20240911「影拾い」

これから何処へ行こうかと
北へ向かうのか
南へ向かうのか
此処ではない何処かへと
わたしを置いて
見知らぬ所へと行こうとしている
随分と離れたと思っていても
慣れたわたしには
知らないふりして
何処までも行ってみよう
知らない方が多いのだから
その断片の断片を拾いに
誰彼に尋ね
知見を得る
わたしの施しは幾何か
これっぽっちの経験で
新しいわたしになっておこう

行ったことない場所へ
わたしを放ち
晒しておこう
どんな変化さえ
痛みや干渉
軋轢等もまた
わたしの血肉になるだろう
ひとつをこなし
ふたつを分けて
あなたの方へと
投げかける
受け取らないかもしれないし
受け取れない時もある
その瞬間の判断で
これからが違って来る
こちらとあちら
どちらでもいいとも思っている

振り向けば
そこにいるのは
いつかのわたし
でたらめな会話と
果てしない道のりの球体
影を拾い
それをまた間延びさせ
踏まれないように
追い越すように
なだらかな階段の途中で
座ってもいいのだろう
見知らぬ停車場を追い越して
別の所ならいいのかもしれない
わたし以外のことならば
きっと新しいことがあると思う
可不可は知り得ないが
存在を露わにするのだろう