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人間界への皮肉に満ちていて面白い、神視点映画!『Poor things』

先日、S Fロマンティックコメディというカテゴリーにある、それだけでもツッコミがいが満載「哀れなものたち」を見に行きました。今日はそのふふふっな感想。(祝、アカデミー主演女優賞など4部門)

すぐにはわからない映画だが


最初に言いたいのは『POOR  THINGS』 はとても刺激的な映画だったということ。ストーリー然り、ビジュアル然り。
わかりやすい映画が多い中、これはなんなの? わからない、わからない、とやたら疑問になりながらも、深みにハマったようにどんどん見てしまう。そして映画を見終わった後は、やたら深掘りしたくなる、そして誰かと話したくなる、そんな映画である。
まさに、ジャンポール ゴダールの映画のようである。この下でも書いているけど、もう一度、わからないのは面白いのである。



魚眼レンズを使った映像について


まず私の心を強く惹きつけたのは、魚眼レンズの多様遣い。
最近魚眼レンズで映画を撮った人は誰かいるのだろうと疑問になり探したら2020年制作の『Fish eye』、という映画では結構使われてるよう。
残念ながら見ていない。映画全体が魚眼レンズだったら、非常に難しいに違いだろう。きっと目が画の焦点、中心によりすぎて気分が悪くなるかもしれない。

「Poor Things」ではシーンの、例えば、手術場面、船中、異国の頭の上からと多様な場所に使われている。そしてそれ以外のほぼ全ての部分で超広角レンズが使われている。映画の場合広角レンズは割と普通であるけれど、この映画の場合、それよりより広いレンジの広角である。

その効果は、半端なく、圧倒的な色彩と目の回るようなビジュアルが美しい。映画とは視覚芸術であることを、すごく意識させられる。
もちろん、人によってこのレンズ効果は嫌いな人は嫌いだと思う。

でも、なぜ魚眼レンズを使ったのか?

それは、何度も何度も考えた私の結論では、天からの、神視線で撮られていると思った。(単なる私の考え!)

フランケンシュタインのような顔をしたドクター、(ウイリアム デフォー)や、他のサブキャストも、主役ベラ(エマ ストーン)がいない時に彼女の代わりに、他の女性の脳手術に挑んだりとか、一人一人の行動が、とんでもなく人間臭いというか、やばい。

ベラの頭がまだかなりのお子ちゃん程度の発達の時に、バブルの塔のような船から見た下界の人間、子供たちが飢餓で死んでる様子を見て、悲鳴をあげ、一緒にいたすけべ弁護士の男(マーク ラファロ)のお金を全て船員に渡してしまうベラ。「あの子たちに渡して」と言って。もちろん船員は猫ばば。

そして弁護士が全財産をなくして嘆く様。
子供に教育だと言ってベラとのsexを娼婦館で見せるフランスの親父、などなど。いわゆる、世界の俗な部分の拡大を観客は一気に見ることになる
自分が正義だと思っている人々がそこ、ここ、人間界には完全にたくさんいることがこの映画でとてもよくわかるのだ。

きっと、人間界の下を見下ろしている神がこのタイトルのように「なんて哀れな人間たち」と呟いているのかもしれない。

そして、チラリと思うのだ。いま戦争下の人々は、おそらく飢餓や、寒さで震えているのに、私はこの観客席に座り呑気にお茶を飲みながらこの映画を見ているのだと。なんか、私も、哀れな人間たちの一人であるか、と。

撮影監督のロビー・ライアン氏のインタビュー。レンズ周りのことが詳しくわかるので興味のある方は。


ズームレンズで撮って、次にワイドレンズ、あるいはペッツバールレンズで描くシーンを三種類のレンズで常に撮影しているらしい。そのあたりのことは上の大見出しのリンクから飛んで読んでほしい。

さて、さて、女優さんである。

なんといってもエマ ストーンである……。


見た目的にはあまり私には好みの女優さんではないけど、演技力ときたら!
あなたは、宇宙人ですか? と思うくらいすごい。
これでは35歳にしてアカデミー賞をすでに二つもとっていても誰も文句は言わないだろう。

異常に多いセックスシーンが出てきても彼女自身の色気があまりないからか、非エロ系身体なので、私は気にならなかった。むしろ、このやたら多いセックスシーンはコメディかと思ったくらいだ。(演技とは関係ないが得である)

ちょっと映画の中のファッションもいいが、日常も

映画の中では、彼女の宇宙人のようなファッションが、中世の街の中にいて非常に現代的でその対比が面白かったが、実際の彼女の日常着もとても素敵で、センスがある。

フェミ映画なのか、そうでないのか? あらすじと共に(ネタバレ含む)


これ、フェミの人たちがそう思って見たらフェミなのかも、と言ったら元もこうもないが、
自由の聞かないカゴの中の鳥のような大人だった女性が、自殺してしまい、
その後助けられお腹の中にいた赤んが脳移植されてベラという存在になる。そのベラが、それまでの社会通例を覆すようなことを言ったりしながら、そして娼館で働いていくうちに、勉強を始め大学生になる。
子供からどんどん大人になる。無垢な女の子から、タフな知的で強い女性になる。もう、弱いものには見向きもしない。
ファイナルシーンで、元夫が脳移植をされて、動物と結合しているのに対して、フェミ的にはやったな~という感想。←ここ!

フェミニズムは賛成だけど、自分自身がフェミなのかいつも疑問の私は驚く。(定義が!)

それ、フェミ的にはそれでいいの? フェミニズムはよくわからないなぁとここで思う。女性優位なら、男性の人権無視?

ただ、フェミを表現しているのではなく、二人の人間の人生を一つの身体で表現したと思う人もいる。

要するにこの映画はフェミとして見ようと思えば確かにと思う点もあるのは確かだが、そう捉えない人もいるということ。

見る人によってこの映画のコンセプトは変わるのは当たり前である。

で、監督はどう考えて作ったのだろうと私が思う時、これは視覚芸術の映画として作られたわけで、そこに大きな社会的なコンセプトはあるのだろうか、あるとしたらまた言ってしまいますが、

「哀れなものたち」と、神が考えてるようなカオスな人間社会をみせたかっただけなのではないかと私は思う。

ちなみに原作はこちら。


この原作の原作は、

「フランケンシュタイン」で知られる有名な作家、メアリー シェリーと、その母親との関係がPOOR Thingsに生かされているのだとか。

とにかくわたし的には、面白い映画の一つとして覚えておきたい要素が多くあり、いいなぁと思うのでお勧めの映画。

もし、あなたの近くにこの映画が来たら、ぜひみて、わからないを楽しんでほしい。あなたなりの、この映画の感想を、私にも教えてください。



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