データを活用したソリューションで、事業の成功確度を上げる。ヤフーとソウルドアウトがともに取り組むSMB市場の創造(後編)
先日「データ×地方中小」というテーマで、ヤフー株式会社の福山本部長、岡村本部長と弊社代表の荒波との対談の模様をまとめました!
今回は前回に続き、具体的な取り組み内容についてお伺いすべく、ヤフー株式会社の渡邉 久美さんと弊社ヤフー担当の伊達にインタビューしてきました!
ヤフーとソウルドアウトで今注力している「データ活用」の取り組み
─── はじめに、お二人の自己紹介をお願いします。
渡邉:ヤフーで広告代理店さま向けの営業をしています。入社以来、様々な規模やエリアの広告代理店さまを担当してきました。今年の5月からソウルドアウトさんの担当をしています。
伊達:私は、弊社の広告運用部門でヤフーさんの担当として、弊社営業・運用担当とヤフーさんを橋渡しする役割を担っています。渡邉さんをはじめ、ヤフーの皆さんと毎週打ち合わせを行い、最新情報や事例を共有いただいたり、広告主アカウントの成果改善に向けてのディスカッションを行ったりしています。
議論した内容は、社内のチャットグループで全営業・運用担当へ共有を図るようにしています。また、定期的に弊社内の勉強会にヤフーさんに登壇をいただき、ヤフーさんのソリューションについての情報、知見が社内に浸透するよう努めています。
─── 力を入れている取り組みを教えてください!
伊達:データ活用の推進です。ヤフーさんが開発・提供している、データを活用して企業のマーケティング活動を支援する「データマーケティングソリューション(以下、DMS)」や、データ集計ツール「DS.LIBRARY」などを駆使してお客さまに提案を行い、企業のデータ活用を推進しています。
渡邉:現在ヤフーでは、ビッグデータを活用した、企業の事業活動の支援に力を入れています。
「DMS(データマーケティングソリューション)」は、私たちがもつ数多くのサービスにおける膨大な行動データに基づき、15種類のソリューションを提供しています。広告効果の分析や消費者理解といった、マーケティング活動の支援をヤフーが持つデータを活用して実行しています。
「DS.LIBRARY」は、ヤフーが開発・提供するデータ集計ツールです。Yahoo!広告の効果検証やマーケティング戦略を策定する際にご活用いただいています。
─── 様々な形でデータ活用を推進しているんですね。
伊達:はい、毎週の打ち合わせでは、社内の案件のトピックを議題にあげ、どうすればもっと成果がよくなるのか、どういった打ち手があるのか、といったことを話し合い、ヤフーさんから直接アドバイスをいただいています。
渡邉:私は、ソウルドアウトさんとは一心同体のような気持ちで担当しています(笑)。ソウルドアウトさんは、全国に営業拠点があり、地方、中小・ベンチャー企業の成長支援に本気で取り組む代理店さまであることが特長だと思っています。それは他社さんにはなかなか真似することのできないことなんですよね。ソウルドアウトさんだからこそできることがあると思うのでデータ活用にどんどん取り組んでいってほしいです。
データ活用で企業の課題解決を
リターゲティングに代わる配信方法でCookieレス時代にも広告成果をあげる
─── DMSやDS.LIBRARYは記載の通りさまざまな活用場面があると思いますが、それ以外にもデータを活用したターゲティング配信に6月から取り組み始め、多くの企業でいい成果が出ていると聞いています。具体的な事例について教えてください!
伊達:データを利活用する仕組みの中で、ヤフーさんが保有する属性データやサービス利用データを活用したターゲティング手法があります。
北海道エリアを中心に展開している食品ECの案件では、類似の商品・サービスを検討しているユーザー層をターゲティングして広告を配信しました。その結果、新しいユーザー層の流入や獲得もあったようで、リターゲティングと同程度の獲得効率となっており、現在も継続配信しています。
─── Cookieレス時代に活躍しそうな、リターゲティングに代わるターゲティング手法ですね!
