#50『がらんどう』(著:大谷朝子)を読んだ感想【すばる文学賞受賞作】
大谷朝子さんの『がらんどう』
第46回すばる文学賞受賞作です。
※すばる文学賞とは、集英社が主催する純文学の公募新人文学賞
TBS「王様のブランチ」のブックコーナーの特集で紹介されていたのを見たのがきっかけで読んだ1冊です。
このような方にオススメの本です
世間一般で見られる幸せの形に疑問を感じている
これからの生き方に悩んでいる30~40代の方
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あらすじ
感想
自分の幸せとはどんな形だろうと考えさせられた
作品全体を通しての「寂しさ」を感じさせる表現も印象的
平井と菅沼の40代前後の女性2人は「推し活」をきっかけに意気投合します。その後、菅沼の提案により2人はルームシェアを始めますが……。
世の中は「幸せ」の一般的な形を誰にでも当てはめてしまうと感じることは僕にもあります。その典型的なものが、恋愛、結婚、出産。でも、幸せの形は人それぞれ違う。「〇〇すれば誰もが幸せ」というのは存在しないし、「それって幸せなの?」と思うものでも当人にとっては幸せに感じる。自分の幸せとはどんな形だろうと考えさせられました。また、幸せの押し付けはしないようにしようとも思いました。
本作のテーマの一つが「幸せ」についてだと思います。それも含めて何かを諦めること、諦めないことを考え、選択することについても考えさせられました。本作を通じて、そのどちらも正解ではなく、自分自身で考え、選択していくしかないんだと思いがわき上がりました。
諦めることって簡単なようで難しい。逆もまた然り。それを平井と菅沼の2人の行動を通じて感じました。
芸能人が結婚した時、平井が幸せを諦めることを考えていた時の菅沼さんの言葉は響き、共感できるものがありました。僕も菅沼さんと同じように、アイドルのプライベートが明かされるのには疑問を感じています。
勤務地や旅行先、年齢を重ねる中での身体の変化など、作品全体を通しての「寂しさ」を感じさせる表現も印象的です。菅沼の「骨に染み入るような寂しさ」の一言は、何か怖さを感じさせるものがありました。
ラストシーンは、歳を重ねてから読み返した時に感じ方が変わりそうです。
印象的なフレーズ
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