【architecture】色|ルイス・バラガン
私は色が苦手である
安易に手を付けると、意図している表現から遠ざかってしまう気がしてしまう
だから「この色が好き!」と直感で選べる人がうらやましい
よくトイレの壁一面だけ色を変えたいとか、子ども部屋の壁の色を変えたいという要望を聞く
アクセントになって良いなとは思うが自分では決められない
しかもビニールクロスの人工的な色で良いのか…
自分でも分からない
だから苦手なのだ
色を使った建築家として有名なのが昨日も紹介したメキシコの建築家ルイス・バラガンである
メキシコは「世界一カラフルな国」と言われるように灼熱の気候のもと様々な色が民芸品に使われている
バラガンはこの色を使った建築をメキシコでしかつくらなかった
それはメキシコの風土と色を研究し尽くしたが故であり、この色はメキシコでしか映えることのない色なのである
バラガンはピンクや黄土、黄色、薄紫、茶色、赤、赤錆、青などの色を用いた
ピンクは特に有名で、メキシカンピンクとも呼ばれるブーゲンビリアの花の色である
この色はメキシコで愛されテントなどあちこちで用いられている
黄土はメキシコの大地の色
黄色はマリーゴールドの色
青はメキシコの空、海の色
薄紫はジャカランダの花の色
などメキシコ特有の色が用いられた
どれも彩度、明度の高い色であるがメキシコの雰囲気に溶け込んでいる
ジャカランダは「メキシコの桜」と言われるている
バラガンもこの色を愛していたそうだ
さて、じゃあこの色建築を真似て日本でもやってみよう!となると必ず失敗する
この色はメキシコ特有の風土があって成り立つものであり日本の風土で真似をするとコケる
しかもこの色はバラガンが研究に研究を重ねて見つけた色であるが
色には面積効果や対比効果と言って、面積が広くなると明るさや鮮やかさが強くなったり、背景色によっても変わってくる
小さな色見本で選べるほど簡単ではないのだ
唯一バラガンが使わなかった色がある
それは『緑』である
それは『木々の緑よりも美しい緑は、この世に存在しないから』である
色は奥が深い
深すぎてワカラナイ
ただ唯一使えるのは自然の緑を活かすことくらいしか今の私には出来ない
いつか特別な色の建築をつくるのが夢である
それまでは安易に手をつけないようにしている