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聖路加国際大学公衆衛生研究学大学院卒 x 日本オーガニックレストラン協会 x ヘルスフードカウンセラー 食に関する医学論文を読み解き、最新の食情報収集と解釈を目指しています。

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マガジン

  • 医学論文解読

    食にまつわる世界中の論文を読み、日本語で解読します。食の真実に近づけますように。

最近の記事

医学論文解読 : デンマークのトランス脂肪酸の制限政策が効果

2016年Publishの論文です。世界で初めて人工的に発生するトランス脂肪酸の食品含有量を規制したデンマークでは規制前と後で、心疾患で死亡する人口の割合がなんと97%減少しました(1990-2004 441人/100,000人, 2005-2012 14人/100,000人) デンマークの本政策は明確な成果をあげています。 https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0749379715003281 日本

    • 医学論文解読 : トランス脂肪酸が子供を肥満にする (スペイン)

      スペインで行われた1744人の4-5歳を対象にしたコホート研究。トランス脂肪酸には科学的な合成によって発生するものと、反芻動物やココナッツオイルなどに含まれる自然物があるが、肥満への悪影響があったのは合成されたトランス脂肪酸のみだった。トランス脂肪酸を多く摂取(0.7g以上/日)している子供は1.57倍も肥満率が高かった。 年代は異なるが、同様の研究は日本でも行われている。1136人の18-22歳の女性に対して行われた研究では、合成されたトランス脂肪酸を摂取したグループの腹

      • 医学論文解読 : 精製された白いパンは肥満につながる。

        白米、砂糖、小麦と白く精製された糖質は肥満との相関が多く散見されている。ダイエットに効果的と言われている地中海食にも白いパンがつきものだ。 スペインで精製されたパン(Refined Bread)と全粒粉パン(Whole-grain Bread)でのランダム化比較試験が行われた。白いパンの摂取グループと全粒粉パンの摂取グループとでは、全粒粉パン摂取グループの方が、体重増加と腹部の数値が少なかった。 日本でも2018年に同様の研究がある。50人と少ない人数での研究だが、ダブル

        • 医学論文解読 : 不明確な有機食品の健康効果

          この論文は2016年に欧州議会(European Parliament)によって行われた有機(オーガニック)食物の健康効果の調査だ。オーガニックの食品基準(農薬、肥料の制限など)にはズレがあるため、正確な調査が難しく、論文数もかなり限られている。その限られた研究結果をつなぎ合わせたのが本論文であり、本日時点での最も信憑性のある結論といっても良いと思う。 結論としては、有機食品と慣行食品による健康差には有意なのが概ね認められていない。正確な言い方をすると例えば野菜に関しては、

        • 医学論文解読 : デンマークのトランス脂肪酸の制限政策が効果

        • 医学論文解読 : トランス脂肪酸が子供を肥満にする (スペイン)

        • 医学論文解読 : 精製された白いパンは肥満につながる。

        • 医学論文解読 : 不明確な有機食品の健康効果

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        • 医学論文解読
          12本

        記事

          医学論文解読 : 砂糖を減らして、蜂蜜にすべきだ。

          肥満は多くの慢性疾患につながるとして、欧米では肥満予防=疾患予防と捉えられている。その肥満の大きな原因が糖質(≠脂質)なわけだが、当然砂糖を筆頭に糖質を多く含む食品(白米、小麦、甘い果物など)が槍玉に上がる。 そんな中蜂蜜は肥満解消に効果があるとの論文が近年多い。本論文では蜂蜜は血糖値の上昇率も緩やかであり、メタボ患者にも大変有効と記されている。 下記はハーバード公衆衛生大学のHPを参考に、表を独自に作成したものだが、GI値(血糖値を上昇させるレベル)の低さから、砂糖の代

          医学論文解読 : 砂糖を減らして、蜂蜜にすべきだ。

          医学論文解読 : 炭水化物?肉?野菜?結局どの食べ物が体重増減と相関するのか

          体重増減と食事は当然相関しているはずだが、人種や食生活、ライフスタイルが異なる人たちの異なるケーススタディを調査しても実態を明らかにするのは難しい。そこで、大規模なコホート研究の結果を見て自身で判断するのは一つの有意義な方法と思う。 本論文は米国で行われた12万人の食生活と4年間の体重増減を調査したもので、体重の増減に関与している食べ物を見つけ出すことを目的としたものだ。永久保存版のような調査結果だと思う。 ヨーグルト ナッツ 果物 Whole Grain (茶色い炭水化

          医学論文解読 : 炭水化物?肉?野菜?結局どの食べ物が体重増減と相関するのか

          医学論文解読 : 農作物の残留農薬について(エジプト・南アフリカ・カナダの比較)

          カナダ、エジプト、南アフリカの残留農薬の検査論文を読んでみる。日本はカナダからは小麦やキャノーラ油、南アフリカからはオレンジ、エジプトからはイチゴやタマネギなどを多く輸入している。一見地域も輸入品目もバラバラの3つの国ではあるが残留農薬(MRL)の調査結果は農作物の信頼性を表す客観的な指標だろう。 カナダ / 68.5%から残留農薬が検出された。残留量の国際基準(MRL)を超えているものは3.2%だった。穀物や果物で検出される率が非常に高く(91.4%)ポストハーベストの影

