失敗学のすすめ 【somo somo! ブックス】
著者: 畑村 洋太郎 出版社: 講談社文庫
私は、「考え方」が、その人の人生を左右すると思っている。「失敗」に対する考え方もそのひとつである。偶然の失敗からノーベル賞を受賞する人もいれば、事故を誘発して安全管理責任を問われる人もいる。失敗も考え方ひとつで人生を左右するのである。
みなさんは「失敗」をしたときどう思うだろうか。私は、恥ずかしいし、隠したい気持ちでいっぱいだ。当たり前だが隠してはいけない。なぜなら、「放っておくと失敗は成長する」からだ。
みなさんはハインリッヒの法則をご存知だろうか。この法則は1件の重大事故裏には、29件のかすり傷程度の軽い事故があり、さらにその裏には事故ではないもの300件のひやりとした体験が存在しているというものである。このようにもしあなたが事故にならないような失敗を隠してしまうといずれ大事故を引き起こす可能性がある。「失敗の成長」を放置していることになる。
ではどうやったら失敗を失くせるのか。残念ながら、人が活動をしているかぎり失敗をなくすことはできない。だから「失敗」に対する考え方を考えればいいのである。「失敗」を悪いものではないという文化に変えてしまえばいいのである。本書で提案しているように、失敗の経緯を実名を入れて公表するのである。実名で公表すれば、聞き手にリアルな危機感を持たせることができ失敗を低減できるし、実際の失敗した状況も確認できる。そして、失敗が恥ずかしいという文化をなくすことができるのである。もちろん、失敗した人は自責の念を強く持ってしまうので、ケアは必要であるが将来を考えるのであれば、組織として取り組むべきことなのである。
現在、NHKのドラマで失敗学が取り上げられるほど、メジャーな学問である。日常に必ず起きてしまう「失敗」。ただ、忌ましく嫌うものではなく、成長の糧として利用できないかとポジティブに分析してみるのはどうだろうか。
written by 左利きは僕のあこがれ
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