老舗タクシー会社で1,000名を超える採用に寄与。「人間力」を重視する採用を、データ活用で加速させる【事例】国際自動車
タクシー、ハイヤー、バス事業を展開する旅客運送の総合企業・国際自動車株式会社。
ソウルドアウトは、タクシー業界で人手不足が叫ばれるコロナ禍の2021年から採用プロモーションにおけるデジタル広告のご支援をはじめました。
国際自動車が創業以来、大切にしているのが「人」。日本のタクシー業界で最初に新卒採用へ力を入れ始めた国際自動車では、業界でも異例の充実した人財教育を行なっています。そんな、「人」を大切にする企業の採用を、デジタル広告でどこまで支援できるのか。
その取り組みのポイントとなったのが、“データ活用”だったそうです。今回は「入社してもらいたい人に出会う」という理想の広告配信を実現しつつある皆さんにインタビューを実施しました!
「社員第一主義」創業100年を超える老舗タクシー会社
社員の健康と幸せがあってこそ、お客さまにホスピタリティを発揮できる
──── 最初に、国際自動車さんのご紹介をお願いします!
小倉: 国際自動車は1920(大正9)年に創立しました。ハイヤー・タクシー・バスの旅客運送事業を中心に、駐車場事業や整備事業などの関連するサービスを展開しています。
昨今では、自動運転やライドシェアなど新しいサービスが生まれており、そうしたテクノロジーの進化の波のなかでも、私たちは「人」にこだわりをもち続けています。私たちは、二種免許をもったプロのドライバーがお客さまを安全に目的地までお届けするということを大切にしています。
人が人の命をお預かりし、安心・安全に目的地までお届けする。この原点は創業以来、今もこれからも変わることはありません。
──── たしかに、自動運転技術やAIなどのテクノロジーを掛け合わせたサービスや、配車アプリの普及により、タクシー業界は急速に変化していますよね。競争環境もどんどん変わってきています。
小倉:もちろん、そういった時代の流れを否定するわけではありません。
経済環境やライフスタイルの変化によって、お客さまの移動ニーズは多様化しています。だからこそ、そうしたニーズにお応えするために、私たちはホスピタリティを発揮し、人にしかできない、利便性の高いサービス提供を行なっていきます。
安全に輸送するのは当たり前です。そこがベースで、プラスでどのような価値を提供できるか。お客さまの移動時間をいかに豊かにできるか。私たちはホスピタリティの精神を大切にしています。
──── お客さまへのホスピタリティを掲げている国際自動車さんでは、社員に対する「人財教育」にも力を入れられていますよね。
小倉:私たちは、ホスピタリティの源泉は「社員第一主義」にあると考えています。まず社員自身の気持ちが豊かでなければ、お客さまに安全で快適なサービスを提供することはできません。
福島:ただハンドルを握るドライバーなのではなく、サービス業をしているのです。私たちがハッピーでいることで、お客さまにハッピーを提供できます。
そういった考えのもと、会社として社員の健康と幸せを守る取り組みを行なっています。社員が安心して働ける職場環境を整えるため、研修制度やキャリア支援制度、福利厚生などの制度を充実させています。
──── 「社員第一主義」を掲げる国際自動車さんでは、採用領域はとても重要な役割を担っているのではないでしょうか。人事部の皆さんの職務内容を教えてください。
小倉:私が責任者を務めている人事部は、採用課、研修課、人事課の3つの部署で構成されています。
国際自動車では、中途採用、新卒採用を行なっています。中途採用でも基本的に未経験者を採用しているので、研修課では、免許取得やその後の研修のサポートを手厚く行なっています。
福島:私は、採用課で中途採用チームのリーダーを務めています。主に、中途採用者へのフォローアップや、毎月の採用計画に基づいた採用活動を推進しています。
吉澤:私と渡邊も採用課に所属しています。
私の業務としては主に採用面接の担当や採用課内の数字の集計を行なっています。以前は、自社の求人採用サイトや求人媒体、広告媒体の担当をしていましたが、現在はその業務を渡邊に引き継いでいます。
昨年度は1,000名の採用に成功
──── それでは、採用について伺っていければと思います。タクシー業界では、ドライバーの高齢化による人手不足が課題となっているとよく耳にするのですが……。
小倉:そうですね。コロナ禍では特に、タクシードライバーの離職が相次ぎました。国際自動車でも、2年間で600〜700人ほどが退職してしまったんです。昨年度は特に採用を強化し、タクシードライバーだけでもおよそ1,000名の方に入社していただきました。
福島:ソウルドアウトさんにもご協力いただき、厳しい状況のなかでも結果を残すことができたんだと思っています。
私たちは、ホスピタリティを発揮できる方を採用することも重視しているポイントです。ソウルドアウトさんと長くお付き合いさせていただくなかで徐々に、数だけではなく、私たちが求める人物像に近い方の採用に結びついてきていると思っています。
──── 人手不足といわれているなかで、1,000名の採用に至ったとは驚きました。採用では、ホスピタリティを発揮できるかを重視しているんですね。詳しく教えてください!