          医学論文解読 : 農作物の残留農薬について(エジプト・南アフリカ・カナダの比較)

          医学論文解読 :体重と脂肪摂取は相関しない

          5大陸、18か国のおよそ13万人以上を対象に7.4年間(中央値)追跡研究したのが本論文である。史上最大規模のコホート研究であり、かつ、2017年というごく最近の調査結果である。しかも掲載はTHE LANCET(最も権威のある医学雑誌の一つ)だ。現在の我々の食生活や食文化を反映しているので、結果の信頼性は非常に高いと思われる。 結果としては炭水化物の摂取は死亡率と相関するが、脂肪の摂取は相関しない、というもの。日本も含めて「脂肪の摂りすぎに注意するべき」と今日現在警鐘を鳴らす

          医学論文解読 :体重と脂肪摂取は相関しない

          医学論文解読 : じゃがいもは肥満と本当に相関しているのか (1)

          肥満との因果関係があるとして、じゃがいもが槍玉に挙げられることは多い。じゃがいもの摂取量と肥満は多くの研究で相関が認められている。今回の論文では「それは調理法による」と論じられている。そもそも多くの研究ではpotato intake(じゃがいもの摂取)としか書かれておらず、調理法が書かれていない。 本論文が取り上げている栄養評価表では調理ごとにどのように栄養成分が変化するかが記載されている。Boiled Cooked(茹でたじゃがいも)がほとんどの栄養素を保っていることがわ

          医学論文解読 : じゃがいもは肥満と本当に相関しているのか (1)

          医学論文解読 : 果物・野菜の摂取は病気リスクを予防するが。。。

          16のコホート研究をまとめたメタアナリシス(複数の研究結果の研究)で明らかにされたこととしては野菜と果物の摂取量があらゆる疾患の死亡率と相関していることだ。野菜と果物を取れば取るほど(400g程度まで。それ以上は効果は見られない)死亡率が下がっているという結果だ。 これはあくまで、野菜ジュースや、フルーツゼリーなどではなく、野菜、果実を直接摂取する場合のデータであり、加工品や、抽出された栄養素の結果ではない。むしろβカロチンなどの栄養素のみを抽出した場合には、逆の効果が見ら

          医学論文解読 : 果物・野菜の摂取は病気リスクを予防するが。。。

          医学論文解読 : 地中海食 vs 低炭水化物 vs 低脂肪

          ダイエット(体重減少)に効果的な食事を調べる研究。322人の肥満体型(平均BMI : 31)の人を対象に2年間行われた研究。地中海食、低炭水化物、低脂肪の食事をメインとするグループに分かれて体重減少を調査した。 地中海食 -4.4kg 低炭水化物 -4.7kg 低脂肪 -2.9kg 地中海食と低炭水化物には大きな効果が見られた。低脂肪食に関しては体重変化には大きな効果を持たらさなかった。 別の研究で動物性の脂肪には悪影響があるとの報告が多く上がるが、体重に関していうと、

          医学論文解読 : 地中海食 vs 低炭水化物 vs 低脂肪

          医学論文解読 : βカロチンの直接摂取 (2)

          800件以上の研究(6つのランダム化比較試験を含む)、40000人以上の検査データから、βカロチンのがん抑制機能は認められなかった。なお、論文の分析結果は大体20000人ずつで摂取組と非摂取組に分かれたグループ分けとなっている。 βカロチンを含む野菜や果物には人体へ有用な効果が認められているが、βカロチンそのものの摂取には有用性は認められなかった。より重要なのは、むしろ死亡率やがん発生のリスクが高く出ているという逆効果が本研究によって認められている点だ。 「栄養主義(nu

          医学論文解読 : βカロチンの直接摂取 (2)

          医学論文解読 : βカロチンの直接摂取 (1)

          果物を多く採っている人にがん患者が少ない事から、Bカロテンにより胃がんや肺がんが抑制(予防)できるのではないかと言われていたが、実際にBカロテン摂取組と非接触組に分けてランダム(調査期間平均4年)比較試験を行ったところ、摂取組の方が発がん率が高くなったそうだ(x1.17〜x1.46)。これにより元々予定していた研究期間を短縮したという。 サプリメントの全てが危険なわけではないが、野菜果物のメリット=サプリメントが効果的ではなく、むしろ危険だと警鐘を鳴らす研究だと思う。

          医学論文解読 : βカロチンの直接摂取 (1)

          原材料はたった3つ。日持ちしない和菓子。

          そうだよな、と思った和菓子の当たり前。 浅草で舟和の芋ようかんを食べて、お土産にも同じものとあんこ玉のセットを買おうと思ってレジに並んでいたところ、 「今日明日中にお召し上がりください」 「あ、そういうものなんですね?以外と短いんですね」 「そういうものなんですよー」 とやり取りをしました。 考えてみれば和菓子です。コンビニなどで販売される饅頭やようかんの消費期限は一般的にはもはや今日明日どころではなくなってきています。恒常化している保存料の賜物でしょう。 帰ってから芋

          原材料はたった3つ。日持ちしない和菓子。