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読んだら最後、小説を書かないではいられなくなる本を読んで

 読んだら最後、小説を書かないではいられなくなる本(太田忠司)
 を読みました。新刊です。

いきなり書いてみる、だから本当に書ける画期的な小説入門!
小説を、いきなり、書きはじめよう!ーー「単語の組み合わせ」という最小単位からアイディアを生み出し、ショートショートから短編・長編にいたる小説のつくり方の全てが本書には詰まっている。初心者のつまずきがちなポイントを解きほぐし、「小説を書くこと」の骨格を明らかにする本書は、会社員時代に小説家デビューを果たしてハードな勤務後にも執筆し続けた経験を持ち、2024年現在で総作品数110作を世に送り出した小説家・太田忠司にしか書くことのできない、確かな経験に裏付けられたロジカルかつ骨太な手引き書にして、小説論であり、小説を書きたいという「うずうず」が止まらなくなる誘惑の書である。

*以下、本書目次
第一講 小説を書きたいのに書けないのはなぜか?
第二講 いきなり小説を書いてみる
第三講 アイディアを練る
第四講 文章力を鍛える
第五講 キャラクターを立てる
第六講 物語を作る
第七講 実例としての自作解説
第八講 世界を創る
第九講 資料を探す/取材する
第十講 長編を書く
第十一講 プロ作家になりたいひとへ

「読んだら最後、小説を書かないではいられなくなる本」紹介ページより

 いわゆる小説書きのノウハウ本です。作者の太田忠司さんは狩野俊介シリーズなどで有名なミステリ作家さんです。

 個人的にこの種の本をしっかり読んだのは久しぶりでした。

 早々に脇道に逸れるようですが、これまで私がいくつか読んできた小説ノウハウ本のなかで強く記憶に刻まれているものを挙げると以下の2冊です。いずれも読んだのは20年近く前。せっかくなのであわせて紹介します。

1、作家・ライター志望者のための電脳文章作法(菅谷充/1999年)
 学生の頃に本書を読んで、基本的な文章作法を初めて学びました。

2、島田荘司のミステリー教室(島田荘司/2007年)
 ミステリに特化した発想法と書き方指南が読みやすいQ&A形式で紹介されています。

 
 それでは、あらためまして。

 読んだら最後、小説を書かないではいられなくなる本

 の紹介です。

 タイトルが良いですよね。

 小説のノウハウ本を読むのは久しぶりと書きましたが本書を手に取ったのもまずはタイトルに惹かれたという点はあります。「小説を書かないではいられなくなる」とは一体どんなことが書かれてあるんだろう、と。それと、私がミステリ愛好者ですので、やはり作者がミステリ作家さんであることも目に止まったキッカケとしてはありました。

 本書は、以下のような読者を想定しているそうです。

小説を書いてみたいと思っているけど、まだ書いたことがないひと。
書きはじめてはみたけど、どうしてもうまくできずに途中でやめてしまったひと。
この本はそんなあなたのために書かれました。

「読んだら最後、小説を書かないではいられなくなる本」より

 ノウハウ本なので、中身についてここであまり細かく紹介しすぎてしまうのはマナー違反でしょう。ただ、本書全体に言えることとして、各章いずれのテーマの解説とも、著者がこれまで培ってきた理論を出し惜しみなく詰め込もうとしている――その気持ちは強く感じました。

 本書の冒頭で、特に印象に残ったメッセージを紹介します。

 太田さんによると、書きたいと言いつつ書けない理由でよく聞かれるものは以下に集約できるそうです。

・創作方法に対する理解不足
「話が思いつかない」「思いついてもどう結末をつけたらいいのかわからない」
・批評されることへの恐怖
「書いてもつまらないものにしかならないのではと躊躇して書き出せない」「貶されるのが怖い」「こんなことを考えてるんだと笑われるかも」
・小説を書く時間がない

「読んだら最後、小説を書かないではいられなくなる本」より

 身につまされる人も多いのではないでしょうか。こうした声に対して太田さんは、

とりあえず書いてみましょうよ。
書いてみれば、なんとかなります。

「読んだら最後、小説を書かないではいられなくなる本」より

 と、背中を押してくれます。

 とりわけ胸に刺さったのは、「批評されることへの恐怖」に対するコメントです。以下の引用は是非とも読んで欲しいです。

ときに耳の痛いことも言われるでしょう。(中略)それどころか、読んでも何の反応も示してくれないで、無視されるかもしれない。でも、それを受け入れることもまた「小説を書く」ということなのです。(中略)もちろん読者からの反応は否定的なものばかりではありません。ときに一生の宝物になるような素敵な感想をもらえることもあります。(中略)あなたが書いた小説で誰かが救われるかもしれません。そんな誰かに向けて、書いてみてください。

