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楽器演奏に対する心の内

楽器を習得するのは難しい。
それは楽器そのものよりも、習得する手段がまず難しい。

チェンバロを30年ちょっと弾いてきてレッスンを受けていた期間はそのうちの20年弱だけど、人前で弾いても恥ずかしくないぐらいになりたいとか、誰かとアンサンブルできるぐらいの腕になりたいとは微塵も思ったことはなかった。

楽器演奏は気晴らしであり、ストレス発散であり、遊びだと思ってる。
それがたまたまたチェンバロという古楽器だっただけ。
勿論、レッスンで恩師にそのような心の内を話したことはないけれど、多数の生徒に教えている訳だし、それとなく見破られてたとは思っている。

ただ、チェンバロの場合はそれなりに本気で調べたり学んだりしてきたつもり。
それでも根底にあるのは「遊び」であることには変わりない。
本気の遊びだ。

ルイ•クープランを自己満足程度に弾ければそれでよかった。
それだけのためにレッスンを受けてきたので、後期バロックはやらなかったし、勿論バッハも弾いてきていない。
チェンバロ作品を全般的に習うのではなく、特定の時代、特定の作曲家に絞ってレッスンを受けてきた。

どこの街にもたくさんある普通の音楽教室でピアノやフルートを習うのなら、遊びで習いたいと考えて始める人も多いのかもしれない。
だけど古楽器となると、そのようないい加減な心構えでは教える側もよい顔はしないだろう。
いや、街の音楽教室でピアノやフルートを習う場合ですら「遊びで習いたい」と言ったら嫌な顔をされるのかも。
でも実際、そこまで本気でやろうとは思わないし、本当に遊び程度で楽器を嗜んでみたい。
そうなると、レッスンは受けずに独学の道へ進むことになる。

では果たして古楽器は独学でも遊び程度の演奏ができるようになるのかどうか。
今、フラウト•トラヴェルソを手に持って、中々マトモな音が出ない自分に向かって問いかけている。

本当にそこまで本気になるつもりはないし、ガッツリやるのはしんどいし、師弟関係なんてものとは距離を置きたい。
教則本と動画を頼りに独学でやれるならそれが最善だと思っている。

ギターやウクレレやファイフやオカリナやハーモニカは独学で遊び程度に嗜んでる人も多くいる。
リコーダーは古楽器なのに、そんな意識もなく学校で吹かされ、遊びで吹いてる大人もいる。
トラヴェルソもそれで行けそうな気がするけど、誰に相談してもレッスンを受けるべきだとの回答しか得られていない。

もし万が一レッスンを受けるとしても、モダンのフルートが専門でトラヴェルソの経験も多少あるぐらいの先生を見つけ出して習うぐらいが丁度よいのかも。
それはそれで、トラヴェルソにガッツリ取り組んでる人からは異論が出そうだけど。

悩ましいね。