小倉:タクシーを利用するお客さまは、何かお困りごとをおもちです。急いでいるのか、暑さや雨をしのぎたいのかなど、様々な情報からお客さまの気持ちを想像し、前職や今までの経験を活かして自分で判断して積極的に動ける方に来ていただきたいと思っています。
福島:お客さま対応では、急に何が起こるかわかりません。「その時」「その場」「そのお客さま」に最善だと思うことを判断して動くことこそが、私たちが目指すホスピタリティです。
ホスピタリティはマニュアル化することが難しく、面接ではそういった「人間力」を見るようにしています。
業界初の新卒採用を始めて14年。毎年100名以上を採用
──── では、特に新卒採用ではいかがでしょうか。どのような点を重視されているのでしょうか?
小倉:新卒採用では特に、常識にとらわれないような思考や行動ができる人であることです。
最初にも申し上げましたが、モビリティ業界は大きな変革期にあります。これまでの正解や成功体験に縛られるのではなく、失敗を恐れず挑戦していける人を採用し、育成していきたいと考えています。
タクシーが空を飛ぶといわれているような時代です……。例えば、他業界とのコラボレーションを通じて新しいサービスをつくりあげるなど、今までにない新しい発想で前向きにチャレンジしていける人を採用していきたいですね。
近年では、毎年100名以上の方に入社していただいている状況です。
──── なんと、100名以上ですか!
小倉:100名以上を採用するには、様々な努力が必要です……。
タクシー業界は人気業界ではないですし、親の反対が根強くあるのも問題の一つです。本人はタクシードライバーになりたいと思っていても、親から反対されて入社できないケースがあるんですよね。
そこで月に1回ほど内定者や入社予定の方の家族を対象にした「オープンカンパニー」を開催しています。国際自動車グループの様々な取り組みや実像を伝え、不安を払拭し、理解を得られるよう努めています。
180度イメージが変わったというお声もあります。新卒採用はまだまだ厳しい状況ではありますが、私たちの理念や働く環境の良さをアピールしながら、地道に採用活動を続けていければと考えています。
──── とてもすてきな取り組みですね!ちなみに、新卒採用はいつから始められたのでしょうか?
小倉:2010年から始めました。当時、新卒採用は業界初だったんです。今でこそ年間100名以上の新卒採用を行なっていますが、初年度の採用は一名だけでしたね。
新卒採用を始めた理由は、業界の変革を担うような人財を確保するため。タクシーは生活に必要不可欠な存在でありながら、世間の評価は高いとは言えない側面があります。
福島:職業的には、お客さまの命を安全に守り、目的地へお届けするパイロットと同じなのですが……。
イギリスだと、子どもがなりたい職業の1位から3位に入るくらい、かっこいいイメージがもたれているそうです。そんな風に日本も変えていきたいですね。
小倉:新卒採用を始めた頃は、社員の育成制度も、魅力的な福利厚生も、もちろん女性用の施設もない状態でした。徐々に体制を整え、施設を建て替え、現在では多くの方に国際自動車を選んでいただけるようになったと思います。
ソウルドアウトとの取り組み
採用フェーズごとのデータを可視化。採用数を起点にしたモニタリング・施策の実行
──── ソウルドアウトとは、2021年頃のコロナ禍から取り組みが始まったと伺っています。どのような取り組みをされているのか教えてください!
梅澤:取り組みを開始して2年ほど、応募数を増やすため、検索広告やディスプレイ広告などの広告運用を行なってきました。コロナ禍でタクシー業界として厳しい状況のなかでも、可能な限りの最適化はできていた状況だったと思います。
目標数をご共有いただきながら達成のために取り組んでいたのですが、広告経由の応募数しか把握できていないという状況で……。広告だけでやれることには限界を感じていたんです。より広い視点で取り組む必要性があると思うようになりました。
一連の採用活動では、応募数だけではなく、有効応募(書類選考を通過した応募)数や説明会参加数、面接数、内定数など、様々なデータがあります。各フェーズにおける歩留まりを明らかにすることで、最終的に採用率の向上につながる広告運用ができるようになるのではと考えたんです。
──── とにかく応募数を増やすことはできるようになったけれど、その先で本当の採用や入社までつながっているのかがわかっていなかったということですね。
梅澤:そうです。広告をクリックして「応募完了」になった以降のプロセスがブラックボックス状態だったんですよね。
そこで、採用から逆算したより本質的なご支援をしたいと熱量を伝え(笑)、吉澤さんにもご協力いただいて応募数から入社数までのデータを、まずは手作業でGoogleスプレッドシートにまとめ、歩留まりを計算していきました。どのフェーズで歩留まりが低下しているのか、ボトルネックになっているのはどこなのか、把握できるようになりました。
──── データを可視化して、どのようなことができるようになったのでしょうか?
