医学論文解読 : じゃがいもは肥満と本当に相関しているのか (1)
肥満との因果関係があるとして、じゃがいもが槍玉に挙げられることは多い。じゃがいもの摂取量と肥満は多くの研究で相関が認められている。今回の論文では「それは調理法による」と論じられている。そもそも多くの研究ではpotato intake(じゃがいもの摂取)としか書かれておらず、調理法が書かれていない。
本論文が取り上げている栄養評価表では調理ごとにどのように栄養成分が変化するかが記載されている。Boiled Cooked(茹でたじゃがいも)がほとんどの栄養素を保っていることがわかる。(元来じゃがいものビタミンCは豊富で、可食量を考えてもレモンよりも有効なくらいだ。また、じゃがいもはデンプンを多く含んでおり、本来は熱に弱いビタミンCもじゃがいもの中では調理後もビタミンは大部分が保持される)一方でFried Chips(揚げたじゃがいも)の数値はひどい。カロリーと炭水化物は3倍に膨らんでおり、ビタミンCを含む多くの栄養素は激減している。さらにSodium(塩分)は35〜50倍程度は増えている。(注釈にも書いてあるが、フライドポテトへの加工の過程で追加される塩分も含んでいる)
このフライドポテトが健康に悪いことは明白だ。おそらくアメリカでいうじゃがいも摂取はフライドポテトかマッシュポテト、ヨーロッパでもフライドポテトやベイクドポテトが一般的だろう。だとすれば、悪影響を及ぼすのは、油や塩、また加工食品化されたフライドポテトに含まれる添加物が原因の可能性もある。じゃがいも=肥満の図式は必ずしも正しくはないと言える。