「読んだら最後、小説を書かないではいられなくなる本」より

 太田さんの優しさが滲み出ていて、励まされます。

 小説書きに必要なマインドと具体的なスキルの両方が満たされる良書でした。いつか書きたいと思いつつ書き出せない人にとって本書の満足度は総じて高いものになるのではと思います。

 オススメです。

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 と、ここまでが「読んだら最後、小説を書かないではいられなくなる本」の紹介で、以下はそれにかこつけての自分語りになります。

 私がこれまで書いたことのある小説は3作。いずれも200〜300枚程度のいちおうミステリー長編で、今から遡ること10〜20年の間に書いたものです。執筆期間はそれぞれ半年〜1年くらいだったと思います。投稿歴はそのうち1作を書き終えた当時に一度だけ。結果はお察しのとおり。

 そして、現在、このnoteで久しぶりにぼちぼちとマイペースに書きたいものを書いているという状況です。

 創作においては、私はどうしても量産が出来ないので、その点だけでもプロに必要な資質は致命的に欠いているのだろうと自覚があります。

 どちらかというと、普段から「書きたい」という欲求があるわけではなく、時折、何かの折にむくむく衝動が沸き起こるというタイプです。そのモードに入ればある程度の枚数もすんなり書けてしまいます。(書けないときもあります)

 書きたくなるのはこんなときです。

・創作物(音楽、映画、漫画、小説など)に感動したとき
・一時的に気分が沈んで感情を吐き出したくなったとき

 基本的に自分の思想を自分のものとしてあまり語りたくない厄介な癖があります。深い理由は無く、単純に面映ゆいのです。そのため、ネガポジ問わず言いたいことが出てきたときに必然性のあるシチュエーションを描くことで、色々なキャラクターの口や心情を通じてそれを代弁させたくなるのだと思います。ミステリー(エンタメ)の形態を取るのは、やはりそれが好きだからですね。

 そんな気分屋なわけでして、職業作家さんをプロ野球選手に例えるならば、私は気が向いたときだけ町内のグラウンドにとぼとぼと向かう草野球選手です。

 とはいえ、たとえばnoteのクリエイターさんを見ていても感じられるように、草野球選手だってプロ顔負けのキラリと光るプレイをすることがあるわけです。

 そんな瞬間を一度でも多く求めて、たとえ町内の草野球であっても、私自身、出来るだけ長くグラウンドに立ちたいと思っています。
(人によって、いわゆるメジャーデビューを目指す志の大小こそあれ、そのベースには日々のプレイ――すなわちクリエイトの積み重ねがあることは間違いないはずです)

 グラウンドに立ち続けるため、「書きたい」と思う衝動をどうやって管理持続していくか。それが自分の課題だと認識しています。

 と、そんなちっぽけな悩みもありまして、今回「読んだら最後、小説を書かないではいられなくなる本」を読んでみたという次第でした。

 現在、このnoteでミステリー風小説をぼちぼち投稿中です。気が向いたらその機を逃さず続きを書くようしていますが、なかなか気持ちを維持することが出来なくて我ながら「ダメだなぁ」と思っています。

 目指しているコンセプトは、シン・旅情ミステリー

 もし気まぐれでも読んでくれているかたがいらっしゃるとすれば本当にありがとうございます。もう少しだけ続きますので気長にお付き合いください。

 
 こちらは私が参加させていただいている読書会の文芸部です。いつもお世話になっています。

 息をするように書き続けられる人がいることを羨ましく思う一方で、私のようなタイプは良い意味でも悪い意味でも感性の揺れ動く瞬間がないと書き出せないのです。

 広く刺激が創作の原動力であるならば――それがないと書き出せない私のような燃費の悪い人間は、「読んだら最後、小説を書かないではいられなくなる本」のような本を読むのもひとつ、とにかく知らないモノに積極的に触れたり、新しい環境に自らを投じていくしかないのかもしれません。

 みなさん、タイプや悩みはそれぞれだと思いますが励まし合って書き続けていきましょう。




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