梅澤:効率的な広告運用の施策を実行できるようになりました。
例えば、年代別にターゲティングを行ない広告の配信比率を最適化する、といった判断につながりました。採用につながりやすい人がどのような人なのかがわかってきたので、クリエイティブに反映させたり、ターゲティングに活かしたりして、PDCAサイクルを回しながら成果が上がってきましたね。
成果につながることを実感できつつありましたが、お手製のGoogleスプレッドシートでは、どういった流入経路だと採用につながりやすいのか、ということがわからなかったんです。それに、手作業だと限界も感じていて……。
広告のデータと合わせて国際自動車さんがおもちのシステムと連携できれば、採用率をより一層向上させることができると思い、データを一元管理できるダッシュボード「SOカシカ」の導入をご提案させていただきました。
──── 導入までの経緯がよくわかりました。実際に導入してみて、いかがでしょうか?効果を実感されていますか?
吉澤:SOカシカを導入するまでは、いかに応募数を増やすか、という視点で広告に向き合っていました。しかし、どのような求職者が採用につながりやすいのか、といった視点で考えるようになりましたね。着眼点が変わりました。
実際に、効果にもつながっています。SOカシカでは、広告媒体ごとに応募から最終的な入社につながっている数が一目でわかるので、広告へのより効率的な投資ができるようになったと思います。
梅澤:SOカシカで見えなかったことが見えるようになりました。企業の採用活動では、やらなければならないことが非常に多い。そのなかで、限られたリソースを最適化し、成果につなげていくことが重要です。
初期接点から入社までの経路をみて、成果につながっていない広告媒体やキャンペーンを思い切って停止するなど、予算配分を最適化するチャレンジもできました。
オウンドメディア・現役社員インタビュー「DRIVERS」が未経験者採用につながった
──── SOカシカでは、最初の接点からどのような経路をたどって入社につながっているのか、というデータも見ることができるんですね。
梅澤:例えば、Meta広告をクリックしたあと、実際に有効応募、面接、採用につながっていることがわかりました。Meta広告が直接的な成果につながっていなくても、初期接点になっていることが意味をもつ。こういったデータを可視化できたことがとてもよかったです。
──── Meta広告で初めて国際自動車を知った方が実際の採用に結びついていたんですね。
梅澤:そうです!
私は、「DRIVERS」というオウンドメディアに掲載している社員インタビューの記事をMeta広告で配信した結果、多くの応募に結びついたときのことが印象に残っています。
一般的に求人の広告では、時給や条件を記載した遷移先(LP)が応募に結びつきやすいといわれているにも関わらず、です。国際自動車さんが大切にしている「人」の部分を訴求することで結果につながると証明できました。とても嬉しかったです!
福島:「DRIVERS」を読むことで、社員のリアルな声を知れたり、ドライバー未経験者の方が安心感を得られたりするんだと思います。
中途採用では、95%以上の方が未経験者です。飲食業の方であれば、同じ飲食業出身者の社員の記事を読んで共感するなど、未経験の方にとっては、同じ経験をしている人の記事を読むことで背中を押されるんだと思います。
吉澤:最近、面接を担当するようになったので、求職者の生の声を聞く機会が増えました。「DRIVERS」を見て入社したいと思う方が多くいらっしゃるようです。「DRIVERS」の重要性を改めて認識しています。
──── 「DRIVERS」が、未経験者の採用に大きな役割を果たしていますね。
梅澤:そうだと思います!
