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【南イタリア・シチリア】 外国人作家活動の難しさを今更ヒシヒシと実感中

私は今現在、南イタリアのさらに南下したシチリア島で外国(日本)人バッグ作家として細々と活動している。

イタリアで作家活動!なんて素敵じゃない! と思われるかもしれませんが、その製作活動を維持することは決して簡単なことではありません。イタリアの豊かな文化に触れられるという大きな魅力があるものの、特に南イタリアとなると色々な面で不便だな、と感じることの方が多いのです。それは日本人の私だけでなく、イタリア人でも同じだと聞いたことがあります。

私が難しいと感じることを少しまとめてみようと思いますので、どうぞお付き合いください。

ころんと優しい丸みのあるソフトレザーバッグ

言語の壁

言語は大きな問題の一つです。
地元の素材供給者や取引先、個人のお客様とのコミュニケーションは避けては通れない問題です。

ある程度、イタリア語を理解していないと、正確なニーズを伝えることは難しく、誤解が生じることも少なくありません。しかし最近では、便利なものでスマホがあれば翻訳してくれたりしますから、なんとかなっているのも事実。私もかなり翻訳アプリなどに助けられています。使えるツールをうまく使ってこなしてやってはいますが、やはり細かなニュアンスを伝えるのは一苦労です。日常会話は困らなかったとしても、ビジネスでは通用しないことも多いからです。

その国に住む以上その国の言語はもちろんのこと、英語力も必要であるなと最近つくづく思います。イタリア語はイタリアでしか通用しませんし・・・英語が話せたら、もっと世界は広がるだろうなと思うのです。

ビジネスマーケットの違い

また、ビジネス文化の違いも問題の一つ。
南イタリア特有ののんびりとした時間の流れは魅力的ですが、ビジネスの観点からは、予定通りに物事が進まないこと、私が求めるようなファッションのマーケットが中央、北イタリアとは少し次元が違うと考えています。

また、今現在私は日本のお客様をターゲットにしたモノづくりをしていることも、ここイタリアで売上につながらない原因であるとも思っています。

しかし、これらの問題をうまく乗り越え自分のものにできればと試行錯誤。日本とイタリアなどに影響を受け伝統技術や素材を取り入れたバッグは、世界中どこにもない唯一無二の魅力を持ってくれるのでは?と考えますが・・・そう簡単でありませんね。

個人事業主として維持していくこと

イタリアで個人事業主になるには、いくつかのポイントがあります。
まず、イタリアの税法やビジネスルールを理解することが重要です。
事業の種類や規模によって異なるルールがあり、それに則って申請手続きを行う必要があるため、会計士や税理士をつけなければなりません。会計士や税理士なども、良し悪しがあり私はそれで今悩まされています。何故なら、イタリア人夫にその点をほぼ任せっきりにしていたツケが今、私に回ってきているのです。今更、反省。と言っても過去を悔やんでも仕方ないので、前を向いて歩くしかないのです。

また、イタリア語のビジネス用語や書類作成にも慣れる必要があります。これがなかなか難しい! さらに、ビジネスアイデアや商標の登録、必要な資金調達なども考慮しなければなりません。のんびりと製作して、時々イベントで販売というプランだけでは、イタリアでの作家活動は維持できないんだなと10年も続けてきて今更ながらに痛感しています。南イタリアでは、そんなイベントもあまりなく販売価格も低いのが現状(私感)。イタリアやEUでのマーケティングもしなくてはいけません。

個人事業主になることで、自由な働き方や独立した経済活動をすることができましたが、しっかりと準備をして、誰かに任せっきりにしないことが重要。そして、しっかりアドバイスやコントロールしてくれる会計士・税理士との出会いも大切です。

全て1人では限界がある

車ができるまでには、いろんな人が携わり色々なパーツを組み上げて一台が出来上がる。私のハンドメイドブランドも、車と同じように良いものを作り売り上げを伸ばす為には、全く1人でこなしていく事は限界がある!と、先日相談した方に言われました。同感です。

Mini wallet

マーケティング、企画、素材の仕入れ、裁断、縫製、梱包発送、お客様とのやり取り・・・etc。やはり限界がある。何かをすれば、何かの作業が止まってしまうという悪循環なのです。ここから抜け出すため専門的なアドバイスや意見に今耳を傾けて、どう進めていけばいいかを相談しているところです。イタリア語での相談ですので、脳がフル回転でどっぷり疲れる日々ですが、今私には誘導してくれる人が必要だということ。

“Paglia di Vienna(ウィーンの雑材)”と呼ばれる軽いラタン細工素材とイタリアンレザーのバッグ

自己成長の旅は続く・・・

文化や言語の違いを乗り越えることで、自分自身の視野が広がり、より豊かな創造性を発揮できるようになればと願います。もちろん売り上げも! 南イタリアでの製作活動は、単なる職人技の追求だけでなく、自己成長の旅の途中でもあるのだと考えています。

そして、いつか南イタリアで生まれたバッグが、皆さんの日常に新たな色彩を加えることができれば、これ以上の喜びはありません。


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