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考えることは、武器にも娯楽にもなり得ると思うの。

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広告デザインからジェンダーを考える vol.36

 私は小さな印刷会社で営業をしている。印刷会社といってもいろいろな会社があるが、私の勤めている会社の業務を簡単に言うと、カタログ、パンフレット、パッケージ、チラシなどといったものを、要望に合わせて紙の種類や印刷方法を相談しながら決めて制作する、というものが多い。グラフィックデザインから請け負うこともよくある。  今回は、健康食品を製造販売する会社さんの商品の印刷物に携わった後で思うことがあって、それについて書く。  あまり詳しくは書けないが、その商品は栄養価の高さがウリの粉

    • 好きなことを仕事にしようとする前に vol.35

       本格的に就活をする前だっただろうか、どのようにして業界や企業を決めたらいいのか、インターンや企業説明会の時を中心にいろんな人に聞いていた。そのとき一番印象に残っているのは「好きなことを仕事にすべきかどうか」についてだ。「好きなことを仕事にした方が絶対にいい」という人もいれば、「いやいや、好きなことを仕事にするのはやめておけ」という人もいた。どちらの意見も自身の経験に基づくからだろうか、やけに説得力がある。ナイーブな就活生を惑わすんじゃない。当時の私は非常に困ったものであった

      • ナナメの夕暮れ 【somo somo! ブックス】

        著者: 若林 正恭  出版社: 文藝春秋  私は20代の頃、よくひとり旅をしていた。旅先で知り合う人たちの交流が楽しく、何度もひとり旅をしていたが、最初の理由は「自分探し」だったように思う。見つかるはずもない「自分」を探す旅。そう思うとなぜ「自分探し」をしたのだろうか。「自分に自信が持てず、他人を羨む心から抜け出したかった」。そうではないかと思う。その時期に本書に出会っていたら、私の心により響いていたのではないかと思う。  本書の冒頭と終盤に「自分探し」について書かれている

        • 失敗学のすすめ 【somo somo! ブックス】

          著者: 畑村 洋太郎  出版社: 講談社文庫  私は、「考え方」が、その人の人生を左右すると思っている。「失敗」に対する考え方もそのひとつである。偶然の失敗からノーベル賞を受賞する人もいれば、事故を誘発して安全管理責任を問われる人もいる。失敗も考え方ひとつで人生を左右するのである。  みなさんは「失敗」をしたときどう思うだろうか。私は、恥ずかしいし、隠したい気持ちでいっぱいだ。当たり前だが隠してはいけない。なぜなら、「放っておくと失敗は成長する」からだ。  みなさんはハイン

        広告デザインからジェンダーを考える vol.36

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          マイナス50℃の世界 【somo somo! ブックス】

          著者: 米原 万里、山本 皓一  出版社: KADOKAWA  本書はロシアを構成する、サハ共和国(ヤクート自治共和国)を取材したものである。 タイトルにある通り、「マイナス50度の世界」である。平均気温が。。。 「マイナス50度の世界」とは、人間や動物のはく息、車の排ガス、家庭で煮炊きする湯気などの水分がことごとく凍ってしまって霧が発生してしまうほど厳しい環境である。  この酷寒の地では、私たちの常識を覆すことが多くある。  まず、サハ共和国の人にとって「寒いと氷は滑らな

          マイナス50℃の世界 【somo somo! ブックス】

          友だち幻想 ―人と人の〈つながり〉を考える 【somo somo! ブックス】

          著者: 菅野 仁  出版社: 筑摩書房  「なんか寂しいな〜」 本書を読了して感じた率直な感想である。 決して本書を批判してるつもりはないし、むしろ本書はあらゆる視点で人間関係のあり方を提示してくれる良書だ。  「友達を作ろうとすることなんてしょせん幻想にすぎない、無駄なことだ」といった寒々しい主張をするようなものではない。「友だちなど身近な人々との親しさや「生」を深く味わうために距離感が大事である」、「どんなに心を許せる人間でも、やはり自分とは違う価値観や感じ方をもってい

          友だち幻想 ―人と人の〈つながり〉を考える 【somo somo! ブックス】

          あえて選んだせまい家 【somo somo! ブックス】

          著者: 加藤 郷子  出版社: ワニブックス  今年の春から一人暮らしを検討している。どんな部屋に住みたいかと考えたとき、「狭小住宅」が頭に浮かんだ。半径1m以内で日常生活が完結する。それがわたしの理想であるからだ。しかし、予想以上に反対意見を耳にする。ならば、実際に狭小住宅の人の意見を聞きたい!そう思い、本書を手に取った。  狭小住宅に住んで1番頭を悩ますのは「収納」だろう。本書に登場する方達は、固定概念に縛られない考え方で解決している。家の中ですべてを完結しようと考えず

