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今月読んだやつ(2024-5)

今月読んでよかった小説4選。


卒業のための犯罪プラン

『ようこそ実力至上主義の教室へ』みたいな作品。けれども、世界観は狭い。学内通貨を使ったビジネスもの。単位も買える。しかし、学内通貨と現金の交換は禁じられている。

登場人物が癖のある人たちなので、深堀した続編があっても面白そう。

K+ICO

ウーバーイーツの配達員Kと女性tiktoker、ICOの話。どちらも大学生。

2人とも頭がいいと思った。ウーバーイーツを使う側が偉く、使われる側は下のように見えるが、2人ともシステムを使って生計を立てていることを自覚してる。ウーバーイーツは配送システムを、tiktokerは動画投稿による案件獲得を狙ってお金を稼いでいる。そこに上も下もない。

Kはウーバーイーツの配達員をやっていることをプラスに考えている。一般的には、落ちるところまで落ちてやる仕事と思われている。しかし、彼は体は鍛えられるし、新しい道を覚えられると。

彼の本心はよくわからないが、よく聞くところの「嫌な仕事もプラスで考える」というのはこういうことだったりするのではないか?と感じた。

作中の中で、誰が言ってたのか忘れたが、正社員になって働くことをねずみ講のように語っている描写があった。「おまえもこうすればきっと…!」みたいな。皮肉が効いている。

例えば、正社員が当たり前の世界ではなく、起業が当たり前の世界だったら、「あんた騙されているんじゃないの?」と思わるんじゃないだろうか。起業ブームは来ているが、それでも「うまくいかない」と思うことが大半で、起業セミナーに出ている人が熱心に活動していると、それこそ怪しいと思われる。逆に、就職セミナーに出ていても別に何とも思われない。そういう考えもできるかと思った。

若者の閉塞感、今あるシステムを使って人よりも幸せに生きていく、そんなことを感じる作品。

近畿地方のある場所について

ホラー小説。去年話題になっていたが、読まなかった。そこまで優先度が高くなかった。けれども、目に入ったので読んでみた。

作者名の[背筋]というのは背筋が凍るところから来ていると聞いた覚えがある。

読んでいて本当に背筋が凍りそうでした。まず、夜中に読んでいたのが失敗。途中で怖くなってYouTubeの雑談を配信のアーカイブを流しました。『変な家』の雨穴さんの作品もそうですが、夜中に見ると怖い。日中に窓でも開けて、雑音を取り入れながら読みたい。

配信効果もあって、怖くはなくなったものの、途中で配信に気を取られて内容が分からなくなりました。ですが、読み直したくはない怖さです。

本のリンクを探していると、偶然に漫画版を見つけたので、こちらを読もうと思ってます。小説には、2chっぽい書き込みやリアルっぽい写真(AIで作ったのかな?)もあってより怖さが増すのでもうお腹いっぱいです(書いている今も写真が脳裏に浮かびます)。

正しき地図の裏側より

父親を殺してしまった?ことをきっかけに家出する男子高校生の話。タイトル名はごく一般的な高校を卒業して、いい大学に行って、いい会社に入って安泰に暮らすというルートの裏側っていう意味だと思いました。

家出をした高校生はホームレス、日雇い、たこ焼き屋、町工場と人の縁を頼りに暮らしていく物語です。たとえ道を外れたとしても、真面目に働けば生きていける。そんなことを感じられた作品です。

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