20240831「小さな傘」
今日も雨
ガラス窓に水滴が降りて
下に下に
濡れてしまうのに
それでもいいと
あなたは言う
冷たくなった
表皮を拭い
また濡れる
揮発できないものたちは
集まって
地面へと戻る
どこまで深く降りるのか
どうもわたしは知らないから
誰かに聞いてみよう
でも誰もわからないくらいに
もう流れている
汚れた何かを洗い
綺麗にしているはずの
風も強く吹き付けるから
まっすぐ歩けもしない
右に寄ったり左に寄ったりふらふらと
にもかかわらず歩みを忘れてはいない
泥水を捏ねて
また造形を得ている
流れる感情はいつのこと
さっきまでの想いは
どこに流されるのか
どう考えてもわからないのに
その先のことを知っているのだと
そう思っておこう
やがて止む
その間に更にまみれて
その雨に打たれている
小さな傘をさして
飛ばされないように
いっそのことふわり浮かんで
宇宙遊泳みたいに歩いてみてもいいかも
軽くなったわたしも
飛べないと泣いているあなたも
少しだけ地面を弾いているなら
一瞬地面に触れない時が在るのなら
その時を味わっていればいい
崩れる斜面から遠退いて
平地のどこそこで暴れている
それは誰のことを言っているのか
定かではないが
躍動する自然に打たれ
また這い上がるのがわたしたちの役目
その一歩で進ませて
水溜りと飛び越える
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