映画の感想「ゴッズ・クリーチャー」(2022)
原題 : God's Creatures
この予告編からも伝わってくる、寒々しさ。
この映画は、映像が全てを語っています。登場人物たちは決して多くを語らない。全ては、映像によって映し出される。
この映画では、映像もそうだが、BGMもとても印象的だ。いきなり何かが起きるというよりも、段々と事態が悪い方へと進み、登場人物たちが取れる選択肢がどんどん狭まっていくような。事態が悪くなっていくさまを誰も止められないのか、いや、誰も止めようなどとしていないのか。自分以外の誰かが犠牲になればいいだけなのだから。
自分の行いを反省することのない息子ブライアンを止めるためには、母アイリーンは、彼を原初の海に返すしかなかった。全ての生命が生まれたという海に、文字通り、彼の生命を返したのだ。
あんなに愛していたはずの息子を水に流すことによって、その存在を消したのだ。アイリーンは創造主である母として、自分が創り出したもの (creature) =息子を、原初の海へ返した。
これが、この映画のラストを見た時に、私がとっさに感じたことなのですが、皆さんはどう思いますか?
個人的には、この映画のポスターが好きです。この映画をよく表している。見終わった後だとなおさら、そう感じます。
親は、自分の子をどこまで守るべきなのか。
はたして、子供の本当の姿を知っているのか。
目を背けてはいけない。アイリーンの視線から、それを感じます。