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おいしい本と過ごす、秋の日

秋になると「おいしい本」が読みたくなります。

開いたページから香ばしいコーヒーの香りや、あたたかな料理の湯気が感じられるような物語たち。
本の中に出てきた食べ物や飲み物は、どうしてあんなにおいしそうなんでしょうか。
食いしん坊な私の本棚には、いつしかそんな「おいしい本」のコーナーができていました。

今回は、その中から何冊かをピックアップしてみようと思います。

1.つぎはぐ、さんかく

<選考員満場一致! 第11回ポプラ社小説新人賞受賞作>
「たとえそのつぎ目が不格好でも、
つながっていられればそれでいいと思っていた。」

惣菜と珈琲のお店「△」を営むヒロは、晴太、中学三年生の蒼と三人兄弟だけで暮らしている。ヒロが美味しい惣菜を作り、晴太がコーヒーを淹れ、蒼は元気に学校へ出かける。
しかしある日、蒼は中学卒業とともに家を出たいと言い始める。これまでの穏やかな日々を続けていきたいヒロは、激しく反発してしまうのだが、三人はそれぞれに複雑な事情を抱えていた――。

傷つきながらも身を寄せ合って生きてきた三人が、
懸命に明日を紡いでいくための物語。

ポプラ社「つぎはぐ、さんかく

冒頭からおいしそうなお惣菜の描写がどんどん続き、食いしん坊としてはばっちり引き込まれてしまいました。

お惣菜と珈琲の小さなお店が舞台なのですが、そのお店を営むきょうだいの関係が紐解かれるにつれ、物語から目を離せなくなってゆきます。
人と人の繋がり、生きることと食べることについて、たくさんの「おいしいもの」と共に展開してゆくあたたかな物語です。

2.宙ごはん

この物語は、あなたの人生を支えてくれる

宙には、育ててくれている『ママ』と産んでくれた『お母さん』がいる。厳しいときもあるけれど愛情いっぱいで接してくれるママ・風海と、イラストレーターとして活躍し、大人らしくなさが魅力的なお母さん・花野だ。二人の母がいるのは「さいこーにしあわせ」だった。

宙が小学校に上がるとき、夫の海外赴任に同行する風海のもとを離れ、花野と暮らし始める。待っていたのは、ごはんも作らず子どもの世話もしない、授業参観には来ないのに恋人とデートに行く母親との生活だった。代わりに手を差し伸べてくれたのは、商店街のビストロで働く佐伯だ。花野の中学時代の後輩の佐伯は、毎日のごはんを用意してくれて、話し相手にもなってくれた。ある日、花野への不満を溜め、堪えられなくなって家を飛び出した宙に、佐伯はとっておきのパンケーキを作ってくれ、レシピまで教えてくれた。その日から、宙は教わったレシピをノートに書きとめつづけた。

全国の書店員さん大絶賛! どこまでも温かく、やさしいやさしい希望の物語。

紀伊国屋書店 宙ごはん

図書館で借りて読み、もう一度読みたくなって購入して、目下再読しています。

本を開いてすぐに、各章のタイトルがどれもおいしそうなレシピ名で、食いしん坊センサーがワクワクします。
次々に登場するおいしいものたちと共にビターな物語が展開します。
読みすすめるうちに、おいしいものを大切な人に作りたくなる物語です。

3.アルプスの少女ハイジ

美しい自然、ハイジがくれた永遠の愛と感動の物語を、読みやすい完訳版で。
 両親を失いながらも、太陽のように明るく人々の心を照らす少女ハイジ。アルプスの山小屋で孤独に暮らすおじいさんとの絆、ヤギ飼いのペーターやその家族とのふれあい、足の不自由な少女クララとの出会いと友情――。雄大な自然を背景に、深い喪失感を抱く人々が、ひとりの少女によって人間性を回復し再生していく、愛と感動の物語。
 1880~81年に発表された『ハイジ』は、当初から大評判となり、いまも世界中で翻訳・劇化・映像化されている。日本でもアニメが大ヒットし、児童文学として多くの絵本や抄訳が出版されているが、原作は、家族の絆や地域社会との共生、エコロジーな暮らしへの回帰など現代的なテーマにあふれ、大人にこそ考えさせられることが多い本格的な文学作品である。
 本書は、シュリンク『朗読者』の翻訳で数々の賞を受賞した、ドイツ文学者・松永美穂氏による渾身の完訳。

KADOKAWA「アルプスの少女ハイジ」

私の中の元祖「おいしい本」は、これではないかと思います。
アニメでも印象深いミルクとパンとチーズの食事がすぐ思い浮かびますが、その他にも、都会のお屋敷でいただく食事や、山で食べるお弁当や、しぼりたてのヤギのミルクなど、印象的な場面がたくさんあります。

特に山の食事のおいしそうなことといったら、すがすがしい空気も一緒に伝わってくるようです。
シンプルな食事でも、良い空気、安心な人と食べるのは、何よりおいしいものなんだなと思います。

4.フライパンで山ごはん

本書では、山フライパンの愛用者の意見を参考に、フライパンひとつで作る山ごはんをご紹介。
少ない食材で、短い時間で作れるもの、また疲れたときにも食べやすく、何よりも作っていてワクワクする、おいしいものにこだわりました!
日帰りハイキングからテント泊縦走、夏山から冬山まで、さまざまな山行に、そして忙しい日々にカンタン料理のアイディアまで、いろいろな人々におすすめの1冊です。

山と渓谷社「フライパンで山ごはん」

最後にレシピ本を。
フライパン一つで作るレシピが満載の、「山ごはん」の本。
彩りも鮮やかで、写真を見ているだけでワクワクとしてきます。
ハイキングやキャンプの場で作ることはもちろん、「フライパン一つで作れる」というのは、家ごはんでもとっても頼りになります。
缶詰を使った簡単でおいしいレシピなど、休日のランチなどに真似してみたいものがたくさん。
ちょっと料理が面倒に感じた時などに、料理することの楽しさを思い出させてくれる一冊です。


以上、私の「おいしい本棚」からまずは4冊、ピックアップしてみました。
実はまだまだある「おいしい本」たち。
また別ジャンルのものなども、まとめて行けたらいいなと思います。

お読みくださりありがとうございました。
どなたかのご参考になりましたらうれしいです。



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