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SDGsはやさしさで出来ている vol.34

 SDGsをご存知だろうか。私も会社から「これからはSDGsの時代だー!」とかなんとか言われるまで知らなかった。「まーた社会貢献活動についてどうこう言いだした」とか思って最初は聞き流していたけども、よくよく中身を見てみると、なかなかこれは考え方だと思えるものであったので、ここで簡単に紹介させて頂きたい。

 SDGsは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、2015年9月の国連サミットで採択されたもので、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」という誓いを立てている。17の目標、そこから分化した169のターゲットを定め、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すとしている。貧困や飢餓といった問題から、働きがいや経済成長、気候変動に至るまで、先進国・発展途上国を問わず全世界が抱える課題を包括的に取り扱っていることが特徴だ。

 私は目標やターゲットを見ていて、「犠牲の上に成り立つ繁栄を考え直そう」という精神が貫かれているという風に感じた。私たちの生活が豊かになる一方で、地球のどこかに歪みが起きている。地球環境もそうだし、格差やジェンダーといった問題もそうだ。グローバル化が進展した今、近くの人だけでなく、巡り巡って遠くの誰かが苦しい思いをしているかもしれない。また被るのは今ここにいる誰かではなく、将来の誰かなのかもしれない。「誰一人取り残さない」という、今の自分たちが良ければそれでいいのか、という思いに私も賛同したい。何より、取り残されないということが共有されている社会は、全ての人々に安心感を与えるのではないだろうか。現時点で富める人、満たされている人にも同様である。巡り巡って自分のためにもなる。

 こう崇高なものを掲げられると「それは夢物語」「非現実的」だと思われる方もいるかもしれない。2030年を目標とするなら、正直私もそう思う。ただSDGsの考え方そのものは、2030年に限らず残るものであって良いのではないか。何世代にわたる持続可能性を求めるのであればなおさらだ。「誰一人取り残さない」社会ができるまでには相当な時間がかかるし、できるかどうかもわからないが、チャレンジする姿勢を子供達に見せたいなとは思う。ただの私の願望であるが、未来は明るいという気持ちを持ってほしい。

 こう考えていくと、SDGsはみんなによる、みんなのためのものだなと私は思うのだが、具体的な目標やターゲットを見る限り、どうにもスケールが大きすぎて、「私には関わりにくい」「企業や何か大きな組織に向けて書いている」という印象を持ってしまう。確かに大きくことを動かせるのは企業などの大きな組織であろう。一人一人の一般市民にできることは限られている。SDGs自体が企業の本業に組み込むように求めていることも関係しているのかもしれない。ただ企業などの大きな組織に求めるこそ、なおさら一般市民に浸透していた方が良い。一般市民にポジティブなイメージが根付いているものであるなら、企業も人々からの承認が得られやすいことだとみて、行動に移しやすいからだ。何よりその企業を率いる人、これから率いるであろう人も一般市民の一員である。そういうわけで企業、一般市民、両方向からのアプローチが必要ではないだろうか。

 では私のようなごくふつうの一般ピーポーが、どのようにすればSDGsを自分ごととして捉えられるだろうか。私が思うに、基本となるのは「誰一人取り残さない」、「持続可能な社会を作る」というところ。そして先にも書いた、「今の自分が良ければいいのか」というところ。これらを思考の始発点として、一人一人が身近なところから、SDGsらしいことを少しづつ実践していくのがいいのではないだろうか。まずハードルは低くて構わないと思う。そのほうがSDGsそのものの持続可能性も高まる。

 私にもできそうなことをいくつか考えてみたい。
・ゴミのポイ捨てをしない。捨てる時は分別をする。
・油を排水口にすてない。
・宴会の食べ物は全て食べきる。
・エコな商品を選ぶようにする。エコバッグを使う。
・過剰なサービスを求めない。(相手の労力が増えるので)
・取引先に無茶な要求をしない。
・身の回りのいろんな人の意見に耳を傾ける。価値観を尊重する。
・家事を身につける。(男女の役割という価値観にとらわれない)
・いいもの、いいサービスだなと思ったら、買うなりSNSで発信するなりして応援する。

 こんなところだろうか。考えていて、私の行動の一つ一つが、身の回りの人や遠くの人に巡り巡ってどのような影響を与えるだろうか、ということを想像することが大切なのではと感じた。さらに言うなら、自分の頭で考えるという過程も大切である。そうすることで、社会環境がどれだけ変わろうとも、一つ一つの身の回りの事柄に対して応用を利かせて考えることができるのではないだろうか。

 色々書いて、結局敷居が高くなっていそうで不安であるけれど、要はわたしたちの中にある「優しい気持ち」をいろんなところで発動していけばいい。では、誰かに対する優しさってなんだろう。それもまたSDGsの始まりだと言えるのでは。居心地の良い社会を作るその一部でありたい。

written by いつき

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