アニメを観るなという大人達の無様な未来
娯楽としての位置づけでアニメの存在があるように見えるが、私たち世代の大人はアニメから学ぶことが多かったように思えます。
キン肉マンやドラゴンボール、セーラームーンやワンピースなど、様々な人気アニメが生まれた世代に生きてきた昭和50年代60年代生まれの私たち。
そのアニメのメッセージから受け取れるのは、仲間の大切さや、逆境があっても挫けず進む勇気、健全性、正義とは悪とはの問いがある。これらのメッセージを意識して観てきたかどうかはそれぞれわからないが、少なくとも潜在意識にすり込まれて幼少期を育ってきている。
大人のアニメに対する観点
私達が育ってきた背景には育ててくれる親や、周りの大人達がいる。その世代からすると、テレビにかじりついてアニメを観てる子供達は、勉強をしない子供、遊び呆けてる子供に映るので、「いつまでもテレビアニメばかり観て!馬鹿になるよ!」と言葉がでる。そこにアニメが伝えたい事との相違があるように思えるのは、もはや現代社会においてわたしだけではないように感じる。
というのも、冒頭の方にも書いた通り、仲間の大切さや、逆境に立ち向かう主人公の姿、最後の最後に振り絞る力が起こす世界の素晴らしさを私たち子供は観ているのに対して、その瞬間瞬間のドラマを大人達は「そんなものを観て!」と叱るから、たまったもんじゃない。素直な子は、アニメを観ることがいけない事。勉強をしっかりするもの。アニメを見る子はダメな子。という観念が根付く。根付くから、学校でアニメの話をしてる子を馬鹿みたいな目でみるようにもなる。
アニメを全肯定するわけではないが、流行るアニメ、映画、よくよく考えてみると、本当に馬鹿げた作品がヒットするのだろうか?経営をやっているとわかるが、アニメが伝えてきたことの全てが、経営というものに活かされる気がしてならない。
経営じゃなくても、仕事として一生懸命取り組めば取り組むほど、アニメで得た主人公のあり方は学びしかない。
それを、やめろという大人。そのやめろという大人はどれほど素晴らしい存在であるのかを考える必要があるが、子供にそこまで求められない現実もしかり。
アニメの伝えたい事
努力する事が正しい。努力しないものには結果が付いてこない。ひと昔前のアニメはそういった熱血系のものが多く感じますが、現代のアニメは何度もお伝えしている、仲間や、健全性、リーダーとしての姿勢などの在り方がフォーカスされてるように思える。
それと同時に不思議なことに、社会で求められる人材も、努力して営業して結果を出す!という時代が終わり、自分の在り方を問われるような仕事スタイル、経営スタイルに転換している気がします。さらに言えば、すでにその在り方という言葉すら時代遅れで、今は、大人という言葉が生み出す概念を覆すかのような問いが社会に生まれ始めているように映る。
大人になるまでの価値観が小さな子供時代に形成される。その大人からの子供達への教えが、社会に正しくを求めるほど、枠の中に閉じこもる大人に育っていく。もっと自由でいいはずなのに、これをゆうと輪を乱すかも、これをすると目立って何か言われそう、と、余計な考えが頭をよぎる。子供の頃に感じた心の声が、大人になって表現することができなくなる。
この事が、協調性がない人、ストレスが溜まって爆発する大人、気を病む大人などを作ってしまっている。
もっと自由でいいはずなのに
たまった気持ち、言えない気持ちが、体を侵す。本来なら、私たちは犯罪や人に迷惑をかけないように生きれば、もっともっと自由でいいはず。現代社会のルールを守り生きることは大切な事だが、行き過ぎた考えは、生き方そのものがおかしくなる。
あなたが生を受ける時、現代社会の枠に収まる事が正しいんだよ、と大人は言うだろうか?そんな大人がいれば出会いたいものだ。だが、不思議といつからか、大人はそのように子供を育てる。結果、心の声を塞ぎ込んだ、誰でもない自分が社会へと進み出す。
「あの日見た花の名前を僕達はまはだ知らない。」という2011年4月から9月に放送された深夜のアニメ。まさに、そのメッセージを伝えんばかりに、作者が想いを書き綴っている。
幼少期を共に過ごした仲間達が、大人になっていくにあたり、それぞれの道を歩み出す。だけど、その道半ばに現れる自分の心の声。本当にこのままでいいのだろうか…?
ジャンルで言えば、恋愛、ファンタジーに紐付けされるアニメだが、全11話を通して伝えるメッセージが本質をついており、子供の頃の懐かしさを思わせる夏の情景が豊かに描かれてあり、エンディングソングのチョイスも抜群、人気が出た理由も頷ける。是非、現代の悩める大人達に観ていただきたい作品だ。
アニメにもそれぞれ
アニメの全てがそうではないかもしれない。確かに過去に人気が出たからといって、シリーズを作り、無様な姿を見せるアニメもある。また、ドラえもんなどの何度繰り返し観ても心に響く映画もたくさんある。観る角度はそれぞれだか、大切なのは作者が何としてこれを形にきて伝えようと思っているのか。
大人がしてきように、私たち世代も子育てとなると、アニメを観るな、ゲームをするな、と言いたくなるもの。だが、改めて考えてほしい。本当に不必要なものなのだろうか。
今、私たち世代が考える課題がある。
磯部 宗潤