未経験の方の採用が多いということから、Meta広告のターゲティングもかなりこだわりましたね。飲食業や別のドライバーをしていた方などが採用につながっているとか伺い、子育て中の方や飲食店で勤務されている方など、タクシードライバーには全く関係のない興味・関心ターゲティングを実施していました。
そういった方に向けての配信はなかなか成果に結びつきにくいものですが、「DRIVERS」の記事で結果につながりました。
吉澤:採用活動では、業界に対するイメージの払拭や、国際自動車の良さを伝えることが重要だと考えています。デジタルの活用はまだまだこれからなので、今後もソウルドアウトさんと一緒に、さらなる採用施策にチャレンジしていきたいと考えています。
同じ目標に向かって足並みを揃える
──── 応募数増加だけでなく、最終的な入社数の増加まで、一緒に目標達成に向けて取り組まれてきたんですね。
塚本:そうです!どういった方が入社されているのかを肌で感じたいと思い、採用説明会への参加はもちろん、タクシーへの乗車、整備工場の見学……社員食堂でほかの社員の方とお食事をご一緒させていただきました。
充実した研修施設やタクシー専用大型フェンダーミラーなどの独自の仕組みなど、未経験の方でも安心して挑戦できる環境があり、会社が社員のことを本当に大切にしている企業であることを感じました。また、社員の皆さんが誇りをもって働く姿を目の当たりにし、国際自動車さんの企業文化をさらに深く知ることができましたね。
訪問を通じて、さらに「採用したい人」への解像度が高まりました。ターゲティングの精度を高めたり、クリエイティブに活かしたりできるようになったと思います。
今井:見学させていただいたなかで特に印象に残っているのが、あるタクシードライバーの方が仕事に誇りをもって働いていらっしゃる姿でした。
国際自動車さんの採用プロモーションのお手伝いをさせていただくことは、まだ国際自動車さんを知らない方にその魅力を届けること。大きな意義のあることだと感じています。今後は、広告以外の領域でもお手伝いさせていただきたいです!
吉澤:ありがとうございます!ソウルドアウトさんには、私たちの目標である採用数の増加のために尽力していただいています。
私たちの状況について、様々な角度から話を聞いてくださいます。私たち自身の力不足で、なかなか言葉にできていない部分もあるかと思いますが、とても真摯な姿勢で取り組んでいただいていますね。
塚本:私自身、国際自動車さんの一員であるという想いをもっており、いつもざっくばらんにお話しさせていただいて感謝しています。今後ともよろしくお願いします!
ワンチームで取り組む今後の取り組み
“採用すること”以外の取り組みをしていきたい
──── まさに“ワンチーム”ですね!では、今後チャレンジしたいことを教えてください。
塚本:採用全体における課題解決により一層取り組んでいきます!
まず、採用数の最大化に向けて、限られたコストのなかで、いかに採用単価を引き下げられるのか。また、採用数をどれだけ伸ばすことができるのかを、徹底的に追及して効率的な採用活動の実現を目指していきます。
そのためには、今後も国際自動車さんと伴走させていただき、人材紹介を含め会社全体の採用単価を抑えられるよう抜本的なマーケティング戦略を考えています。
福島:ありがとうございます。
人材紹介のメリットは成果報酬型であり、採用数自体は伸ばせるのですが、ほかの手法と比較して採用単価が高くなる傾向があるのがデメリットです。とはいっても、全体の採用数を伸ばすためには人材紹介も不可欠な存在なんですよね。
採用活動としては、一つの手法に限定するのではなく、運用型広告や人材紹介、求人メディアなどを活用して、採用数を担保しつつ、採用単価をいかに下げるかのトータルバランスが重要だと考えています。
──── ソウルドアウトに期待していることはありますか?
福島:今後は、対面で合う機会も増やしつつより距離感を縮め、もっと親密な関係を築いていきたいですね。
ソウルドアウトさんができることをまだまだ私たちは把握しきれていないですし、私たちのことも知っていただきたい。私たちのチームは人を“採用すること”が目的ではありますが、お互いがもっと近づけば、採用以外にもブランディングなど、新しい取り組みを広げていけるのではと思っています。
渡邊:私も、今日のような対面での会話を増やしていきたいと感じています。
今はタクシードライバーの採用に取り組んでいただいていますが、今後はタクシーの各営業所やハイヤーの採用も強化していきたいと考えているので、現場をもっと見ていただきたいですね。より効果的な採用施策を実施していきたいです。
塚本:ありがとうございます!これからも緊密な連携を取っていきたいです。
本日は、国際自動車さんが大切にされている想いを改めてたくさん伺うことができ、さらに身が引き締まる思いです。近々一緒にお食事しましょう!ありがとうございました!
編集後記
日本のタクシー業界で初めて新卒採用に力を入れ始めたという国際自動車さん。“日本初”の「人を大切にする」様々な取り組み、とてもすてきだなと感じました。これから両社で新しいチャレンジができることを期待しています!
【インタビュー・執筆・編集:みやたけ(@udon_miyatake)】
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