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「少年少女世界SF文学全集」の備忘録

 

    今回は、かなりマニアックな話になります。

 小学生でも、中学年から高学年になってくると、文字が多い本を読むようになっていくのですが、学校の図書館での本との出会いが、その後、自分の読書傾向に大きな影響を与えることがあります。

 自分の場合 "ミステリー好き" のルーツが、乱歩の「少年探偵シリーズ」にあるのであれば、"SF好き" のルーツは、間違いなく、この「少年少女世界SF文学全集」にあるのです。

 小学校の図書館においてあったんです。
 この全集__

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(全集一覧)

1. 鋼鉄都市 アイザック・アシモフ
2. 生きていた火星人 ロバート・シルヴァーバーグ
3. 恐竜世界の探検 コナン・ドイル
4. タイムマシン28000年 レイ・カミングス
5. 惑星からきた少年 ライトソン
6. 四次元世界の秘密 L・P・デービス
7. 地底世界ペルシダー E・R・バローズ
8. 両棲人間 A・ベリャーエフ
9. 不死販売株式会社 R・シェクリー
10. 宇宙船ドクター ハリー・ハリスン
11. 惑星ハンター A・K・バーンズ
12. 海底の地震都市 F・ポール/J・ウィリアムス
13. ロボット・スパイ戦争 カール・ブルックナー
14. 海底二万リーグ ジュール・ヴェルヌ
15. 月世界の核爆発 パトリック・ムーア
16. 宇宙戦争 H・G・ウェルズ
17. さまよう都市宇宙船 ロバート・A・ハインライン
18. 宇宙怪人ザロ博士の秘密 エドモンド・ハミルトン
19. 怪奇植物トリフィドの侵略 ジョン・ウィンダム
20. 銀河系防衛軍 エドワード・E・スミス

 全集のラインナップを、今、見ても、なかかな充実してるんですよね。
 「SFの父」と呼ばれたヴェルヌやウェルズはもちろん、ドイル、バローズなどの古典的な名作が収められています。
 また、ハミルトンの<キャプテン・フューチャー>や、E・スミスの<レンズマン>など、シリーズものの名作が入っていたり、50〜60年代のSF黄金期からアシモフやハインラインなどの巨匠たちの作品も収録されています。

 もちろん、一般向けの作品を児童向けに手直したものもあれば、最初からジュブナイルとして書かれている作品もあります。
 児童向けに手直ししたものなどは、原著とタイトルが違ってたりするものもあるので、一般向けに出版された際のタイトルや、そもそも現在も読めるのか調べてみたので、その結果を “note” しようと思います。


 一般向け作品が存在する場合は紹介していますが、すでに絶版になっているものも多いので、その場合は、古書や図書館で探す際の手がかりとしてください。
 また、電子書籍がある場合は情報を併記しています。すでに著作権フリーになっているものも多いのですが、青空文庫等は調べていませんので留意ください。 ※(/後は翻訳者です。)


■ □ ■ □ 全20巻の紹介 □ ■ □ ■



1.『鋼鉄都市』

    アイザック・アシモフ/福島正実 1954年:アメリカ

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「ロボット工学三原則」を背景に、宇宙人惨殺という前代未聞の事件を、人間の刑事とロボットのコンビが解決していくSFミステリの傑作

 今も変わらず、人気のある作品です。(詳しくは、後日、別記事で紹介します。)
 ハヤカワ文庫SFで、同タイトルで出版されています。(Kindle版有)


2.『生きていた火星人』

 ロバート・シルヴァーバーグ/中尾明 1960年:アメリカ    =ジュブナイル作品

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 父の研究で火星に移住した兄妹が、絶滅したと思われていた古代火星人を発見し、交流が始まった...

