シュシュ

色々書いて寝る猫です。2024年1月から開始。

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マガジン

  • 主に読書の記録

    読書の記録や感想をまとめています。本格ミステリが多いと思います。

  • 小説_聖徳をまとう

    ミステリー風味のオリジナル連載小説です。 あらすじ/ 出来心から娼婦ユミの跡をつけた私だったが、不注意がきっかけでそのストーカーじみた行為はユミ本人に知られるところとなる。ユミは自殺するが、やがてユミと、私の同窓生・美月とが同一人物であることを示唆する情報を得て、私は困惑する。何故なら美月は、ユミの自殺より一年以上前に事故死していたから。ユミは「身バレ」を苦に自殺したのか。先に事故死していた美月との関係は。そして、聖徳太子伝説の眠る地で新たな殺人が。見え隠れする「歯」にまつわる縁起。聖徳太子の歯は何故盗まれたのか。

  • 大阪彩ふ文芸部

    • 43本

    書くのは、楽しい。 あなたも何か書いてみませんか? 2024年1月より、彩ふ読書会は文芸部活動を行います。 大阪会場の読書会に過去一回以上参加経験のある方でしたらどなたでも部員になれます。入部・退部は自由です。 入部お待ちしております!

  • 雑記

    あれこれ思ったことを記します。

最近の記事

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読んだら最後、小説を書かないではいられなくなる本を読んで

 読んだら最後、小説を書かないではいられなくなる本(太田忠司)  を読みました。新刊です。  いわゆる小説書きのノウハウ本です。作者の太田忠司さんは狩野俊介シリーズなどで有名なミステリ作家さんです。  個人的にこの種の本をしっかり読んだのは久しぶりでした。  早々に脇道に逸れるようですが、これまで私がいくつか読んできた小説ノウハウ本のなかで強く記憶に刻まれているものを挙げると以下の2冊です。いずれも読んだのは20年近く前。せっかくなのであわせて紹介します。 1、作家・

    • 遊郭島心中譚(レビュー/読書感想文)

       遊郭島心中譚(霜月流)  を読みました。新刊です。  第70回江戸川乱歩賞受賞作。  いわゆる廓/遊郭(くるわ)もの。けっして多くはないものの、ミステリーの世界ではときおり見かけられるロケーションです。  江戸川乱歩賞受賞作で言いますと、第32回受賞作にあたる山崎洋子さんの『花園の迷宮』(1986年)があります。たしか映像化もされていたはず。また、比較的、近年の長編だと、三津田信三さんの『幽女の如き怨むもの』(2012年)が、個人的には印象に残っている作品です。  数

      • 明治殺人法廷(レビュー/読書感想文)

         明治殺人法廷(芦辺拓)  を読みました。新刊です。  芦辺さんは、新刊が出たと聞くと、とりあえず手に取ってみる作家さんのひとりです。  やはり昔から追っている森江春策シリーズには愛着がありますが、最近の力のこもったノンシリーズ作品(実はシリーズものとも世界観が続いていたり――)も読み応えがあって楽しませてもらっています。  近年の作品だけでも、日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞をダブル受賞した傑作『大鞠家殺人事件』(2021年)を筆頭に、『乱歩殺人事件――「悪霊」ふ

        • 倒立する塔の殺人(レビュー/読書感想文)

           倒立する塔の殺人(皆川博子)  を読みました。2007年の作。  皆川博子さんは1929年(1930年とも)の生まれだそうです。まもなく御年100 歳を迎えられるということになりますが、今なお旺盛な創作活動をされています。1986年には、『恋紅』で直木賞を受賞。手掛ける主なジャンルとしては幻想文学のイメージが先行するかもしれませんが、生み出された作品群のなかには本格ミステリの傑作も多くあります。  戦前生まれで今も本格ミステリのフィールドに足を置く作家さんというと、ほか

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        読んだら最後、小説を書かないではいられなくなる本を読んで

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        記事

          聖徳をまとう_九/神域に騙る(1)

