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本を買うのもサバイバル


書店で本を買うリスク


本を買うという行為がいかにキケンなことかわかりますか?

何気なく買っているあなた

余計なお世話かもしれませんが気をつけたほうがいいかもしれません

まず本を買うときにはレジに行きます

店員さんが表紙を見ます

趣味嗜好がバレます

ほらキケンですよね?

本というのはわたしたちの願望やなやみが如実に反映されているものなんです

脳を見せているにひとしいわけです

「キッショなんでわかるんだよ」とでも言いたくなります

プライバシーの問題が叫ばれる昨今、何が好きで何に関心を持っているのかが筒抜けだなんて危なくてしかたがありません

それこそ某ホテルのようにお客さんと店員さんが対面しないようなシステムにするべきです

最近はこのねがいが通じてか、自動レジも増えてきました

ありがたいかぎりです

ただ、あれも店員さんに監視されていますから安心とまではいきません

考えすぎでしょうか


しかし古来からこの種の問題というのは大人の頭をなやませていたようです

かつての賢者はサンドイッチ法というすばらしいメソッドを編み出しました

本命の本をサンドイッチのように2冊の本で挟みかくすわけです

これで安心……とはいかず

結局レジで表紙を見られて恥をかく、なんてこともあったそうです

しかしこんな先人の知恵はたたえるべきでしょう


気にしすぎでしょうか

それこそ最近KADOKAWAがロシアのサイバーテロ集団に攻撃された事件があったばかりじゃないですか

個人情報というのはいくら気をつけても気をつけ足りないものなんです

あだ名問題

他にもキケンはひそんでいます

これは書店に限ったはなしではありませんが、店員さんたちは意外とお客さんのことを観察しているようです

さわやかなスマイルの裏側にはドス黒い悪意がうずまいています

外面如菩薩内心如夜叉

いや、身ぶるいします

常連客ともなるとあだ名がつけられるんだとか

私は日中に本屋に行くことが多いので「ニート」とでも呼ばれるのでしょうか

いやいや、そんな生やさしいものではないでしょう

彼らの鋭い舌鋒をナメてはいけません

物理学や心理学に関連した本を買うことが多いので、おそらく「ニートン」だとか「DaiGo郎」だとかささやかれているかもしれません

これでもまだやさしいほうでしょう

そのうえ、彼らは生息地域もちかいでしょうから、もしもさんぽしているときに見つかりでもしたら──ああ、おそろしい!


それが怖いので頻繁に同じ店舗に行くのはひかえるようにしています

ときには片道数十分のとおい店舗までわざわざ足をのばします

(ちなみにブックオフなら店舗ごとにクーポンが配られるのでオトクですよ!)


さくらももこの本を買いに行く

本を買うのがいかに恐ろしいことかわかったでしょうか

それでもわたしたちは本を買わなければならないときがあります

先日、どうしてもつづけて同じブックオフに行かなければなりませんでした

そんな場合はどうしたらよいのでしょうか

まずは偵察です

レジを確認

店員さんが前日とは別人なのでひとまず安心

目標はさくらももこさんのエッセイ本です

noteを書く際になにか参考にできると思ったんです

単行本コーナーへ行くにはレジの前をとおるのが近道ですが、ねんのため遠回りをします

幸運なことにさくらももこさんの単行本が何冊か並んでいます

周囲を警戒しながらめぼしい本を探します

その日は『まる子だった』という本をえらびました

さて、会計です

できれば目立つようなことはひかえたいのですが、クーポンを使わなければなりません

背に腹は代えられません

「今日も無職ーポン来てたよ」

「ああ、あのいつもクーポン使ってるおっさん?」

「そうそう、今日はさくらももこのエッセイ買ってたわ」

「似合わね〜」

なんてことを休憩室で話されていたらいやだなぁ、こわいなぁ……なんてことを考えていたら会計が終わりました

ハエがささやくような小声で「ありがとうございました」と言い、『まる子だった』をはだかのまま小脇に抱え、店を出ました


これで一安心……と油断したせいでしょうか

小学生が珍獣をみつけたかのような好奇の目で見てきました

いい年した男性がかわいらしい装丁の『まる子だった』を持っていることがおかしかったんだと思います

顔が熱くなったのは猛暑のせいだけではないでしょう


さて、そんな命がけで手に入れたさくらももこの『まる子だった』ですが、正直あまり参考にはなりませんでした

たしかにおもしろいんですが、名人芸なのでかんたんにマネできないんです

ということでふて寝をしながらこれを書いています


あなたも本屋にはお気をつけください

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