 「夜の翼」や「禁じられた惑星」などで知られるシルヴァーバーグですが、この『生きていた火星人』はもともとジュブナイル小説として出版されたものです。(一般向けのものは存在しません。)


3.『恐竜世界の探検』

 コナン・ドイル/白木茂 1912年:イギリス

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 チャレンジャー教授ら探検隊が、アマゾン奥地で、古代生物たちが生き残る台地を冒険する物語

 シャーロック・ホームズ・シリーズで知られるコナン・ドイルですが、空想SFものもたくさん著しています。ジュラシックパークのルーツがここにあります。
 『失われた世界』/『ロストワールド』というタイトルで、いろんな版元から出版されています。 
 創元文庫では、近年、新訳版がリリースされています。(Kindle版有)


4.『タイムマシン28000年』

 レイ・カミングス/斎藤伯好 1929年:アメリカ

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 タイムマシンを発明した科学者が、時間を超えて姿を見た少女を救出するため、2万8千年の未来社会へ向かった

 レイ・カミングスって名前は、ほとんど聞き覚えがないのですが、「時間を征服した男」というタイトルにてハヤカワ文庫から出版されています。(絶版)


5.『惑星からきた少年』

 ライトソン/久米穣 1965年:オーストラリア
 =ジュブナイル作品

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 ある少年が、廃墟に潜む宇宙人に出会う。少年と宇宙人の交流は、やがて騒動に発展していく..

 パトリシア・ライトソンは、オーストラリアの児童文学者で、『惑星からきた少年』もジュブナイルとして発表されたものです。
 ライトソンの一般向け小説としては、ファンタジーの「ウィラン・サーガ」などがあります。


6.『四次元世界の秘密』

 L・P・デービス/白木茂

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 突然、研究所から姿を消した教授たちを追っていくうちに、主人公たちは異世界との接点を見つけたが、そこには…

 L・P・デービスという作家さんについて詳細は不明でした。


7.『地底世界ペルシダー』

 E・R・バローズ/野田昌宏 1922年:アメリカ

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 機械モグラの試運転をしていた主人公が、事故により地球内部の世界ペルシダーを発見し、冒険がはじまる。

 「火星シリーズ」や「ターザンシリーズ」で有名なエドガー・ライス・バローズの地底世界を舞台にした「ペルシダーシリーズ」の一冊です。
 「火星シリーズ」とともに、このシリーズの他の作品もたくさん読み漁った記憶があります。
 ハヤカワ文庫や創元文庫から出版されています。(絶版)(Kindle版有)


8.『両棲人間』

 アレクサンドル・ベリャーエフ/飯田規和 1928年:ロシア

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 天才的な博士の手術をうけ、水の中でも陸の上でも生活できるようになった少年。だが、欲に目のくらんだ人間たちの魔の手がしのびよる…

 「ソ連のヴェルヌ」と呼ばれたベリャーエフの作品ですが、一般向けの作品は絶版となっています。
 探してみると、このごろ堂書房のKindle版がありました。


9.『不死販売株式会社』

 ロバート・シェクリイ/福島正実 1959年:アメリカ

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 突然の自動車事故のため死んだはずの主人公は、100年以上先の未来で目を覚ます... しかし、そこは現代とは全く異なる世界だった。

 『人間の手がまだ触れない』など、不条理でコミカルな作風で知られるシェクリイの第1長編です。
 この本は、ミック・ジャガーが出演したことで話題となった映画「フリージャック」の原作として『不死販売株式会社~フリージャック』のタイトルで、ハヤカワ文庫から出版されています。(絶版)


10.『宇宙船ドクター』

 ハリー・ハリスン/内田庶 1970年:アメリカ
 =ジュブナイル作品

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 隕石の衝突事故により、船長や中心航行員たちがいなくなってしまった宇宙船で、船長代わりとなった新米医療士官の主人公が、次々に起きる問題を乗り越えていく

 ハリイ・ハリスンは「人間がいっぱい」などで知られるのSF作家です。
 『宇宙船ドクター』は、ジュブナイル作品であるため、一般向けの作品はありませんが、ドラマとしてすごく面白くて、個人的に全集の中で好きだった一冊なのです。


11.『惑星ハンター』

 A.K.バーンズ/小尾芙佐 1956年:アメリカ

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 惑星間動物園のハンターが、太陽系を巡り、様々な生物を捕獲するために冒険をくり返していく。

 アメリカのSF作家アーサー・K・バーンズが書いた小説ですが、「惑星間の狩人」というタイトルで創元文庫から発行されています。(絶版)


12.『海底の地震都市』

 F.ポール、J.ウィリアムスン/中尾明 1958年:アメリカ =ジュブナイル作品

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 海底都市が繁栄する未来、地震予知研究を学んでいた主人公が、都市に未曾有の危機が迫っていることを予測する…

