#7 図書館の可能性〜 太田市美術館・図書館より
■図書館の魅力?
図書館の魅力は、どんな点にあるのであろうか?
貯蔵された本の数。。。
集客力のある席の数。。。
静けさが保たれて整然としている。。。
色々と要素はあると思うが、私には、本を探す、借りる、読むだけの空間では、寂しい気持ちになる。
そんな中、素敵な図書館があることを、施設を設計した建築家:平田晃久氏に
お話を伺う機会があり、そこで知る事となった。
■施設の第一印象
一見して何がどうなのか、理解するのに時間がかかるのでは?
そんな風に思った。
建物が別々になっていたり、繋がっていたり、無機質な白色であったり緑があったり。
名付けて、カオスな建築
その一言に尽きるのではなかろうか。。。
少し違うが、スペインにあるグッゲンハイム美術館を思い出した。
こちらも、いくつもの峰が重なり合った様な建築だ。
フランクゲーリーの代表作の一つである。
一つ大きな違いがあるとすると、グッゲンハイムは美術館であるのに対し
こちらは、美術館と図書館の両方を兼ね備えている。
図書館であることは、利用者にとって能動的に利用できると言う点が
特徴の一つではなかろうか。
今回は、その図書館を中心にレポートしたい。
■ 館内の様子
街の散策をする様な雰囲気を持っている。
本との出会いは、目的がある場合と何かぷらっと行った時に何気なく出会う
場合がある。
その、両方が可能な図書館と思われる。
まず、この建物は、5つの箱の集合体な点が面白い
外側から見ると5つの丘が集まった場所にも見える。
図書館は、無機質なイメージがあったが、この有機的な構成や作り込みが
そのイメージを払拭している。
部屋から部屋へ、本棚から本棚へ
その景色の変化、壁を曲がった先に見えてくる本の出会い
そんな楽しい時間を、図書館で楽しめる
■箱からの脱却
以前、あるワークショップで図書館について語る機会があり、その特徴を話した。
その際、私が日本の図書館や公共施設は、箱は用意されているが、ソフトがないと話した事があった。
そのコメントをある図書館関係者の方が聞いて、共感してくれた事があった。
とても嬉しい嬉しいかった。
少し話は変わるが、日本の公共空間は、素敵な建物や素敵な造園など
公開までのプロセスは、充実したものがあり、しっかりとした計画をし運営がスタートしてるものが多いと思われる。
ただ、そこで終わっている物が多いのではなかろうか。
楽しませる工夫が、今ひとつ足りないのでは、と思う事がある。
そうした点から考えると、この施設は、とてもユニークで、かつ素敵な工夫のある建築である。
■駅の顔としての一面
群馬県にある太田市は、この施設を、まちづくりの一つに据えた計画だった様だ。
太田駅は、富士重工のお膝元の駅であり利用客の数も多い場所だ。
ただ、その駅の周りは閑散としており、市民にとっては、通過点の一つになっていた様だ。
人々の生活は、郊外のショッピングセンターに移り、駅にあった商店街は、
シャッター街になっていた。
私もこの地を訪れたことがあるが、昭和で時間が止まったのでは、と思うくらい昔ながらの看板や店の雰囲気がそのまま残され、そして、そのまま閉店した街が
残されている様であった。
他府県から訪れた私でさえ、この場所をこのままにして良いのか?と思えるほど寂しい気持ちになった。
この様な現状を踏まえ、地元の人の何かを変えたいと言う想いが、市の都市計画課に伝わったのではなかろうか。
そこで人の流れを取り戻す一つの起爆剤として、この施設が計画されたと思われる。
私は、その発想がとても嬉しいかった。
■図書館の場所
通常、市の中心地はショッピングセンターの配置が多い。
経済優先の考え方だ
経済を回すことは、我々の生活に必要なことである。
ただ、必要なのと豊かなのは少し違いがあると思う。
経済が盛んであれば、物質的には豊かである。
無論、私も美味しいものや美しいものは好きである。
それを保有した満足感も好きである。
ただ、心の豊かさ、知性ある豊かさは、お金で買うには限界がある。
太田市の凄い店は、この心と知性の豊かさを駅前に配置した点だ。
将来を担う若者や幼い子供、第2の人生を迎えようとされるミドル世代
そんな市民に豊かな時間を持てれる場所を提供した点に感服した。
ぜひこの公共施設が、将来の太田市の豊かさの象徴となることを願いたい。
そして、この公共な場所が市民にとって、新たな付加価値になる事を願いたい。
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