20240902「ラインを拾う」

今日が始まった
明日は来ない
今の今が進んで
それもまた遅れて行って
ここにいることしかできない
その今が続くようでいて
今を忘れ
次から次へと繰り延べて
生かそうとする何ものかによって
わたしはわたしを象っている
崩壊しつつ
また現れ
なくしたはずのそれらを集め
記憶を捏造しつつ
証拠を見逃す
初めての今だというのに
転んでしまって傷をつけている

癒えるまでは程々にして
別のことをしておこう
ゆっくりと味わいつつ
意識はどこか遠く
それしもここに居ることを置いて
別の空間で話している
遅延の逆撫で
それすらも気づいてないが
そういうものだと捉えておこう
思い出すたびに
今を忘れながら
とりとめないくらいに
もう放散しつつ
集中を得ている
それも嘘
だからと言って
蔑ろにすることもない

時々先読みして
付点を置いて
それらの星たちを選んで
線を引いておこう
導かれるのはお手のもの
二重線でかき消して
痕跡を宥めるが
更に次の交点へとラインは続く
複数の世界では
物語が重奏して
更に意味の冪乗を拵えている
気づけないくらいに日常だが
在りもしないことも
既に勃発しているには
各々が気づいているだろう
もう数回転んで
頬杖をついている