 「ゲイトウェイシリーズ」のフレデリック・ポールとジャック・ウィリアムスンが共作したジュブナイル作品です。


13.『ロボット・スパイ戦争』

 カール・ブルックナー/塩谷太郎 1972年:オーストリア =ジュブナイル作品

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 米ソ冷戦の時代、両国が限りなく人間に近いロボットを完成させる。すると、そのロボット同士が惹かれ合っていって、やがて、思いもしなかった行動を…

 オーストリアの児童文学作家カルル・ブルックナーが発表したジュブナイル作品です。
 米ソが作ったロボットたちを通じて、作者の平和への考え方が伝えられます。


14.『海底二万リーグ』

 ジュール・ヴェルヌ/榊原晃三 1870年:フランス

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 ネモ船長により、極秘裏に建造された新鋭潜水艦、ノーチラス号の海洋冒険譚。

 ジュール・ヴェルヌが発表した冒険小説の古典。
 『海底二万里』というタイトルで、これまでも、いろんな版元から繰り返し出版されています。(Kindle版有)
 このワクワク感は、どんな新作にも負けてないのです。


15.『月世界の核爆発』

 パトリック・ムーア/白木茂

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 偶然望遠鏡で見た月面の白雲のなぞを追求するため、秘密の島から宇宙船リジイ号が飛び出した。

 パトリック・ムーアという作家さんについて詳細は不明でした。


16.『宇宙戦争』

 H.G.ウェルズ/飯島淳秀 1898年:イギリス

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 イギリスの片田舎に隕石らしきものが落下し、巨大な穴の中から醜悪な生き物が現れた。それが火星人の地球侵略の始まりだった。

 ヴェルヌとともに「SFの父」と呼ばれるウェルズの有名な作品です。2005年にスピルバーグが映画化してましたね。
 SFの古典であり、様々な版元から出版されています。(Kindle版有)


17.『さまよう都市宇宙船』

 ロバート・A.ハインライン/福島正実 1963年:アメリカ

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 操縦者がいなくなった巨大宇宙移民船を舞台に、世代を重ねる中、宇宙船ということも忘れてしまった人々の様子を描く…

 日本では「夏の扉」が人気の巨匠ハインラインが、1941年に書いた中編を連結して「宇宙の孤児」というタイトルで発表した作品で、ハヤカワ文庫から出版されています。(絶版)(Kindle版有)
 すごく面白くて、全集で読んだ時の衝撃が忘れられず、一般向けの本を探してたのですが、地元の大きな図書館の書庫に眠っていました。 


18.『宇宙怪人ザロ博士の秘密』

 エドモンド・ハミルトン/内田庶 1940年:アメリカ

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 太陽系の支配を目論む謎の人物ザロ博士と、キャプテン・フューチャーたちとの攻防を描く…

 ハミルトンの「キャプテン・フューチャー」シリーズの1冊です。
 「暗黒星大接近」というタイトルで発表されたシリーズ第2弾の本なんです。
 現在は、第1弾の「恐怖の宇宙帝王」と合本になって創元文庫から「キャプテン・フューチャー全集」の1巻目として出版されています。


19.『怪奇植物トリフィドの侵略』

 ジョン・ウィンダム/中尾明 1951年:イギリス

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 地球が緑色の大流星群の中を通過した後、栽培されていたトリフィドという三本足の動く植物が野放しになり、人類を襲いはじめた…

 イギリスのSF作家ジョン・ウィンダムが1951年に発表した作品で、「トリフィド時代(食人植物の恐怖)」というタイトルで、創元SF文庫から新訳版が出版されています。


20.『銀河系防衛軍』

 エドワード・E・スミス/小尾芙佐 1937年:アメリカ

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 不気味な難事件の解決に、英知と勇気で立ち向かうレンズマンたちの活躍を遠大な構想で描く

 E・E・スミス「レンズマン」シリーズの1冊です。
 一般向け作品では「銀河パトロール隊」として、創元SF文庫から出版されています。(絶版)(Kindle版有)


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 一気に20冊を紹介したため、5000文字を越えてしまいました。
 自分のための備忘録なのですが、この「少年少女世界SF文学全集」を懐かしく感じる方がいれば嬉しいです。