          あえて選んだせまい家 【somo somo! ブックス】

          ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち 【somo somo! ブックス】

          著者: 河合 香織  出版社: 小学館  久しぶりの友人と飲みに行った。友人に勧められるがまま、全く知識のないワインを飲んでいた。そこでワインの不思議さを感じた。何種類かの赤ワインを飲んだが、色が濃い薄いにかかわらず、味わいがあるのである。なぜそうなるのか。そんな疑問からワインを調べたいと思い始めた。  私がお酒を飲み始めた頃、「日本のワインはおいしくない」と言われていた。それが、数年後、急に「日本のワインがおいしくなった」と言われるようになった。ぶどう栽培が変わり、劇的に

          ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち 【somo somo! ブックス】

          SDGsはやさしさで出来ている vol.34

           SDGsをご存知だろうか。私も会社から「これからはSDGsの時代だー!」とかなんとか言われるまで知らなかった。「まーた社会貢献活動についてどうこう言いだした」とか思って最初は聞き流していたけども、よくよく中身を見てみると、なかなかこれは考え方だと思えるものであったので、ここで簡単に紹介させて頂きたい。  SDGsは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、2015年9月の国連サミットで採択されたもので、地球上の「誰一人取り

          SDGsはやさしさで出来ている vol.34

          出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと 【somo somo! ブックス】

          著者: 花田 菜々子  出版社: 河出書房新社   学生の頃、誕生日プレゼントに本をもらった。「この本、あなたに面白そうだと思ってもらえそうだから」と言われ渡された。最初はきょとんとしてしまったが、どんな思いでこの本を紹介してくれたのだろうと考えて読書することは、違った面白さを与えてくれた。  著者は、仕事が面白くない、夫と別居というどん底であった。新しい自分になって元気になりたいと思っていたとき、出会い系サイト「X」に出会う。プロフィールは具体的にひっかかるポイントがなけ

          出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと 【somo somo! ブックス】

          東京貧困女子。 ―彼女たちはなぜ躓いたのか 【somo somo! ブックス】

          著者: 中村 淳彦  出版社: 東洋経済新報社 「無駄遣いしないし、何も欲しいものはない。部活をやって大学を留年しないで無事に卒業したいだけです」。ある国立大学医学部の現役女子大生の言葉である。しかし、貧困生活のため、風俗や売春をしている。あなたは彼女にどういう感情を抱くだろうか。「部活をやめて普通のバイトをすればいい」、「貧困は自己責任」といったことを思うだろうか。本書を読了する前の私もそのような短絡的な感情を持っていたように思う。  本書は東洋経済オンラインで連載してい

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          「somo somo! ラジオ」 第8回「『友だち幻想』を読んで思うこと」