           前話はこちら   ◇  科長神社――その創建の由緒は詳らかになっていないが、平安時代にまとめられた延喜式神名帳には石川郡九座のひとつとして既にその名が記されている。元は万葉集にも詠まれる二上山に祀られていたが、十三世紀に現在の大阪府太子町の山田地区に遷座したと伝えられる。いわゆる三韓征伐をおこなった女傑として知られる神功皇后生誕の地の伝承を持つ古社である。  小野妹子廟の四阿で夜を明かした私は汗と土埃にまみれたシャツの裾を払いながら石段を下っている。見上げると熱波を注

          聖徳をまとう_九/神域に騙る(1)

          神探偵イエス・キリストの冒険(レビュー/読書感想文)

           神探偵イエス・キリストの冒険(清涼院流水)  を読みました。新刊です。  清涼院流水さんは1996年に『コズミック 世紀末探偵神話』で第二回メフィスト賞を受賞、デビューされています。  90年代当時に本格ミステリファンであった読者であれば、清涼院流水さんという作家さんは誰にとっても色んな意味で(!?)やはり特別な作家さんということになるのだと思います。  デビュー作『コズミック〜』にして、密室卿を名乗る謎の人物から「1200の密室で1200人を殺す」と書かれた犯罪予告

          神探偵イエス・キリストの冒険(レビュー/読書感想文)

          いざ京都へ!〜るろうに剣心展レポート

           noteを始めて以来、この手のレポート投稿をやってみたいと思いつつ、なかなか機会がなかったのですが、遂にそのときがやってきました。  るろうに剣心展〜志々雄真実篇 in 京都  に行ってきました。  好きなアニメ、漫画などの展示イベントは時折参加しています。最近では、 ・エヴァンゲリオン展(2020年) ・庵野秀明展(2022年) ・冨樫義博展(2023年)  などを訪れたことがまだ記憶に新しいです。  呪術廻戦展も来年は大阪に来るようなので、きっと私は行くので

          いざ京都へ!〜るろうに剣心展レポート

          護られなかった者たちへ(レビュー/読書感想文)

           護られなかった者たちへ(中山七里)  を読みました。2018年の作。  社会派ミステリーの名作として名高い本作。映画化もされています。  いわゆる社会派ミステリーでは、概して犯罪の動機(ホワイダニット)に焦点が当てられることが多く、必然、作中において犯人側の心情が紙幅を割いて語られることが少なくありません。  ネタバラシに繋がりますので多くは語れませんが、『護られなかった者たちへ』も基本的にそうした構成になっており、本作では、社会のセーフティネットたる生活保護制度の抱

          護られなかった者たちへ(レビュー/読書感想文)

          NO推理、NO探偵? 謎、解いてます!(レビュー/読書感想文)

           NO推理、NO探偵? 謎、解いてます!(柾木政宗)  を読みました。2017年の作。  メフィスト賞のミステリー作品で未読だった作品です。今回、2024年にして初めての文庫化であり、また、ノベルス版から大幅改稿もされているということで手に取りました。  まぁ、相当に実験的、前衛的な作品です。ミステリ好きのなかでも人を選ぶ、多分にそんな作風であり、万人には到底オススメ出来ません。  あらすじとしては、名探偵の女子高生がひょんなことから推理力を失ってしまい、相棒とともに推

          NO推理、NO探偵? 謎、解いてます!(レビュー/読書感想文)

          映画『BLEND#1974』は続く

           私も支援をさせていただいた映画が、国際映画祭(NEW YORK FILM & ACTOR AWARDS)で、佳作/特別賞(Honorable Mention)を受賞されたそうです。おめでとうございます!!  現在、最終選考に残っている映画祭が他にもあるとのこと。この先、上映の機会もあるようで、まだまだ楽しみです。 タイトル BLEND#1974 監  督 風来漢あき 原  作 島田荘司『御手洗潔と進々堂珈琲』  映画公式インスタグラム  上映会に参加させていただいた

          映画『BLEND#1974』は続く

          ヴェロニカの鍵(レビュー/読書感想文)

