「少年少女世界SF文学全集」の備忘録
今回は、かなりマニアックな話になります。
小学生でも、中学年から高学年になってくると、文字が多い本を読むようになっていくのですが、学校の図書館での本との出会いが、その後、自分の読書傾向に大きな影響を与えることがあります。
自分の場合 "ミステリー好き" のルーツが、乱歩の「少年探偵シリーズ」にあるのであれば、"SF好き" のルーツは、間違いなく、この「少年少女世界SF文学全集」にあるのです。
小学校の図書館においてあったんです。
この全集__
(全集一覧)
全集のラインナップを、今、見ても、なかかな充実してるんですよね。
「SFの父」と呼ばれたヴェルヌやウェルズはもちろん、ドイル、バローズなどの古典的な名作が収められています。
また、ハミルトンの<キャプテン・フューチャー>や、E・スミスの<レンズマン>など、シリーズものの名作が入っていたり、50〜60年代のSF黄金期からアシモフやハインラインなどの巨匠たちの作品も収録されています。
もちろん、一般向けの作品を児童向けに手直したものもあれば、最初からジュブナイルとして書かれている作品もあります。
児童向けに手直ししたものなどは、原著とタイトルが違ってたりするものもあるので、一般向けに出版された際のタイトルや、そもそも現在も読めるのか調べてみたので、その結果を “note” しようと思います。
■ □ ■ □ 全20巻の紹介 □ ■ □ ■
1.『鋼鉄都市』
アイザック・アシモフ/福島正実 1954年:アメリカ
今も変わらず、人気のある作品です。(詳しくは、後日、別記事で紹介します。)
ハヤカワ文庫SFで、同タイトルで出版されています。(Kindle版有)
2.『生きていた火星人』
ロバート・シルヴァーバーグ/中尾明 1960年:アメリカ =ジュブナイル作品
「夜の翼」や「禁じられた惑星」などで知られるシルヴァーバーグですが、この『生きていた火星人』はもともとジュブナイル小説として出版されたものです。(一般向けのものは存在しません。)
3.『恐竜世界の探検』
コナン・ドイル/白木茂 1912年:イギリス
シャーロック・ホームズ・シリーズで知られるコナン・ドイルですが、空想SFものもたくさん著しています。ジュラシックパークのルーツがここにあります。
『失われた世界』/『ロストワールド』というタイトルで、いろんな版元から出版されています。
創元文庫では、近年、新訳版がリリースされています。(Kindle版有)
4.『タイムマシン28000年』
レイ・カミングス/斎藤伯好 1929年:アメリカ
レイ・カミングスって名前は、ほとんど聞き覚えがないのですが、「時間を征服した男」というタイトルにてハヤカワ文庫から出版されています。(絶版)
5.『惑星からきた少年』
ライトソン/久米穣 1965年:オーストラリア
=ジュブナイル作品
パトリシア・ライトソンは、オーストラリアの児童文学者で、『惑星からきた少年』もジュブナイルとして発表されたものです。
ライトソンの一般向け小説としては、ファンタジーの「ウィラン・サーガ」などがあります。
6.『四次元世界の秘密』
L・P・デービス/白木茂
L・P・デービスという作家さんについて詳細は不明でした。
7.『地底世界ペルシダー』
E・R・バローズ/野田昌宏 1922年:アメリカ
「火星シリーズ」や「ターザンシリーズ」で有名なエドガー・ライス・バローズの地底世界を舞台にした「ペルシダーシリーズ」の一冊です。
「火星シリーズ」とともに、このシリーズの他の作品もたくさん読み漁った記憶があります。
ハヤカワ文庫や創元文庫から出版されています。(絶版)(Kindle版有)
8.『両棲人間』
アレクサンドル・ベリャーエフ/飯田規和 1928年:ロシア
「ソ連のヴェルヌ」と呼ばれたベリャーエフの作品ですが、一般向けの作品は絶版となっています。
探してみると、このごろ堂書房のKindle版がありました。
9.『不死販売株式会社』
ロバート・シェクリイ/福島正実 1959年:アメリカ
『人間の手がまだ触れない』など、不条理でコミカルな作風で知られるシェクリイの第1長編です。
