売れるな。おしゃれ~
インドはウイスキーが人気だから、それと合わせるのかな~?現地の人とちゃんと企画してるからうまくいったんだろうね。
ーハイチーズは、商品名が気に入ってるんで変えたくないんですが、このままいけますか?
ハイチーズって英語で言わんからね。
★★売り方★★
「セイチーズ」にして、パッケージをおしゃれにする。
9品目.くるみゆべし 醤油味
ーこれで最後です。スーパーの東北フェアで見つけて、大変失礼ながら、1番ダメそうだと思って買いました。
え、ちょっと待ってうま!!!超うまい!!!!超好きな味。
ーすごい食いつき。…….ほんとだ、うまい~!!!!
輸出面では日持ちがして、大量生産できないと難しい。クルミも醤油も向こうでは市民権を得てるから、理解はされやすいよ。日本の伝統的なお菓子、みたいな説明も書いてあげるとよさそうだね。
ちゅうい~がくるみで緩和されてるし、いい感じ…。いいね~ゆべし!!!これは持ち帰り検討したいね。
★★売り方★★
ジャパニーズ東北ソイソース トラディショナルスナックとしてストーリーとセットで売る
日本版マリトッツォ候補!売りたいナンバーワンは
まさかの、といったら失礼ですが、ゆべしが1番ヒット!
続いておもちすうぷでテンションがあがっておりました。
食文化が違うので、私たちが「おいしいから」では売れないし、法律や輸出方法などいろいろな壁があるんですね。勉強になりました。
いやー妄想とおいしい食べ物で、酒が進みました。また太ります。
最後に、おこぼれ話
★流行り廃りの速さ
日本は食べるラー油、塩こうじ…とか流行り廃りが速いけれど、アメリカは意外と長い印象。マリトッツォといわず、ティラミスみたいに定着を狙いたい。
★海外の人と働いてみた感想
・アメリカは労働市場が流動的で、すぐ首になる会社もあるから(笑)、お互いにフェアな関係で働けて要求もしやすい。
・給与の金額に納得しなければ、面談。さらにそこで納得しなかったらサインしない。ほかの企業にも見積もりみたいな感じで希望の給与額を出したりする。
・アメリカ人は、業務規程をちゃんと読んでるイメージ。自分の権利をどこでちゃんと主張するかを考えてる。
以上!またね!
【この記事を書いた人】
NAME:ぽてさら
新卒で地方のシステム会社へ入社。当時の遅刻の言い訳は、貧血・鼻血のダメウーマン。2社目のITベンチャー企業では営業や導入コンサルを経験し、現在はライターとしてテクノロジー領域の記事を担当。からあげが好き。