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Photo by
mirecat
20250302「三月の頃には」
まだ欠伸で
大きな口を開けて
取り込んだ空気を流し
身体を巡って
春を受け取る
まだ雪が残っていても
少しずつ溶けて
下へ下へ
流域を紡ぎ
河口から海へと
更に下がる
高低のどこかに居て
更に深く
更に軽く
今の今を結んでいる
さて今日は何を着るのか
いつも通りではないものを探しつつ
そんなものもないのだけれど
それらしい物を合わせ
足取りを軽くしておこう
移動の準備をリストに書き加え
あれとこれとそれらをまとめ
不必要なものはさよならして
空間を開け
わたしの余裕分を広げ
すかすかなくらいにしておこう
ゆるゆるだが
存在の経緯を与え
意味の景色を許しておこう
やはり色を掠め瞬時に与える
遠くから飛来し
またどこかへと羽ばたく
どうなるのかはわからないが
それらの出会いで
いつもとは違う光景が現れるだろう
知らない意識の延長線に
乗っかる空白を持て余し
あるいは無碍に断罪し
転がる位相をかなぐりながら
ようやく静かになっても
ざわざわとその先が見えつつ塞ぐ
目を覚めてもう一度開く
与えたられたのは偶然だとしても
受け取ったのはあなたの意志
絡めたそれらを抱え今日を支える
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