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20241124「別の掌」

林檎が落ちて
紅葉がはらり
去年と同じようなひかりで
その角度を
窓の方角へと募らせる
しばらくすれば
何もなかったような
影の君主
災いの扉を開けたのは
誰だったのか
もう忘れてしまって
喜びの食卓では
美味しそうなご馳走を
今か今かと待っている
そして矢の放物線を眺めてる

隙間の奥に追いやられた埃は
既にそこを離れているのだろう
どこへ流れ
あるいは砕け
無いもの同然だとしても
確かに在ってしまうのは
当然のこと
ただ知らないだけで
わたしの無知は
あなたのどこかで気づいているでしょ
明るみになるのは
もう少し先
ざわざわと動き出して
一旦落ちつく
その準備を周到に用意して
落ちて来るそれを矢で狙う

身体すれすれの際どさで
ひりひりする感覚を戻し
帰って来る落下を
見下ろしつつ
虹の彼方を見通し
誰彼と繋がり
見えない雲間から
雲の巣を絡めて
綿飴でも頬張っておこう
ただ甘いだけだが
その膨らみの空気を吸い込んで
赤いほっぺで
寒いお外に出かけに行こう
雨霰をひょいと躱し
別の手の平をもう一度握っておこう

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snufkinsmile
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