伊達:そうですね。コンバージョンユーザーの内訳を確認したところ、来訪したことのあるユーザーに加えて、来訪したことのない新規ユーザーからの獲得も多く発生していました。きちんと設計して配信できれば、売上の成長にインパクトを与える配信方法になっていくと思います。
データの活用で、新しいユーザー層の獲得に繋がる
─── データを活用したターゲティングは、ほかにどのような種類があるのでしょうか。
伊達:データを活用してユーザーを集計した「カスタムリスト」と連携したターゲティング手法があります。
例えば、ユーザーの“選ぶ”に必要な情報を提供する「mybest」というWebメディアがあり、「mybest」で作成したレビュー記事をYahoo! JAPANの柔軟なターゲティングを活用して、対象ユーザーへ広告を配信するものです。
渡邉:「mybest」では、様々な商品・サービスについて、自社検証と専門家の声をもとにおすすめ情報を発信しています。ユーザーの課題解決に役立っているメディアであり、ユーザーが何らかの商品・サービスを探す際に「〇〇 おすすめ」という検索ワードでの流入が多いメディアです。この配信方法では、記事ページへの興味を持ったユーザー層を分析してターゲティングをすることができます。
─── なるほど!おもしろいターゲティングですね。実際にどのような結果でしたか?
伊達:サーチターゲティング(※)と同等の獲得単価で推移しています。獲得率はやや低かったようですが、安価なクリック単価で配信でき、獲得単価を抑えられたようです。
また、サーチターゲティングの配信設定では「女性」「60歳以上」に絞っていたのですが、「mybest」の閲覧者の傾向をみると、40代の女性を中心に獲得に繋がっているような状況です。新しいユーザー層にアプローチすることができたと考えています。新しいターゲットの発見に繋がりましたし、今後も継続して配信していきたいです。
─── いろいろなターゲティング手法がありますね。
伊達:ほかにも、Yahoo!ショッピングを訪れたユーザー情報を分析し類似したユーザー層の興味・関心に関連した広告を配信していくターゲティングがあります。ヤフーさんが様々なサービスとユーザーデータを保有している分、次々と新しいターゲティング手法が生まれてきていますね。
両社で連携を深めて、お客さまへデータの恩恵をいち早く届ける
─── 渡邉さん、他社さんの動きはいかがでしょうか?
渡邉:かなり活発化してきていますよ。8月にリリースした「誕生月ターゲティング(※)」というターゲティング方法は、ある代理店さんからの要望をもとに実現しました。誕生日限定の特典や割引の訴求をする際に活用できると思います。
ただ、広告のターゲティングはユーザーにとって、過度な設定や表現は不快に感じることもあるかと思います。ユーザーの信頼を得るためにプライバシーに関する分かりやすい説明を行い、透明性を担保することや慎重に扱うべきデータはターゲティングに利用しないようにすることなどが大切であると考えています。
これらをもとに、プライバシーに十分配慮した形で、代理店・広告主の皆さまに納得感のあるデータマーケティングのソリューションを提供しています。
*プライバシーポリシー
*広告データ利用基準
─── 広告主の実際のニーズから、新しいターゲティング手法が生まれたんですね。
伊達:私たちもお客さまからの要望や営業からの意見を吸い上げ、ヤフーさんにフィードバックしていきたいと思います。ヤフーさんとの連携をもっと強めていきたいですね。
そのために私は、社内メンバーがヤフーさんにすぐに相談できるような環境をつくり、ヤフーさんのソリューションを、より早くお客さまに届けることができるようにしたいです。
─── 両社の連携を強化することで、いち早く、お客さまにデータを活用したソリューションの恩恵を届けていくことができそうです。
渡邉:この間も、岐阜営業所の営業の方からデータの活用に関してご相談をいただきました。広告領域以外でも「こういったこともできそう」というアイデアがたくさん浮かんできましたし、「それならこのようなデータ活用ができるのではないか」とお話しさせていただきました。
データの活用で広告の成果を上げることはもちろんですが、事業全体の成長を促進させていくことが私たちヤフーの願いです。地方のより多くの企業さまにご提供していきたいですね。
伊達:地方企業だと、本当に様々な課題があるんですよね。私たちは広告メインで支援をしていますが、「ブランドの認知度を高めるためにどうすればいいのか」といった、PR領域のご相談もいただくことがあります。そうしたときに、ヤフーさんのデータをどのように活用できるかが肝になってきますね。
Zホールディングスグループのもつデータを活用して、事業成長を支援したい
─── データの活用が、企業のもつ事業課題を解決していくための手段となる、ということでしょうか。
渡邉:そうですね。私たちZホールディングスグループは、約200のサービスをもっています。日々さまざまなデータが蓄積されており、これらを活用してお客さまの事業課題の解決口を見つけていきたいです。
伊達:私はヤフーさんの担当になって、Zホールディングスさんのもつデータの強さを実感しています。お客さまに早く提案して検証を重ねていくことが、事業の成長にとても有利になってくると思うので、どんどん提案スピードを上げていきたいです。
渡邉:ありがとうございます!統合的なマーケティングの戦略においてZホールディングスグループのデータを活用いただき、お客さまの事業成長を支援できるパートナーになっていきたいですね!