この本は、ミック・ジャガーが出演したことで話題となった映画「フリージャック」の原作として『不死販売株式会社~フリージャック』のタイトルで、ハヤカワ文庫から出版されています。(絶版)
10.『宇宙船ドクター』
ハリー・ハリスン/内田庶 1970年:アメリカ
=ジュブナイル作品
ハリイ・ハリスンは「人間がいっぱい」などで知られるのSF作家です。
『宇宙船ドクター』は、ジュブナイル作品であるため、一般向けの作品はありませんが、ドラマとしてすごく面白くて、個人的に全集の中で好きだった一冊なのです。
11.『惑星ハンター』
A.K.バーンズ/小尾芙佐 1956年:アメリカ
アメリカのSF作家アーサー・K・バーンズが書いた小説ですが、「惑星間の狩人」というタイトルで創元文庫から発行されています。(絶版)
12.『海底の地震都市』
F.ポール、J.ウィリアムスン/中尾明 1958年:アメリカ =ジュブナイル作品
「ゲイトウェイシリーズ」のフレデリック・ポールとジャック・ウィリアムスンが共作したジュブナイル作品です。
13.『ロボット・スパイ戦争』
カール・ブルックナー/塩谷太郎 1972年:オーストリア =ジュブナイル作品
オーストリアの児童文学作家カルル・ブルックナーが発表したジュブナイル作品です。
米ソが作ったロボットたちを通じて、作者の平和への考え方が伝えられます。
14.『海底二万リーグ』
ジュール・ヴェルヌ/榊原晃三 1870年:フランス
ジュール・ヴェルヌが発表した冒険小説の古典。
『海底二万里』というタイトルで、これまでも、いろんな版元から繰り返し出版されています。(Kindle版有)
このワクワク感は、どんな新作にも負けてないのです。
15.『月世界の核爆発』
パトリック・ムーア/白木茂
パトリック・ムーアという作家さんについて詳細は不明でした。
16.『宇宙戦争』
H.G.ウェルズ/飯島淳秀 1898年:イギリス
ヴェルヌとともに「SFの父」と呼ばれるウェルズの有名な作品です。2005年にスピルバーグが映画化してましたね。
SFの古典であり、様々な版元から出版されています。(Kindle版有)
17.『さまよう都市宇宙船』
ロバート・A.ハインライン/福島正実 1963年:アメリカ
日本では「夏の扉」が人気の巨匠ハインラインが、1941年に書いた中編を連結して「宇宙の孤児」というタイトルで発表した作品で、ハヤカワ文庫から出版されています。(絶版)(Kindle版有)
すごく面白くて、全集で読んだ時の衝撃が忘れられず、一般向けの本を探してたのですが、地元の大きな図書館の書庫に眠っていました。
18.『宇宙怪人ザロ博士の秘密』
エドモンド・ハミルトン/内田庶 1940年:アメリカ
ハミルトンの「キャプテン・フューチャー」シリーズの1冊です。
「暗黒星大接近」というタイトルで発表されたシリーズ第2弾の本なんです。
現在は、第1弾の「恐怖の宇宙帝王」と合本になって創元文庫から「キャプテン・フューチャー全集」の1巻目として出版されています。
19.『怪奇植物トリフィドの侵略』
ジョン・ウィンダム/中尾明 1951年:イギリス
イギリスのSF作家ジョン・ウィンダムが1951年に発表した作品で、「トリフィド時代(食人植物の恐怖)」というタイトルで、創元SF文庫から新訳版が出版されています。
20.『銀河系防衛軍』
エドワード・E・スミス/小尾芙佐 1937年:アメリカ
E・E・スミス「レンズマン」シリーズの1冊です。
一般向け作品では「銀河パトロール隊」として、創元SF文庫から出版されています。(絶版)(Kindle版有)
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一気に20冊を紹介したため、5000文字を越えてしまいました。
自分のための備忘録なのですが、この「少年少女世界SF文学全集」を懐かしく感じる方がいれば嬉しいです。
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