インサイドセールスはスピードが命。電話をするタイミングと回数を考える
このnoteではBtoBマーケティングの戦略の立て方から、個別の戦術や施策について順序をたてて解説しています。
こちらのマガジンにまとめていますのでご覧ください。
前回の「営業の分業化」に関するお話の続きで、今回はインサイドセールスの仕事の“工夫のしどころ”について。
BtoB企業で営業プロセスの分業化が進む中、インサイドセールスの重要性が増しています。これは多くの方が実感しているのではないでしょうか。
そもそもインサイドセールスとは、主に電話とメールを使って営業活動を行う職種のこと。フィールドセールス(いわゆる“営業マン”)がお客様に直接会って商談を行うのに対し、インサイドセールスは内勤でリードへの素早い対応を担っています。
この役割分担によって、問い合わせから商談、受注までのスピードアップが可能になります。
では、インサイドセールスは具体的にどのようにして営業業務の効率化に貢献するのでしょうか。
電話のタイミングは即時? それとも寝かせるか
最大の武器は、なんといっても問い合わせへの即時対応です。Webから問い合わせが入ったら、5分以内に連絡する。これがインサイドセールスの強みですね。
フィールドセールスは商談中や外出中で即レスできないことも多いですが、インサイドは常に社内にいるので、このスピード対応が可能です。
なかには、「あまりに電話が早いとお客様が驚いてしまうのでは…?」との懸念を持たれる方がいるかもしれません。
それでも、私としてはインサイドセールスの即時対応はメリットのほうが大きいと考えています。
確かに問い合わせ直後だと、お客様はWebからダウンロードした資料をまだ読んでいない可能性もあります。しかし、2~3日待ってから連絡すると、今度は電話に出てもらえない可能性が高まります。
私の経験上、電話をかけて相手に繋がる確率は30%程度。つまり、10回かけて3件しか繋がらない計算になります。
お客様が問い合わせをしてくるタイミングは、時間的な余裕がある時です。忙しい方はわざわざ資料をダウンロードしたりしません。だからこそ、すぐ電話することで、高い確率で直接話ができるんです。
資料を見ていようが、見ていまいが、営業においては電話が繋がることの方が圧倒的に大事です。
電話が繋がってアポイントが取れれば、興味を持ってもらえたお客様にはあとで資料を見てもらえますから。
連絡のタイミングは早過ぎて失注することよりも、遅れて機会損失することの方がリスクは大きい、と私は考えています。
それにスピードは付加価値にもなるんです。なんらかの即時対応をすることで、「この会社なら対応が早そうだ」と、お客様に期待感を持ってもらえます。
実際、私自身がインサイドセールスのチームを立ち上げたとき、問い合わせがきてから5分以内に電話をすると驚かれたものです。しかし、それはネガティブな驚きではなく、「こんなに早く連絡をくれるとは!」という感激が混ざった驚きでした。
スピードは競争力になり得ると実感した瞬間でしたね。
一番早く動いてくれた会社に決めるケースも
洋服を買いに行ったときのことを思い出してみましょう。
洋服屋さんの店員ってすぐに話しかけてくるじゃないですか。私はあれが苦手なんですが、データを見るともちろん、積極的に話しかけた方が売上が上がることがわかっています。
営業も同じです。早めに話しかけて提案した方が絶対にいい。もちろん、積極的に話しかけることで逃げてしまうお客様もいるでしょうが、平均的に見れば売上アップに繋がります。
他にも、たとえばコンペの1~2割は一番早く動いてくれた会社に決めるケースがあると言われています。それだけスピードは信頼につながります。
消費者の立場で考えてみても、早く連絡をくれた会社の方が信頼できるのではないでしょうか。
実際、綺麗事よりも、早い方が勝つことの方が多いものです。たとえば私自身、引っ越しの見積もりをお願いしたときに、10分もしないうちに次々と電話がかかってきたことがあります。
じつは見積もり依頼の時点で「電話はやめてほしい」と記入していたんですが、それでもおかまいなしに電話をかけてくる会社が多かったんです。それでも結局、一番早く電話をくれた会社のコールに、思わず出てしまったんですよね。そしてその会社にお願いしました。
インサイドセールスが電話をかけるのは4回まで
一方、インサイドセールスがどんなに早く電話をしても、あるいはどんなにタイミングをはかっても電話に出てもらえないこともあります。そんな時は諦めずに粘り強く掛け直すことが肝心ではあります。
ただ、私は同じ見込み客に電話するのは4回までと決めています。なぜなら、電話がつながる確率が30%なので、4回かければ単純に100%を超えるんです。
もちろん、ただ機械的に4回連絡するだけではダメです。相手がいつ会社にいるのか、そのタイミングを狙って4回かける。そうすればたいていの場合、1度は繋がるはずなんです。
そのうえで4回かけても出てもらえないのなら、何らかの理由で避けられています。一旦諦めるしかありません。あまり追いかけすぎると逆効果です。
それでも、この時点でお客様へのアプローチをすべて止めるわけではありません。ここから先はSFAを使ったデータ管理と、定期的な再アプローチが重要になってきます。
SFAで失注データを管理する
前回のnoteで書いた「インサイドセールスを導入する条件」。
これらが整った状態になると、過去の失注客からの受注が売上の2~3割を占めるようになっているはずです。
なぜなら、新規リードの受注率は高くても30%、平均は10%程度なのに対し、SFAにデータを残して管理された失注客からの受注率は非常に高くなるからです。
基本的には失注理由を蓄積し、アプローチ可能なタイミングで再び声をかけます。予算時期や新機能リリースのタイミング、担当者の異動や会社の方針転換など、折を見て定期的に連絡するんです。
失注の理由が、「単純に予算がなかった」とか、「予算取りの時期じゃなかった」などであれば、時期を見て確実に連絡しましょう。
機能面の課題で失注したお客様には、求める機能が実装されたタイミングでアプローチします。
環境の変化をきっかけに再アプローチできるケースは意外と多いものです。少なくとも半年に1回くらいのペースでインサイドセールスが連絡を取っておくのがいいでしょう。
ただし、こうしたSFAを用いた失注管理は、Excelやスプレッドシートでやろうとしてもうまくいきません。いつ誰にどんなアクションを取るべきかを検索したり、活動履歴をこまめに残していくのでデータの管理が複雑になるからです。
インサイドセールスが機能してきたら、SFAの導入も
SFAでは営業の誰がどれくらいの商談を持っているのか一覧で見れます。
またターゲットの会社ごとに、その会社に紐づく人事情報なども入れられます。こうした項目は相対した営業が埋めていきます。ちゃんと入力していると、すべての会社に対し、「次はいつ・どういうアクションを起こすのか」が可視化されているはずです。
具体的にはダッシュボードに、「あなたは◯月◯日までに△△社の□□さん宛にこういうアクションをすること」という項目が一覧で出てきます。
最低限の顧客管理ならまだしも、ここまでくるとExcelやスプレッドシートではさすがに実現不可能です。
あるいは失注した理由についても、「この会社の予算時期はxxなので、その時期に連絡する」と営業が入力しておくと、その時期になったときに通知が届きます。再度連絡するという行動が仕組みでカバーできるわけです。
こういったSFAと呼ばれるツールで、いま世界で一番使われているのがSalesforce。最近はHubSpotも増えています。営業の肝である「失注データの活用」にSFAは欠かせないツールと言えるでしょう。
インサイドセールとフィールドセールスの分業、それによって生まれた膨大なデータを蓄積していくことで、時間が経過するほど営業効率を上げられるのです。
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