読書レビュー②『ジグソーパズル48』(乾くるみ)
今回は乾くるみの『ジグソーパズル48』。
読んだ理由は単純明快。この本がAKB48にちなんだものになっているから。
私立曙女子高等学院(AKEBONO)を舞台にした短編小説で、短編のタイトルもそれぞれAKB48G(1曲だけSKE48の曲だが、それ以外はAKB48名義なので、ほぼAKB48の楽曲と言っても良い)の楽曲になっている。
舞台が同じだけの短編小説集なのでずっと出てくるという登場人物はいないが、それぞれの登場人物はAKB48メンバーのアナグラムになっており、それを解くのも楽しみの一つともいえる。
ただし、注意が必要でこの短編小説は2012年から断続的に発表されたもので、新刊として出たのが2019年のため、出てくるメンバーも曲名も必然的にそれ以前となる。(ざっくりいうと、1期から初期チーム8ぐらいまで)
○各章タイトルと登場人物
●ラッキーセブン
駒田淳恵
榊本亜矢
桐原多恵
篠原理沙
鹿島田春
弥生眉子
岩上千織
●GIVE ME FIVE
縄取佳奈
川靄明里
入江若菜
貴島夏子
鈴桐志保
●三つの涙
榊小百合
若田麗院
歌野由華
●女の子の第六感
蒲生みすぎ
湯葉真那
綛賀野里奈
赤鬼門志織
冷供田亜香里
矢沢美冴
●マルキュー
奥船星香
浮山千夏
張本菱香
小和田七緒
神麻績一夢
下野舞宜
梨崎綾乃
澤矢朋夏
田澤后咲
●偶然の十字路
浜路成子
耳成貴葉
耳成右音
綿部繭奈
湯川儀式
梶畑首里
大庄鞠花
名高南央
岸野美似
真島胡子
●ハチの巣ダンス
日渡虹華
薙坂千草
生野叶海美
直野未来々
八東友梨奈
花本瑠使羽
丸谷友香
地寄弓子
アナグラム的にいうとこんな感じになる。
駒田淳恵→前田敦子
篠原理沙→指原莉乃
特に法則性はないので、如何に気づけるかになる。ただ、キャラクター設定もその名前のメンバーのままという人物もいるので、そこからも類推は可能ではある。
例えば、奥船星香。
五組からの移籍第一号。やや内向的な性格。国語全般が得意。
こんな感じでそれぞれ登場人物のキャラ設定が書かれているが、特にストーリーに関係ないものあるので、気づいてもらうための設定という感じはなくはない。
なお、自分はチーム8に弱い上に初期に辞めてしまったチーム8など出されるとお手上げなので、某エケペディアサイトだよりでしか解けなかった笑
ちなみに、ここまであげてきてあることに気づいた人はなかなかである。
そう各タイトルの数字はそのままそのタイトルの登場人物数になり、さらに足し上げていくと「48」になるのだ。
恐るべし、乾くるみ。
○内容と感想
で、肝心の中身の話。
AKB48Gの曲名がタイトルなので、その曲名から考えた事件が披露される。ただし、実際の歌詞内容までは作品には触れず、あくまでタイトルからの作品制約という感じ。
また、事件とはいえど女子校が舞台なので、本格的なミステリーにはならず、あくまで日常で起きる事件を解決して行く形で、女子高生の話から謎を解いていくという感じ。なので、乾くるみをミステリー作家と知っていて、本格的なミステリーを読みたいという人にはあまり向いていない。
むしろ、AKB48を知っている人がキャラ読みしていくほうが楽しめるかもしれない。個人的には、「マルキュー」や「偶然の十字路」はキャラ読みに近い形を意識して作品を書いたのではないかと思うぐらい、くすっと笑えるシーンが多かった。
そのなかでも、「三つの涙」は歌詞を意識させつつ、実は……という流れで、『イニシエーション・ラブ』を読んだ時のあの最後の感じを味わえることができ、この中では一番ミステリーっぽい。
とここまで書いてきたが、各作品の謎を解くにはかなりのエネルギーが必要なので、やはり、謎解きとかパズルが好きな人に向いているとは思う。
○その他
ちなみに乾くるみは今は知らないけど、ある一定時期はAKBのオタクだったっぽい。そういった話の地下版が立っていた(正確にはまとめサイトの残骸をみつけた)。
とはいえ、48オタク的に一番知られているのは『イニシエーション・ラブ』が映画化されたときに、ヒロインを前田敦子が演じたことだろう。ちなみに映画公開時に怖いものみたさもあり、観に行ったが普通によくて、そのあと原作の小説買った。
○おまけ
『ジグソーパズル48』登場人物アナグラム解答
一応、登場人物アナグラムは解いてみたので、気になる方は参考までに。
○プレイリスト
こちらも楽曲リストを作ってみました。