地方中小企業にデータ活用の重要性や効果を実感してもらいたい
─── では、中小企業がデータを活用する上で、どういった障壁があると思いますか?
渡邉:商品・サービスを利用するユーザー数が少ないことや、Web上での行動履歴のデータがあまり蓄積されていない場合には、分析がうまくできないかもしれません。
伊達:おっしゃる通り、中小企業では、自社で蓄積しているデータ量が少ない場合が多いです。仮に一定以上のデータ量を蓄積できていたとしても、効果的に活用できていなかったり、活用できるノウハウや人材が不足していたりする場合もあります。
そういったときに、ヤフーさんがもつ膨大なデータを活用して、ユーザー層を定め広告を配信したり、施策に盛り込んだりすることができれば、データ活用をしてこなかった企業であっても、データの活用にチャレンジできると思います。改めてデータ活用の支援に注力しなければ、と強く感じますね。
─── 多くの企業にデータを活用してもらうためには、どのような工夫が必要でしょうか?
渡邉:まずは、データを活用することの重要性や効果を実感していただく必要があると思っています。ソウルドアウトさんと協力して、一社でも多くの企業にデータ活用の手段を届けていきたいです。
日本には多くの中小企業さまがいらっしゃいます。中小企業さまが事業の課題解決にデータを活用いただければ、日本経済全体の成長にも繋がると思っています。だからこそ私たちは、誰もがデータを簡単に使える環境整備をしていきたいです。ここ2年ほどで代理店さんにツールを提供するなど、取り組みを加速させています。
伊達:今まで、データの活用といえば大企業だけに限られていたと思うんです。ですが、ヤフーさんの協力もあって、地方、中小企業であっても活用できる仕組みができてきていると実感しています。私たちソウルドアウトは、その仕組みをしっかり活用させていただき、提案数や導入数を指標として、データの活用に注力していきたいです。
データ活用のハードルを下げ、日本全国へ伝播させていきたい
─── では、今後取り組んでいきたいことを教えてください!
伊達:お客さまと取り組んで生まれた成果事例をニュースリリースのような形で発表したいです。そのために、ヤフーさんと連携を強め、私たちが設計や提案をしっかり行い、確実に成果に繋げていくことが必要だと思っています。
渡邉:先ほども申し上げましたが、お客さまの事業全体の課題解決にデータを活用していただきたいと思っています。それを実現するときに心強いのがソウルドアウトさんです。「SMB領域のデータ活用」といえばソウルドアウトさんのお名前が出てくるくらいの勢いで両社で協力していきたいです!
─── ありがとうございます!
渡邉:地方、中小企業さまでデータを活用できている企業はまだまだ少ないと思うんです。これまではハードルを高く感じてしまってチャレンジできていなかった企業も多いと思うのですが、出てきている事例を展開していけば「うちでもできるかも」という声があがってくると思います。
伊達:そうですね。引き続き連携を強化して、日本全国へ伝播させていきたいです!
編集後記
最近社内で盛り上がりをみせているヤフーさんのデータ活用。毎日のように新しい情報がうまれるこのデータの領域に目が離せません。これからの時代のデジタル広告がどうなっていくのか。楽しみです。
【執筆・編集:みやたけ(@udon_miyatake)】