          巷で話題の「哲学対話」を、哲学シロウト達が実践するラジオ。一つのテーマを掘り下げて考えます。 【タイムテーブル】 〜4:00 オープニング 〜30:15 「友だち幻想」を読んで思うこと 〜31:18 エンディング 【出演者】 編集長 ふく ご意見番 もく 【リンク】 「友だち幻想 ――人と人の〈つながり〉を考える」書評 https://www.philosophy-ch.com/book/detail/17 もく:人との距離感を保つ「並存性」が大事だと書いてあるけど、人間関係は自分自身が傷つきながら学んでいくものでは?そういう過程を経ることで、長い人間関係が紡げると思っている。自分のやり方プラスこの本のやり方が自分の中にあればもっと広く人間関係を築けたのかなとも思うけど。 ふく:価値観が多様化する中で、修復不可能になるくらい傷つけあってしまうくらいなら、距離感のある人間関係から始めるのはとてもいいことだと思う。 人と違って当たり前という価値観を共有できればいい。 もく:現状でも同質性を求めてしまうけど、それがいじめにつながることがある。 ネット等でこういう外の世界の情報を取り入れつつ、でも一生の友達は学校でできるということをわかっていけたらいいのかな。 友達100人できるかなって言うのは日本だけ?良い部分も苦しめてる部分もあるかもしれない。個人的にはノリよく生きる「フィーリング共有関係」だけとかやめてほしい(笑) ふく:俗に言う「空気読め」ってことですよね。(笑)ついて行くの大変だったなー。 もく:高校になってそういうの無くなったから居心地良くなったよ。 ふく:それはどうして? もく:空気をどうこう言うやつはいなかったと思う。みんな一緒にとかなくて、誰がどうつるもうが勝手だったし。いい意味で他人を気にしない雰囲気。 ふく:そういう空気ってどうやって作られるのかな?学校の文化?校風? もく:言葉にするのって難しいけど、小中だと家も近くて、親同士も顔見知りで、縦割り班みたいなのがあって、そういうのの影響って大きかったんじゃないかな。高校になるといろんなところから来ていて、そういうの一切なくなったから。 ふく:いい意味で距離感があったのかな? もく:そうね。違いがあったんだろうな。 逆に田舎育ちのふくさんはどうだったんですか? ふく:高校はちょっと個人主義的な空気があって、いじめとかも全然なかった。「高校になっていじめなんかするの?」みたいな空気もあった気がする。でもどこからその空気が生まれてくるのか不思議。自分の主観だけど、逆に大学はいろんなところからやってきているのに、同質性を求めることが多かった気がする。みんな良くも悪くも真面目だったかな?真面目に「社会の伝統に追従しなきゃ」みたいなところがあったのかも。 もく:真面目だからこそ「友達100人できるかな」も守ろうとするのかもね。一緒じゃないといけないみたいな。 ふく:親もそういうことを言ってるかもしれないしね。「みんなと仲良くしないとだめよ」っていう風に。小さい頃は親の言ってること、やってることが全てだし。もちろん良い面もあるけど。 もく:親もそうだし、小さい頃は学校という世界が全てだもんね。 ふく:学校でだめだったらどうしようもないから頑張って空気読むというところはあるかもね。ある程度逃げ場がある方がいいのかなって思う。 もく:馴染めない子がいると思うと、「並存性」って大事なのかな。大多数の側がそれをわかるようにしておかないといけないのかな。 ふく:たまたま自分が大多数の側にいたとしたら分からないと思うね。 もく:学校がそういう雰囲気を作っていかないといけないね。 ふく:大人がそういう空気を作るしかないと思う。間接的な言葉でも。些細な言葉から。 最後に。「そもそも友達ってなんだろうね。」どこからが友達? もく:今おっさんになって明確になったかな。会いたいと思うかどうか。これはほぼ言い切れる。でも学生生活は難しいよね〜(笑)「あいつ友達って言ってなかったぜー」とかなると大変(笑)ふくさんは? ふく:一緒かなあ。うーん、自分で言っておきながら難しい問いですね(笑) 【ふくの編集後記】 本の中ではみんなが自由で気持ちよく過ごすための方法として、規則(ルール)が挙げられていたが、その空気を醸成することも大事だと思う。それを作るのが大人であり、私たちの日常の言葉一つ一つなのではないか。一朝一夕に成るものではないと思う。

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          憧れの生き方と決別する vol.33

           お笑いが好きだ。トークバラエティよりもネタ番組が好きだ。多分、エンタの神様や爆笑レッドカーペットを観て育ったことが大きく影響している(歳がバレる)。第7世代の活躍、去年のM−1の盛り上がりもあってか、またネタ番組が増えてきていて本当に嬉しい。「ネタパレ」と「有田Pおもてなす」は必ず見ておかないと私の1週間は気分良く終わらない。  サンドイッチマン、オードリー、NON STYLE、パンクブーブー、ぺこぱ、インディアンス・・・。好きな芸人さんを挙げるとキリがないけど、今一番応

          憧れの生き方と決別する vol.33

          青二才、靴を買う vol.32

           10万円で、革靴を買うことにした。  今仕事で履いている革靴は、使い始めて7年くらいになる。週末に必ず手入れをし、大切に使ってきたけれども、さすがにそろそろごまかせなくなってきた。それに、営業として新人にはもう見られなくなってきて、装いもワンアップしたいという気持ちもあった。このタイミングでの10万円である。背中を押されて新調することにした。  目星をつけているものがあったけど、その靴はもう店頭から無くなっていた。上品なネイビーのスウェード生地に、半年以上前から私は一目惚

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          「みんなちがってみんないい」と、本当に思えているか vol.31

           仕事で営業をし始めて今年で4年目になる。自分で言うのも変な感じだけれども、全体的に見てお客さんとの関係は良好だと思う。仲の良い人とは打合せで会った時に仕事のことだけでなくて、プライベートな話をすることも多い。野球やソフトボールを一緒にする人もいる。人に会いに行くのが面倒だと感じることも多々あるけど、立場や年代の違ういろんな人とこうして関われることで面白いこともあるし、私の身の肥やしにもなっているのかなと思う。  個人的には、仕事上での人との距離の縮まり方が好きだ。世代や立

          「みんなちがってみんないい」と、本当に思えているか vol.31

          いじめる子たちも不安 vol.30

           中学1年の終わり頃から2年の途中まで、いじめを受けていたことがある。ふとした言い合いで私が泣いたことが引き金になったと、今でもはっきり覚えている。元々喜怒哀楽の感情の波が表に出やすい人間だ。それからというもの、周りの子は面白がってあの手この手で私を泣かせようとしてきた。私をからかうことが一つのエンタメになっていたように思う。周りは面白くても私にとっては地獄だ。なんとか泣かないように、強くあろうと必死だった。よくまあ学校に通い続けたものだ。  私に対するいじめがなくなった原

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