           ヴェロニカの鍵(飛鳥部勝則)  を読みました。2001年の作。  飛鳥部勝則さんは1998年に『殉教カテリナ車輪』でデビューしています。作家さんの知名度としては格別に高いとまでは言えないように思うのですが(失礼)、しかしながら作品のクオリティは非常に高く、それらを歴史に埋もれさせるのは惜しいとする熱心なファンによる後押しの目立つ作家さんです。  近年までその作品の多くが絶版となっており、代表作のひとつである『堕天使拷問刑』は中古本界隈で一冊数万円で売買されるなどプレミア

          ヴェロニカの鍵(レビュー/読書感想文)

          呪術廻戦が終わってしまった。今も昔も漫画好きですが、まさか40代にして、ジャンプ漫画にこれほどハマるとは夢にも思いませんでした。まさに夢の終わりということで。あ、まだアニメがある!

          呪術廻戦が終わってしまった。今も昔も漫画好きですが、まさか40代にして、ジャンプ漫画にこれほどハマるとは夢にも思いませんでした。まさに夢の終わりということで。あ、まだアニメがある!

          大樹館の幻想(レビュー/読書感想文)

           大樹館の幻想(乙一)  を読みました。新刊です。  乙一さんは、1996年に『夏と花火と私の死体』でジャンプ小説大賞を受賞、デビューされています。ライトノベルを中心に活躍されているイメージはありますが、2002年発表の『GOTH リストカット事件』は、当時、第三回の本格ミステリ大賞を受賞されるなど推理小説のフィールドでも注目される作家さんです。  さて、『大樹館の幻想』です。  実は、私が乙一さんの作品を読むのは『GOTH リストカット事件』以来です。やはり、「乙一史

          大樹館の幻想(レビュー/読書感想文)

          ぼくは化け物きみは怪物(レビュー/読書感想文)

           ぼくは化け物きみは怪物(白井智之)  を読みました。新刊です。  白井智之さんは、2014年『人間の顔は食べづらい』でデビュー。いま、最も注目されている本格ミステリ作家さんのひとりです。  エロ・グロ・特殊設定(!)を巧みに使いこなし、それらを自身の作風(カラー)に昇華させているのが特徴です。  最近の作品は、個人的にはやや鬼畜度合い(!!)が初期作よりもマイルドになっているように見受けられます。が、白井さん特有の奇想は健在どころかむしろ増幅しているため、結果的にその

          ぼくは化け物きみは怪物(レビュー/読書感想文)

          檜垣澤家の炎上(レビュー/読書感想文)

           檜垣澤家の炎上(永嶋恵美)  を読みました。新刊です。  初読みの作家さん。文庫書き下ろしにして、800ページ近い大作でしたが、一気読みでした。  ひとこと、感想としては――  次の朝ドラの原作、これで良いんじゃないでしょうか。  明治から大正の時代、横浜の商家を舞台にした――これはもはや「大河小説」と言って良いと思います。主要な登場人物の多くは女性。あらすじにもありますが、政略結婚、軍との交渉、一族の秘密など陰謀渦巻く時代に智略、謀略をめぐらせる女傑たちの物語です

          檜垣澤家の炎上(レビュー/読書感想文)

          神器―軍艦「橿原」殺人事件―(レビュー/読書感想文)

           神器―軍艦「橿原」殺人事件(奥泉光)  を読みました。2009年の作。  さて、「文豪」という言葉を贈りたい作家さんは人によって意見がわかれそうです。既に歴史的な評価の定着している過去の作家を除いて、存命の現役作家限定となると尚更ですね。本好きのあいだなら結構盛り上がりそうな話題かもしれません。文芸一般(ジャンルレス)であれば、村上春樹さんの名を挙げる人が多そうでしょうか。  あくまで個人的な意見ですが、もし、私が現在存命のミステリー(をよく書く)作家を対象限定にするな

          神器―軍艦「橿原」殺人事件―(レビュー/読書感想文)