カンボジアの学校でスゴロクやってみた
最近、友だちや家族と『すごろく』やっていますか?
人生ゲームやモノポリー、テーブルを囲んで、みんなでワイワイ、サイコロを振る。私は、子どもの頃の楽しい思い出を忘れることができません。
ひとり、『すごろく』や『カードゲーム』を作るのが楽しみだったりします。しかし、『すごろく』はみんなで遊ぶのが醍醐味。
そんなすごろくを、カンボジアの地方でやってみることにしました。
今回訪れたカンボジアの地方は、カンボジア南西部でタイと国境を有する海沿いのコッコン州。
カンボジアの中でも『行ったことがない所』で名が上がる秘境の州のひとつです。
そんなコッコン州には、日本財団から支援を受けてカンボジアの『学校保健』普及活動を行なっているESC-KIZUNAのモデル校があります。
今回は、その中でも3つの中学校を訪問して来ました。
ESC-KIZUNAは日本財団から支援を受け、『学校保健』普及のために教員養成校で保健教員の育成や、東京学芸大学と共に教科書やカリキュラムの策定、保健室の設置など多岐にわたる活動をしています。
身体の仕組みや衛生教育、栄養教育、そして性教育のようなセンシティブなものまで、カンボジアで今まで行われてきませんでした。
奇しくも新型コロナ感染拡大のタイミングでもある2020年から、この『学校保健』事業が始まったのも、時代の必然かもしれません。
我々ソーシャルコンパスも、副教材としてアニメーションを制作をしています。
しかし、コッコン州のような地方の州だと、学校内にTVモニタやインターネットのような設備が十分ではありません。そこで、『紙芝居』のデザインも制作することになりました。
内容としてはアニメーションと同じなのですが、ESC-KIZUNAや東京学芸大学の方々が読み聞かせのワークショップを行い、現場の先生たちが読みきかすことができる仕組みづくりまで行っています。
じつは、この紙芝居教材が現場の先生方に意外に好評らしいのです。
紙に印刷できれば、どこでも取り扱うことできる。設備のない田舎でも普及させることができます。
そこで、一歩進んで『すごろく』などはどうだろう!?ということになりました。よりインタラクティブに学ぶことができる『すごろく』も、紙芝居同様に教育の副教材としての可能性があるかもしれません。
そこで以前、日本水道新聞社と一緒に制作した『SDGsすごろく』を、クメール語に翻訳して、コッコン州の田舎の中学生を対象にテストしてみることになりました。
コッコン出張の前に、弊社ソーシャルコンパスのメンバーにもすごろくを見せてみました。
すると、JessyもSreylinもChamrongも、プノンペン育ちのDinanまでもすごろくも遊んだことがあるどころか、見たこともなかったのです。
サイコロを見せてみても、使い方がピンと来ていませんでした。
しかし実際に遊んでみると、みんなすぐに理解して、楽しんでくれました。
一回遊んでみると、ファシリテーターとして他の人にも説明することができるのです。
今回のコッコン出張は、ソーシャルコンパスメンバーの最年少Sreylinについて来てもらい、中学生にファシリテートしてもらいました。
田舎の子どもたちも、すごろくやサイコロを知らない子が多かったですが、10人に1人は知っている子もいました。
ただ、驚いたのはスマートフォンの所有率の高さです。
グレード7(中学1年生)だと所有率20%ですが、グレード8(中学2年生)になると80%くらいの子どもたちがスマートフォンを持っているようです。
先生たち曰く、コロナ禍で所有率が上がったとのことでした。
まさに、ファクトフルネス。
途上国と先進国の格差は、我々が想像する以上に縮んでいるのかもしれません。
だから先生たちの最近の心配ごとも、子どもたちのスマホ依存。
こういった問題意識も、日本と全く変わりません。
逆に言えば、アナログで対話形式で進めていく『すごろく』は、そういった問題の解決の糸口を与えてくれるかもしれません。
とはいえ、未だ今回の『すごろく』はテスト版。今回のコッコン出張で見えた問題点や修正点を踏まえた上で、『学校保健』をコンセプトにした『すごろく』を作っていく予定です。