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20240531「野に放つ」

野に放ち
渉猟の罠を跨ぎ
遠くの煙を
わずかに聴く
方角は定かではない
わたしがここに居るだけ
反対のあなたはそこには居ない
どれもが不自由なのに
その存在を認め
掘り下げる観性を
疎らにばら撒き
撒菱として陣地を形成する
抜足にて候
摺足を間延びさせ
忍足で風に隠れる
粟立つ皮膚に刺青が示される

遥かな昔から
栄えつつ滅び
その痕跡を辿り
降りて行くのか
上がりに行くのか
そこではない所では
既に見破ってはいるものの
現すことない時間の歪み
斜視の隣で
瞬きできない光景を思い出す
表面下の土の中から
亀裂を叫び
轟音が地表から流れる
数ミリは浮いていられるから
影響ないが
それもまた一瞬の出来事

回復の祈り自体
繰り返しながら
受け継がれている
わたしたちの身体
固有思考のそれぞれの補助線
繋がれた糸の結節点を
揺らしながら
かき混ぜられる
自然の剛力
弱さを抱え
頼りないしもべ
知恵の輪を連想し
緒の切先を舐めている
鏃を研いでは
その円弧を虹が被さる
色彩は既にここにある

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